令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家持・青春編(一)(9)我が名告らすな

2010年08月03日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年6月29日】

あらたまの 年のぬれば 今しはと
             ゆめよ我が背子せこ 我が名らすな



互いが  互いを思い
気に入られようと 心をくだ
相手あってこその 心くばり 
これがまた  自分の喜び

白鳥しらとりの 飛羽山とばやま松の 待ちつつぞ 我が恋ひわたる この月ごろを
《待ってんの もう長いこと なって仕舞た あんたしとうて 恋し続けて》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五八八〉

衣手ころもでを 打廻うちみの里に ある我れを 知らにぞ人は 待てどずける
打廻里さとって じっと待ってる 心内こころうち 知ってるやろに あんたえへん》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五八九〉

あらたまの 年のぬれば 今しはと ゆめよ我が背子せこ 我が名らすな
年月としつきが 経ったからて うち、、の名を ええやろ思て うたらあかん》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九〇〉

我がおもひを 人に知るれか 玉匣たまくしげ 開きけつと いめにし見ゆる
《隠してる うち、、の思いが 知れたんか 櫛箱くしばこ開いてる 夢見てしもた》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九一〉

やみに 鳴くなるたづの よそのみに 聞きつつかあらむ 逢ふとはなしに
《暗い夜に  鳴く鶴みたい 逢われんで あんたの噂 聞いてるだけや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九二〉

君に恋ひ いたすべなみ 平城山ならやまの 小松がしたに 立ち嘆くかも
《恋しゅうて どう仕様しょうて 奈良山の 松の下来て 嘆息ぼけっとしてる》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九三〉

我が屋戸やどの 夕蔭草ゆふかげぐさの 白露の ぬがにもとな 思ほゆるかも
《庭に咲く 夕影草くさに置いてる 露みたい 心もとない 気持ちやうち、、は》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九四〉

我が命の またけむ限り 忘れめや いやには 思ひすとも
《あんたはん うち、、は死んでも 忘れへん 日に日に募る 思いかかえて》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・五九五〉

歌ににじむ 笠郎女の恋にける直向ひたむき
知りつつも  これが 家持の腰を引かせる


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