■釣針失くす 火遠理命
一夜身籠もる 咲夜比売
日数合わぬと 迩々芸命言う
「天の子ならば 無事生まる
国の子ならば 災難起こる」
言いて咲夜比売は 籠り家へ
産気と共に 家は火に
生まれ出でたは 火照命
次に火須勢理 命産み
末生まれしは 火遠理命
火照命は 漁が好き
海幸彦の 呼び名持つ
火遠理命は 猟が好き
山幸彦の 呼び名持つ
末子火遠理命は 興味持つ
長兄の火照命の 釣り道具
互い得物を 取替えて
漁と猟との 競いをと
約束なり火遠理命 海急ぐ
したが火遠理命に 成果なく
借りた釣針 海底へ
怒る火照命は 闇雲に
返せ返せと 責め立てる
火遠理命十拳剣を 打ち砕き
作る釣針 五百針
「ならじ」と言うに 千の釣針
「ならじ返せや 元の釣針」
困る火遠理命は 海へ行き
泣きて嘆くに その傍に
塩椎神が 現れて
「わしが籠船 作る故
乗られ海底 大綿津見神の
宮殿に着かれて 井戸の脇
香木に登り お待ちあれ」
待つこと暫し 香木の下に
来たる女は 大綿津見神の
娘豊玉 比売の侍女
侍女水汲むに 井戸覗く
水面写るは 火遠理命
火遠理命侍女にと 水所望
得たる器に 首の玉
含みて吐くに 底に密着く
器を見たる 豊玉比売は
底密着く玉に 驚きて
誰ぞ居るやと 出で来たり
火遠理命姿に 染める頬
呼び出大綿津見神 一目見て
「畏れ多しや この方は
天つ神御子 なるぞかし」
言いて御殿へ 招き入れ
馳走歓待 下置かず
やがて豊玉比売をば お妻合わせ
一夜身籠もる 咲夜比売
日数合わぬと 迩々芸命言う
「天の子ならば 無事生まる
国の子ならば 災難起こる」
言いて咲夜比売は 籠り家へ
産気と共に 家は火に
生まれ出でたは 火照命
次に火須勢理 命産み
末生まれしは 火遠理命
火照命は 漁が好き
海幸彦の 呼び名持つ
火遠理命は 猟が好き
山幸彦の 呼び名持つ
末子火遠理命は 興味持つ
長兄の火照命の 釣り道具
互い得物を 取替えて
漁と猟との 競いをと
約束なり火遠理命 海急ぐ
したが火遠理命に 成果なく
借りた釣針 海底へ
怒る火照命は 闇雲に
返せ返せと 責め立てる
火遠理命十拳剣を 打ち砕き
作る釣針 五百針
「ならじ」と言うに 千の釣針
「ならじ返せや 元の釣針」
困る火遠理命は 海へ行き
泣きて嘆くに その傍に
塩椎神が 現れて
「わしが籠船 作る故
乗られ海底 大綿津見神の
宮殿に着かれて 井戸の脇
香木に登り お待ちあれ」
待つこと暫し 香木の下に
来たる女は 大綿津見神の
娘豊玉 比売の侍女
侍女水汲むに 井戸覗く
水面写るは 火遠理命
火遠理命侍女にと 水所望
得たる器に 首の玉
含みて吐くに 底に密着く
器を見たる 豊玉比売は
底密着く玉に 驚きて
誰ぞ居るやと 出で来たり
火遠理命姿に 染める頬
呼び出大綿津見神 一目見て
「畏れ多しや この方は
天つ神御子 なるぞかし」
言いて御殿へ 招き入れ
馳走歓待 下置かず
やがて豊玉比売をば お妻合わせ
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