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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂編(6)漕ぎ別れなむ

2009年08月11日 | 人麻呂編
【掲載日:平成21年8月12日】

留火ともしびの 明石あかし大門おほとに らむ日や
          ぎ別れなむ 家のあたり見ず


【明石海峡の落日、須磨浦展望台より】


石見の国 
(岩を見る国か・・・) 
荒涼たる 景色が 目に浮かぶ 
(歌読みの わしが 何故なにゆえ
宮仕えの つらいところか)
赴任の船は 難波の津を離れ 天離あまざかる ひなへと
人麻呂は 船縁ふなべりに立っている 
うつろな目 岸辺の風景が 過ぎていく

わびしさ つのる 旅か)
珠藻たまも刈る 敏馬みぬめを過ぎて 夏草の 野島のしまの崎に 舟近づきぬ
《にぎやかな 藻を刈る敏馬みぬめ 後にして 草ぼうぼうや 野島の岬》
                         ―柿本人麻呂―(巻三・二五〇)
(おお いい日だ 格好かっこうの歌情景 なのに・・・)
留火ともしびの 明石あかし大門おほとに らむ日や ぎ別れなむ 家のあたり見ず
《日ィ沈む 明石の大門おおと 目を返しゃ 大和とおなる 家も見えへん》
                         ―柿本人麻呂―(巻三・二五四)
(妻が 思い出される) 
淡路あはぢの 野島の崎の 浜風に いもむすびし ひも吹きかへす
《無事でねと お前結んで くれた紐 野島の風が 吹き返しよる》 
                         ―柿本人麻呂―(巻三・二五一)
(思いのほか 小ぶりな 赴任ぶねであった)
荒拷あらたへの 藤江ふぢえの浦に すずき釣る 白水郎あまとか見らむ 旅行くわれを
《藤江浜 すずき釣ってる 漁師りょうしやと 見られんちゃうか わし旅やのに》
                         ―柿本人麻呂―(巻三・二五二)
(旅ごころ 湧く 伝説の印南いなみ国原くにはら
 波も高い もう かなり来たな) 
名くはしき 稲見いなみの海の 沖つ波 千重ちへかくりぬ 大和島根は
稲見いなみうみ 次から次と 来る波に 隠れてしもた 大和の山々やまは》
                         ―柿本人麻呂―(巻三・三〇三)
(内海の島々 もたげる 歌ごころ)
大君おほきみの とほ朝廷みかどと ありがよふ 島門しまとを見れば 神代かみよおもほゆ
《にぎやかに 筑紫行きの 船とおる 瀬戸島せとじま見たら 神秘的やな》
                         ―柿本人麻呂―(巻三・三〇四)
過ぎゆく波頭なみがしら 景観の展開
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