ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・上つ巻(05)大蛇退治の 須佐之男命

2012年12月13日 | 古事記ものがたり
大蛇おろち退治の 須佐之男命すさのおみこと



天上 世界 追放の
須佐之男命すさのおみこと り立つは
出雲国いずも肥川ひかわの 川ほと

流れる 箸に 誘われて
のぼる川上 嘆き声
おきなおうなと その娘
櫛名田比売くしなだひめが 泣きて伏す

聞けば 恐ろし 哀れにも
山奥まう 大大蛇おろち
里にり来て 娘食う

八つ の頭に 八つ尾持つ
八つたに八つ とぐろ巻く
高志こし八俣やまたの 大蛇おろち

ここ に至るに 七娘
既に喰われて 残る
今に 今年も  食いに来る

聞いた須佐之男命すさのお 策さず


「重ねかもした 強い酒
 垣を八つに めぐらせて
 造った棚に おけ八つ
 酒をたせて って待て」

やがてり来た 大蛇おろち
 の匂いに 誘われて
八つの鎌首 桶中おけなか

酔った大蛇おろちを 須佐之男命すさのお
十拳とつかつるぎで 八つに


切った尻尾しりおに 出るつるぎ
霊妙たえなるつるぎ 神宿かみなりと
天照大御神あまてるもとへ さし送る
これぞ草薙くさなぎ つるぎなり

助けた娘 櫛名田比売くしなだ
めと出雲いずもに 清々すがすが
居場所求めて 辿たどり着く

そこに宮殿みやどの 築く時
雲立ちのぼる 様子さまを見て
謡い なされし 歌ぞこれ

《雲湧きあがる ここ出雲いずも
 立つ雲八重やえに 重なれる
 妻こもらせに 作る垣
 囲み幾重いくえの 八重の垣
 我れめぐらせる 八重の垣》

  八雲立つ 出雲いずも八重垣
  妻みに 八重垣作る 
   その八重垣を
        ―古事記歌謡(一)―