goo blog サービス終了のお知らせ 

令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂編(12)鴨山の

2009年08月05日 | 人麻呂編
【掲載日:平成21年8月20日】

鴨山かもやまの 岩根いはねける われをかも
           知らにといもが 待ちつつあるらむ

湯抱ゆがかえの鴨山】


しみじみと 見る 依羅娘子よさみのおとめ
人麻呂が託した歌 
鴨山かもやまの 岩根いはねける われをかも 知らにといもが 待ちつつあるらむ
《鴨山で わしこのままで 死ぬのんか 
 何も知らんと お前待つのに》 
          ―柿本人麻呂―〔巻二・二二三〕
〔あなた 有難う 間際まぎわまで 私のこと〕

〔あの「なびけこの山」の 私のかえし歌 覚えていますか 心配した通りでしたよ〕 
な思ひと 君は言へども 逢はむ時 何時いつと知りてか わが恋ひずあらむ 
《安心し また逢えるやん うたけど 逢われんかったら どないするねん》  
                         ―依羅娘子よさみのをとめ―〔巻二・一四〇〕

〔いつも 言ってましたね「雲はい」って だから 荼毘だびにしました〕
〔灰は 霧の立つ 山間やまあいの川に
 好きだった海にも 行けますね〕 
ただの逢ひは 逢ひかつましじ 石川に 雲立ち渡れ 見つつしのはむ
《雲あがれ 逢いたなったら 雲あがれ 逢われへんけど 雲雲あがれ》 
依羅娘子よさみのをとめ―〔巻二・二二五〕
今日けふ今日けふと わが待つ君は 石川の かひまじりて ありといはずやも
《どこおるん 今か今かと 待ちよるに 貝と一緒に るてうんか》
                         ―依羅娘子よさみのをとめ―〔巻二・二二四〕

丹比笠麿たじひのかさまろさまが あなたに代わって かえし歌を下さいました〕
荒波に 寄りくる玉を まくらに置き われここにありと たれか告げなむ
《ここにる 波を枕に ここ居ると みんなに言うてや ここ居るよって》 
                          ―丹比笠麿たじひのかさまろ―〔巻二・二二六〕

〔村の人 私の気持ちを うたってくれたの〕
天離あまざかる ひな荒野あらのに 君を置きて 思ひつつあれば 生けりともなし 
《どう思う こんな田舎に 眠らして あんたどないや うちつらいけど》
                         ―作者不詳―〔巻二・二二七〕

歌人うたびと人麻呂」としてでなく 
一人の 「人」としての 安らかな眠り 



<鴨山>へ



<石川>へ