【掲載日:平成24年10月9日】
橡の 解き洗ひ衣の あやしくも 殊に着欲しき この夕かも
結ばれしたら 男は無邪気
軽口出るわ 惚気は言うわ
親密度合い 深まり行けば
古女房も また味が出る
楽浪の 志賀津の浦の 舟乗りに 乗りにし心 常忘らえず
《忘れへん わしの心に 乗った児を 志賀津の浦で 舟乗る様に》【船に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九八)
百伝ふ 八十の島廻を 漕ぐ舟に 乗りにし心 忘れかねつも
《忘れんで わしの心に 乗った児を 八十島巡る 舟乗るみたい》【船に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三九九)
(あの児その気や 嬉しで嬉し)
橘の 島にし居れば 川遠み 晒さず縫ひし 我が下衣
《川遠の 橘島に 住むよって 晒しもせんで 縫うた下衣やで》【衣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三一五)
(隠しとった児 とうとう貰ろた)
佐保山を おほに見しかど 今見れば 山なつかしも 風吹くなゆめ
《佐保の山 気にも懸けんと 見とったが 良え山やんか 風吹き荒れな》【山に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三三三)
(一寸見んうちに 偉ろ綺麗なった)
我妹子が やどの秋萩 花よりは 実になりてこそ 恋ひまさりけれ
《あの児家 庭の秋萩 花咲いて 実ぃに成ったら 偉ろ良うなった》【花に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三六五)
(結ばれしたら 益々綺麗)
橡の 衣は人皆 事なしと 言ひし時より 着欲しく思ほゆ
《櫟衣 誰にも合うで 無難やと 聞いたで直ぐに 着となったがな》【衣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三一一)
橡の 解き洗ひ衣の あやしくも 殊に着欲しき この夕かも
《橡衣 解き洗うて 草臥たんが 無性着たいで なんや知らんが》【衣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三一四)
おほろかに 我れし思はば 下に着て なれにし衣を 取りて着めやも
《良加減に 思とったなら 着古して よれよれなった 下衣また着んわ》【衣に寄せて】
―作者未詳―(巻七・一三一二)
(昔馴染みは 気遣い要らん)
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