【掲載日:平成26年2月7日】
よしゑやし 恋ひじとすれど 木綿間山 越えにし君が 思ほゆらくに
日増し強まる 焦がれを抱いて
辿る道筋 足とて重い
後に残され 寄せ積む焦がれ
恋し恋しの 胸とて重い
年も経ず 帰り来なむと 朝影に 待つらむ妹し 面影に見ゆ
《年の内 帰って欲しと 痩せて待つ お前面影 目ぇちらつくで》
―作者未詳―(巻十二・三一三八)
国遠み 直には逢はず 夢にだに 我れに見えこそ 逢はむ日までに
《故郷離れ 直に逢えんが せめて夢 出て来て欲しで 逢うその日まで》
―作者未詳―(巻十二・三一四二)
草枕 旅にし居れば 刈り薦の 乱れて妹に 恋ひぬ日はなし
《旅に出て 侘びし思いの 旅空に お前思わん 日ィとて無いで》
―作者未詳―(巻十二・三一七六)
春日野の 浅茅が原に 後れ居て 時ぞともなし 我が恋ふらくは
《春日野の 浅茅が原に 残されて 果てるとも無う 恋い焦がれてる》
―作者未詳―(巻十二・三一九六)
後れ居て 恋ひつつあらずは 田子の浦の 海人ならましを 玉藻刈る刈る
《後残り 焦がれてるより 田子浦で 玉藻刈る云う 海人成ろかいな》
―作者未詳―(巻十二・三二〇五)
よしゑやし 恋ひじとすれど 木綿間山 越えにし君が 思ほゆらくに
《ええいもう 焦がれん止めや 思うけど 木綿間山越えて行く あんた浮かぶで》
―作者未詳―(巻十二・三一九一)
住吉の 岸に向へる 淡路島 あはれと君を 言はぬ日は無し
《住吉の 岸向こ望む 淡路島 あんた恋しと 言わん日ないで》
―作者未詳―(巻十二・三一九七)
(淡路島→あはれ=あぁ恋しい)
海の底 沖は畏し 磯廻より 漕ぎ廻みいませ 月は経ぬとも
《沖海は 恐ろし云うで 磯伝て 漕ぎ回り行きや 日ぃ掛かっても》
―作者未詳―(巻十二・三一九九)
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