異常な高温と高湿度の危険性:
昨6日は予定通りに、9時過ぎの暑くならないうちにと調剤薬局に出かけた。だが、ここ13階の通路に出ただけで「ムッ」とする熱気に襲われた。9時前なら暑くはないという程度のことではないと知った。無事に戻って何気なく甲子園の野球にチャンネルを合わせると「8回で仙台育英の外野手が倒れ込んで動けない場面」に出会った。説明がなくても「熱中症だな」と解る現象。
私は1963年(昭和38年)から3年弱の間、西宮市の甲子園球場の直ぐ西に当たる芦屋市の借り上げ社宅に暮らしていた。だから、関西地方の夏の暑さと湿度の高さと凄まじさは、関東育ちには想像も出来なかったほどの苛酷なものであると十分に承知していた。その西宮市で今年の猛暑の中で屋根も空調設備もない球場で、早朝からであっても野球をやらせるのは危険ではないかと考えていた。
後になって知ったことで「仙台育英の右翼手・田山選手が八回の守備後に足をつり、外野の芝の上で倒れ込み、担架で運ばれる事態となっていたし、同じ試合では七回にも捕手の川尻選手が足をつり、代打が送られていた」そうだった。「足がつり」という表現にはなっているが、専門のお医者様の解説では「熱中症の症状の一つ」となっているのだ。率直に「高校生は気の毒だ」と言いたくなった。
NHKを始めとしてマスコミ各社が、甲子園野球の中継放映と報道に懸命な事を敢えて否定はしない。だが、現在の地球温暖化の所為かフェーン現象かは知らないが、全国的に40度C前後の高温に加えて高湿度の気象条件の下で朝からと夜間でも高校生に野球をさせるのが適切なのか。高野連も朝日新聞も慎重に再検討する必要があるとしか思えない。
だが、長い歴史を誇る高校(往年は中学だったが)野球では「聖地甲子園の大会に出るのが高校球児の夢」となっているのだ。故にと言うか何と言うべきか、甲子園に屋根を付けるのならまだしも「関西に新たにドーム球場を設置して場所を移す」と言う如何にも合理的な案には賛成は少ないかのよう。3日のTBSでも上原浩治は「ドームでは高校生の夢の否定になる」という反対の雰囲気だった。
私は別な視点から野球に限らず「高校生の全国大会」には否定的なのだ。それは結果として「中学から始まって高校生たちにトーナメント形式の試合を勝ち上がっていく為の、細かい技巧と駆け引きを仕込む傾向が生じさせる。さらに身体能力や体力の強化を等閑にした育て方をして大学や社会人やプロの組織で通用するような選手に仕立てていかないこと」になるからだ。
このような考え方に基づいて、高校の同級生の脇村春夫君が高野連の会長に就任した時のお祝いのクラス会で、彼に「甲子園野球の可及的速やかな廃止」の書面を手渡して読んで貰った。学究的で本当に生真面目な脇村は驚きの表情で「止めちゃえって言うの」と、一言だけだった。気象条件がここまで来れば、廃止とは言わないが、これ以上患者が出る前に、開催のシステムと時期を再検討するのは焦眉の急ではないのか。