【掲載日:平成24年9月11日】
我が心 ゆたにたゆたに 浮蓴 辺にも沖にも 寄りかつましじ
近づく男 本気やろうか
気にはなるけど 油断は出来ん
恐い気持ちと 高鳴る胸と
親の警戒 強なる日増し
豊国の 企救の浜辺の 真砂土 真直にしあらば 何か嘆かむ
《企救の浜 そこの砂浜 真っ直ぐや 真面目な気なら 悩まんけどな》【浦の沙に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九三)
(あんたほんまに 真剣なんか)
月草に 衣色どり 摺らめども 移ろふ色と 言ふが苦しさ
《露草の 花で衣を 染めたいが 褪せるて聞くと 一寸気になるで》【草に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三三九)
(良え人やけど 素行がちょっと)
沖つ波 寄せてる荒磯の 名告藻は 心のうちに 障みとなれり
《沖の波 寄せる磯辺の 名告藻は うちの心を 凋ませよるよ》【藻に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九五)
(お母「言な」言う うち憂鬱や)
垂乳根の 母がその業る 桑すらに 願へば衣に 着るといふものを
《お母はんが 育てる桑も 願うたら 糸なり衣に なる云うのんに》【木に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三五七)
(監視厭やで 思う様したい)
岩倉の 小野ゆ秋津に 立ちわたる 雲にしもあれや 時をし待たむ
《時期来たら 立つ雲やなし いつまでも 待てて言うんか 長期間待ったに》【雲に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六八)
(焦らしとんのか 踏ん切れんのか)
明日香川 七瀬の淀に 棲む鳥も 心あれこそ 波立てざらめ
《あちこちの 淀み棲んでる 鳥かても 波立てん様 気ぃ使うのに》【鳥に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六六)
(何で世間は 五月蝿いのんや)
我が心 ゆたにたゆたに 浮蓴 辺にも沖にも 寄りかつましじ
《うちの胸 まるで蓴菜 ゆたゆたと 岸に寄らんし 沖にも寄らん》【草に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三五二)
(どっち仕様かな うちよう決めん)
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