【掲載日:平成24年9月4日】
秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし 韓藍の花を 誰れか摘みけむ
次に比喩歌 ご登場 男女絡みが 面白い
喜怒哀楽の 混ざり合う 恋の駆け引き 火花散る
可愛い少女を 手ずから育て
娘するのが 男の夢か
早く育てよ もどかし日々と
少女まま居れ 複雑心境
女郎花 佐紀沢の辺の 真葛原 何時かも繰りて 我が衣に着む
《佐紀沢の 野で採った葛 糸に繰り 何時になったら わし着られんや》【草に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三四六)
(女郎花→咲く→佐紀)
(あの児可愛いが まだ少女やで)
向つ峰の 若桂の木 下枝取り 花待つい間に 嘆きつるかも
《向かい丘 若桂木の下枝 打ち払ろて 花待つ間ぁは 待ち遠てならん》【木に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三五九)
(面倒見てるが まだ少女んや)
紫の 名高の浦の 真砂土 袖のみ触れて 寝ずかなりなむ
《名高浦 浦の砂浜 その砂に 袖触れたけど 寝はせんかった》【浦の沙に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九二)
(あの児少女や 一寸待たならん)
大切娘を つまらん奴に
取られてなるか 用心頻り
警戒嵩じ 寄せ手も疎ら
早く遣らんと 直薹が立つ
我がやどに 生ふる土針 心ゆも 思はぬ人の 衣に摺らゆな
《庭先に 生えたツチハリ 摺染られなや 詰まらん人の 衣なんかに》【草に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三三八)
(大切娘や 虫付かせんで)
石上 布留の早稲田を 秀でずとも 縄だに延へよ 守りつつ居らむ
《石上の 布留の早稲まだ 穂ぉ出んが 早よ縄張れよ 番するのんで》【稲に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三五三)
(娘幼いが 貴男にするわ)
春日野に 咲きたる萩は 片枝は いまだ含めり 言な絶えそね
《春日野で 咲く萩の片枝 まだ蕾 花はまだかと ちょくちょく聞いて》【花に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六三)
(妹娘は まだ売れとらん)
秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし 韓藍の花を 誰れか摘みけむ
《秋来たら 移し染め様と わし植えた 鶏頭の花を 誰摘んだんや》【花に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六二)
(娘取られた 目当ての外に)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
