ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・上つ巻(08)八千矛神通う 沼河比売に

2012年12月24日 | 古事記ものがたり
八千矛神やちほこ通う 沼河比売ぬなかわひめ


出雲の国で 大国主神おおくに
待ちて家る 八上比売やかみひめ

   須勢理比売すせり伴い 戻れるを
   くやなげかし 思えども
   須勢理比売すせり神の子 須佐之男命すさのお
   娘なるかに 口つぐ

   やがて須勢理比売すせりの 気強したたか
   気圧けおされえて おそれてか
   した木俣神きまたを 残し置き
   悲しさ胸に 因幡国くに帰る



諸々もろもろ国を 従えに
旅先出向く 大国主神おおくに
行く先々で 妻めと

妻をめとるが 先なのか 
国の治めが 目的めあてかや
国治おさめと共に 重要だいじなは
子孫残すの 妻めと

妻を求めて 八千矛神やちほこは 
           (大国主神の別名)
 の国へと 出掛け行き

沼河比売ぬなかわひめを めとるとて 
屋敷 訪ねて 謡う歌

我れ八千矛神やちほこは 良き妻と
国中くにじゅ探すが 見当たらず
遥か 遠くの 越国に
賢明かしこおみな 居ると聞き
うるわおみな 居る聞きて
めとんとて 国でて
道はるばると 辿たどり来る

  八千矛やちほこの 神のみことは 
  八島国やしまくに 妻きかねて 
  遠々とおとおし 高志こしの国に 
  さかを 有りと聞かして 
  くわを 有りと聞こして 
  さよばいに あり立たし 
  よばいに あり通わせ 

大刀たちはずして 羽織はおり脱ぐ
くつろいとま あらばこそ
娘子おとめの眠る 板の戸を
押して開こと はするが
引いて開こと もするが

  大刀たちも いまだかずて 
  おすいをも いまだかねば 
  娘子おとめの すや板戸を 
   押そぶらい 我が立たせれば 
  (押し揺すり)
   引こづらい 我が立たせれば 
  (引き揺すり)

明け方近く ぬえが鳴く
夜明けすぐにと きじが鳴く
今やにわとり 鳴きはじ
忌々いまいましやな 鳥ども
ぶち殺すぞや 鳥ども
 あまけ鳥の 伝えたる
 故事いにしえごとは くのごと

  青山に ぬえは鳴きぬ 
  さ野つ鳥 きぎしとよむ 
  庭つ鳥 かけは鳴く 
  心痛うれたくも 鳴くなる鳥か 
  この鳥も 打ちめこせね 
    うや 天馳使あまはせづかい 
    事の 語りごとも をば
           ―古事記歌謡(二)―

聞いた沼河比売ぬなかわ 戸はけず
屋敷うちにて 謡う歌

八千矛神やちほこがみよ お願いよ
わらわおみなの 身なればぞ
入江なぎさに 棲む鳥よ
ひとり寂しに る鳥よ

  八千矛やちほこの 神のみこと 
  え草の おみなにしあれば 
  我が心 浦渚うらすの鳥ぞ 
  今こそは 我鳥わどりにあらめ 

明日はそなたの 鳥と成ろ
鳴鳥なくを許せや 殺すなや
 あまけ鳥の 伝えたる
 故事いにしえごとは くのごと

  のちは 汝鳥などりにあらんを 
  いのちは な死せたまいそ 
    うや 天馳使あまはせづかい 
    事の 語りごとも をば
           ―古事記歌謡(三)―

 b>今日のこの日が 暮れたらば
明日の夜けに またここへ
 勇んで お越しあれ
  青山に 日がかくらば 
  ぬばたまの でなん 
  朝日の み栄え来て 


   白く輝く このかいな
   ふくよかやわい この胸を
   撫でてさすりて いだ
   共にこの手を からませて
   足くつろげて 共寝もしよう
   焦がれこらえて お待ちあれ
   八千矛神やちほこがみよ お願いよ
   故事いにしえごとは くのごと




   栲綱たくづのの 白きただむき 
   沫雪あわゆきの 若やる胸を 
   そだたき たたまながり 
   (撫で擦り(抱き愛おしみ)
  真玉手またまで 玉手さしき 
  股長ももながに さんを 
  極度あやに な恋い聞こし 
  八千矛やちほこの 神のみこと
    事の 語りごとも をば
           ―古事記歌謡(四)―

その夜の逢瀬おうせ かなわずに 
明くる来る夜に 逢いし