ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

家持編(一)青春・恋の遍歴(23)憐れ紀女郎(いらつめ) 安貴王(おう)しくじりで 

2011年09月15日 | 家持編(一)青春・恋の遍歴
■平成23年9月15日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★恭仁京で 紀郎女きのいらつめを 垣間見て 昔思うて 家待誘う

ひさかたの 雨の降る日を ただひとり 山辺やまへにをれば いぶせかりけり
鬱陶うっとしい 雨の降る日に 独りだけ 山陰やまかげったら 憂鬱ゆううつなるわ》
                         ―大伴家持―〈巻四・七六九〉 
 
十二月しはすには あわゆき降ると 知らねかも 梅の花咲く ふふめらずして
《十二月 まだ雪降るの 知らんのか つぼみほころび 梅花咲いた》
                         ―紀小鹿郎女きのおしかのいらつめ―〈巻八・一六四八〉
                 〈紀郎女は紀鹿人きのかひとの娘 ために「小鹿」の愛称〉


世間よのなかの をみなにしあらば わが渡る 痛背あなせの河を 渡りかねめや
《このうちは 運無いよって 世間並み あんたしとても 一緒行かれん》
                         ―紀郎女きのいらつめ―〈巻四・六四三〉
今はは びそしにける いきに 思ひし君を ゆるさくおもへば
《今うちは 沈んで仕舞しもてる 命とも 思てたあんた 行かしてしもて》
                         ―紀郎女―〈巻四・六四四〉 
白栲しろたへの そで別るべき 日を近み 心にむせひ ねのみし泣かゆ
いややけど 別れならん日 近づいて 心の中で むせび泣いてる》
                         ―紀郎女―〈巻四・六四五〉 




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