令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家持・青春編(一)(3)手触れし罪か

2010年08月24日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年6月4日】

味酒うまさけを 三輪みわはふりが いはふ杉
           れしつみか 君に逢ひがたき



家持は 恋にあこがれていた
筑紫 
そこで  大人の恋を 見知った

これが恋だと 幼馴染おさななじみおみなめとの生活くらし
ときめきが無い 
大嬢おおいらつめとの 歌のり取り 
叔母おばの監視のもとでは こころ踊らない

家持 こいみちさぐりに精を出す
うたぶみ贈れば 人が知る
 知られた上は 為損しそんじは恥じゃ
 よし  歌なぞ 贈りはせぬぞ
 名のある家の 御曹司おんぞうし
 気に入りに  押し入り 手を握る
 なんのさわりがあろうか〉
体裁ていさい構いと自尊じそんが 同居する家持 
訪れるは 自ずと警護ゆるやかな身分の家

はつはつに 人をあひ見て いかにあらむ いづれの日にか またよそに見む
《ちょっとの 逢瀬おうせのあんた いつえる ちらっと姿 見られんやろか》
                         ―河内百枝娘子かふちのももえのをとめ―〈巻四・七〇一〉
ぬばたまの その夜の月夜つくよ 今日けふまでに 我れは忘れず なくし思へば
うたの あのえ月が 忘られん ずっとあんたを おもてるさかい》
                         ―河内百枝娘子かふちのももえのをとめ―〈巻四・七〇二〉

思ひる すべの知らねば 片もひの 底にそ我れは 恋ひなりにける
《恋心  晴らす仕方が 分からんで 片恋底に うち沈んでる》
                         ―粟田女娘子あはためのおとめ―〈巻四・七〇七〉
またも逢はむ よしもあらぬか 白栲しろたへの 我が衣手に いはひ留めむ
う手立て ないもんかなと 袖の端 結び合わして 祈ってるんや》
                         ―粟田女娘子あはためのおとめ―〈巻四・七〇八〉

鴨鳥かもどりの 遊ぶこの池に の葉落ちて 浮きたる心 我が思はなくに
《鴨遊ぶ 池に浮いてる 葉ぁみたい 軽い気持ちで るんとちゃうで》
                         ―丹波大女娘子たにはのおほめのをとめ―〈巻四・七一一〉
味酒うまさけを 三輪みわはふりが いはふ杉 れしつみか 君に逢ひがたき
《三輪山の 神さん杉に 手えさわり ばち当たったか あんた逢われん
〈身分ちゃう 人に誘われ その気なり うちアホやった うてもらえん〉》
                         ―丹波大女娘子たにはのおほめのをとめ―〈巻四・七一二〉
垣穂かきほなす 人言ひとごと聞きて 我が背子せこが こころたゆたひ 逢はぬこのころ
《取り巻きの 中傷うわさを聞いて あんたはん 躊躇とまどうてんか うてくれへん》
                         ―丹波大女娘子たにはのおほめのをとめ―〈巻四・七一三〉

無理強むりじい家持を ものともせず
とうとき人と見ての 必死の取り付き
あわてる家持 早々はやばや逃げる

見知りの恋は  頭の恋
身をっての恋 知らぬ悲しさ
家持  恋の 駆け引き間合いを 測りかねている


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