令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家持・青春編(一)(4)いま二日だみ

2010年08月20日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年6月8日】

我が屋外やどの 萩花はぎはな咲けり 見に来ませ
           いま二日ふつかだみ あらば散りなむ



場数踏んだ  家持
少し駆け引きを覚えた 
掛け持ち恋に  浮き身をやつす

我が背子せこを あひ見しその日 今日けふまでに 我が衣手ころもでは る時も無し
《逢い引きの  日から今日まで ご無沙汰や うちは涙で 袖ぐしょ濡れや》
                         ―巫部麻蘇娘子かむなぎへのまそのをとめ―〈巻四・七〇三〉
栲縄たくなはの ながき命を りしくは 絶えずて人を 見まく欲りこそ
永遠とわまでの 命欲しいと おもたんは ずっとあんたと てたいからや》
                         ―巫部麻蘇娘子かむなぎへのまそのをとめ―〈巻四・七〇四〉

我が屋外やどの 萩花はぎはな咲けり 見に来ませ いま二日ふつかだみ あらば散りなむ
うちの庭 萩が咲いたで 見においで 二日もしたら 散ってしまうで》
                         ―巫部麻蘇娘子かむなぎへのまそのをとめ―〈巻八・一六二一〉

たれ聞きつ 此間ゆ鳴き渡る 雁がねの つま呼ぶ声の ともしくもあるか
《連れ呼んで 鳴き飛ぶ雁が うらやまし 誰かさんかて 聞いたんちゃうか》
                         ―巫部麻蘇娘子かむなぎへのまそのをとめ―〈巻八・一五六二〉

聞きつやと 妹が問はせる かりは まことも遠く 雲隠くもがくるなり
《聞いたかと あんたたずねる 雁の声 雲に隠れて 聞こえんかった》
                         ―大伴家持―〈巻八・一五六三〉 

秋づけば 尾花が上に 置く露の ぬべくも は 思ほゆるかも
《秋来たら すすき置く露 消えるに うちの命も 消えそに思う》
                         ―日置長枝娘子へきのながえのをとめ―〈巻八・一五六四〉

我が屋外やどの 一群ひとむら萩を 思ふ児に 見せずほとほと 散らしつるかも
うちの庭 れ咲く萩を いとし児に 見せず大方おおかた 散らしてしもた》
                         ―大伴家持―〈巻八・一五六五〉 

つれない心の  返し歌
家持は  自信を深めていた
〈これこれ  これぞ恋遊び
 我ながら  うまくなったものだ〉

坂上郎女の 苛々いらいらは募る
大伴家いえを思う 私の心根
 わからぬ家持であるまいに 
分不相応な  娘相手に 手当たり次第〉

坂上郎女から 謎めいたふみが届く
《家持殿 今少し 美味びみを食すと 思うたが 如何物いかもの食いとは 恐れ入る》


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