令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(25)味原(あぢふ)の宮は

2010年09月10日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年11月30日】

・・・・・御食みけむこふ 味原あぢふの宮は 見れど飽かぬかも


旧き都の 難波の浜は 西に開けし 先進門戸もんこ
仁徳にんとく こうとく再興おこし 今またこの地 帝都となるか

やすみしし わご大君おほきみの ありがよふ 難波の宮は 鯨魚いさな取り 海片附かたつきて 玉ひりふ 浜辺はまへを近み 
あさはふる 波のさわき 夕凪ゆふなぎに かぢ聞ゆ
 
天皇おおきみが いつもられる 難波宮なにわみや 鯨も捕れる 海つづき 玉を拾える 浜ちこ
 朝寄せてくる 波音なみ響き 夕凪はまに 梶の音》 
あかときの 寝覚ねさめに聞けば 海石いくりの 潮干しほひむた うらには 千鳥妻呼び あしには たづ鳴きとよ 
《夜明け寝覚ねざめに 潮引くと で千鳥 連れ呼んで 葦辺あしべほうで 鶴が鳴く》 
見る人の かたりにすれば 聞く人の 見まくりする 御食みけむこふ 味原あぢふの宮は 見れど飽かぬかも
《見た人みんな めそやし 聞いた人らは 見たい言う ほんまえとこ 味原あじふの宮は》
                        ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇六二〉

ありがよふ 難波なにはの宮は 海近み あま童女をとめらが 乗れる船見ゆ
《いつも来る 難波の宮は 海ちこて 海人あま乙女おとめらが 乗る船見える》
                        ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇六三〉
れば 葦辺に騒く 白鶴しらたづの 妻呼ぶ声は 宮もとどろに
《潮引いて 葦辺で騒ぐ 白鶴の 連れ呼ぶ声が 宮内みやうち響く》
                        ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇六四〉

時は天平 四四ししの年 春は如月きさらぎ 皮切りに
霜降る月の 終わるまで 元正げんしょ上皇 難波宮
天皇不在 気にもせず 左大臣だいじん諸兄もろえ 傍に置き
ここが都と 居座って 難波なにわ拠点に 此処ここ彼処かしこ
傍若無人ぼうじゃくぶじん 行幸みゆきする 異常事態に 官人つかえびと
みかど仲麻呂 紫香楽派 諸兄もろえ上皇 難波派の
いずれに着くか 日和見ひよりみを すれど決まらず 年暮れる


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