【掲載日:平成24年9月14日】
三国山 木末に棲まふ むささびの 鳥待つ如く 我れ待ち痩せむ
女辛いな 待つしか出来ん
こまめ通いの 信じた男
契った後は 足遠のいて
袖は濡れるし 身は痩せ細る
闇の夜は 苦しきものを 何時しかと 我が待つ月も 早も照らぬか
《闇の夜は うち切無いで 何時出るか 待ってる月よ 早よ照らんかい》【月に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三七四)
春日山 山高くあらし 岩の上の 菅の根見むに 月待ちかたし
《春日山 山高い様や 岩傍の 菅根見たいに 月遅いがな》【月に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三七三)
(邪魔は多いし くたびれ待つし)
潮満てば 入りぬる磯の 草なれや 見らく少く 恋ふらくの多き
《潮来たら 隠れてしまう 磯の草 見る間少のて 偲ぶん多いで》【藻に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九四)
(待つん長うて 逢瀬は直や)
ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか
《雨降りに 着てへん衣が なんでやろ うちのこの袖 濡れ乾かんで》【雨に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三七一)
(恋し焦がれが 袖濡らすんや)
白玉を 手には巻かずに 箱のみに 置けりし人ぞ 玉嘆かする
《真珠玉 手ぇ巻かへんで 箱中に 仕舞とる人よ 玉泣いてるで》【玉に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三二五)
(放ったらかしは うち悲しいわ)
広瀬川 袖漬くばかり 浅きをや 心深めて 我が思へるらむ
《広瀬川 長袖漬く程の 浅さやに なんで深うに 思うんやうち》【川に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三八一)
(あんた薄情や 気ィ知らんとに)
三国山 木末に棲まふ むささびの 鳥待つ如く 我れ待ち痩せむ
《三国山 梢棲んでる むささびが 鳥待つように 待つうち痩せる》【獣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六七)
(何で来んのや 待つん辛いで)
朝霜の 消やすき命 誰がために 千年もがもと 我が思はなくに
《朝霜の様な 儚い命 誰のため うち千年も 願うんやろか》
【比喩歌に非ず・一三七四と同作者に付きの挿入】
―作者未詳―(巻七・一三七五)
(今のままやと うち死んで仕舞う)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
