ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

黒人編(5)鶴が鳴いてく干潟向け

2010年03月15日 | 黒人編
■平成22年3月15日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★漂泊の 歌人なりや 黒人は 心ばかりか 身も漂うよ

四極しはつ山 うち越え見れば 笠縫かさぬひの 島漕ぎかくる たな小舟をぶね
四極しはつ山 越えたら見えた 笠縫かさぬひの 島に隠れた 棚なし小舟》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二七二〕 

住吉すみのえの 得名津えなつに立ちて 見渡せば 武庫むことまりゆ づる船人ふなびと
武庫むこどまり 船を漕ぎ出す 船頭ら よう見えてるで 住吉浜で》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二八三〕 

とくても 見てましものを 山城やましろの 高の槻群つきむら 散りにけるかも
《もっと早よ 来たらかった 山城の 多賀のつきもり 黄葉はァ散ってもた》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二七七〕 

いももわれも 一つなれかも 三河みかはなる 二見ふたみの道ゆ 別れかねつる
《二見道 男と女の 別れどこ 離れるもんか お前とわしは》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二七六〕 

三河の 二見の道ゆ 別れなば わが背もわれも 独りかも行かむ 《三河国  ここの二見で 別れたら あんたもうちも 一人旅やで》
                         ―高市黒人―〔巻三・二七六、一本云〕 

桜田さくらたへ たづ鳴き渡る 年魚市潟あゆちかた 潮干しほひにけらし 鶴鳴き渡る
年魚市潟あゆちかた 潮引いたんや 桜田へ 鶴鳴きながら 飛んで行くがな》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二七一〕 

旅にして 物恋ものこほしきに 山下やましたの あけのそほ船 沖へぐ見ゆ
《なんとなく 物の恋しい 旅やのに あか塗り船が 沖通ってく》 
                         ―高市黒人―〔巻三・二七〇〕 







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