【掲載日:平成24年9月25日】
大和の 宇陀の真埴の さ丹付かば そこもか人の 我を言なさむ
逢瀬重ねは 人目が恐い
我慢用心 重ねてみても
仕草表情に 様子が知れる
知れること無い 思うてみても
嘆きせば 人知りぬべみ 山川の 激つ心を 塞かへてあるかも
《溜息を したら皆に 知られると 噴き出る思い 抑えとんのや》【川に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三八三)
水隠りに 息づきあまり 早川の 瀬には立つとも 人に言はめやも
《水潜り 息詰め兼ねて 早い瀬に 立つ羽目来ても 黙って居るで》【川に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三八四)
(隠す辛いが 知れんの恐い)
絶えず行く 明日香の川の 淀めらば 故しもあるごと 人の見まくに
《流れてる 明日香の川が 淀んだら どしたんかなと 皆思うで》【川に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三七九)
(ちょっと様子が 違ごたら知れる)
石そそき 岸の浦廻に 寄せてる波 辺に来寄らばか 言の繁けむ
《激しいに 崖の入江に 寄せる波 岸辺寄ったら 皆五月蝿いで》【海に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三八八)
(来たらあかんで 来るならそっと)
大和の 宇陀の真埴の さ丹付かば そこもか人の 我を言なさむ
《大和国 宇陀の埴生の 赤い色 付いただけでも あれこれ言うか》【埴に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三七六)
(顔赤こしたら 知られて仕舞うか)
南淵の 細川山に 立つ檀 弓束巻くまで 人に知らえじ
《細川の 山の檀よ 弓にして 弓束巻くまで 知られんときや》【弓に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三三〇)
(わしが見つけた お前やよって)
紅の 深染めの衣 下に着て 上に取り着ば 言なさむかも
《紅色の 下着てた衣 上羽織り 着たら皆は 何ちゅうやろか》【衣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三一三)
(隠れ付き合い 大っぴらしたら)
真鉋持ち 弓削の川原の 埋れ木の 顕るましじき ことにあらなくに
《弓削川の 岸の埋れ木 真逆にも 浮き出て来るて 思いもせんで》【埋れ木に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三八五)
(わしらの恋も 知れるん違うか)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます