犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(020)あかねさす

2011年06月11日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【四月二十二日】放映分

あかねさす 昼は田びて ぬばたまの よるいとまに めるせりこれ

 《昼間ひるまには け仕事で いそがして よるひま見付け 摘んだせりやで》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―(巻二十・四四五五)


【万葉歌みじかものがたり】《吹きき敷ける》

  勝宝七年(755)八月 
大極殿南院 孝謙天皇催しの 内裏だいり
群臣 列席の中
安宿王あすかべおう 女官のきらびやかを詠う

娘子をとめらが たま裾引く この庭に 秋風吹きて 花は散りつつ
《乙女達 すそを引いて 歩く庭 秋の風吹き 萩花はな散っとおる》
                         ―安宿王あすかべのおおきみ―(巻二十・四四五二)

家持  歌作るも 用向きあって中座 奏さず

秋風の 吹きき敷ける 花の庭 清き月夜つくよに 見れどかぬかも
《秋風が 吹き飛ばしした 花庭はなにわは 月さわやかで おもむき深い》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四五三)
                                    八月十三日】

十一月 
さて 問題のうたげ 奈良麻呂邸

高山の いはほふる すがの根の ねもころごろに 降り置く白雪
《高山の 岩にえてる 菅根すがねやで びっしり白雪しらゆき 積もってるがな》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―(巻二十・四四五四)
                                    十一月二十八日】

この 
先月 よりの 聖武上皇 病状深刻に
 もしやのこと 有りし時 云々』
の 憂慮ゆうりょ言の葉 発せし 橘諸兄もろえ
これが 曲解きょっかい生み 策に利用されしか

上皇侮蔑ぶべつが件 経緯いきさつ聞いた 家持 
筑紫 で見た 苦悩旅人の顔 思い出す
(あれは 確かじん六年(729)二月
 藤原氏陰謀により 長屋ながやおう追い込まれ自害
 長屋王おうも左大臣であられた
  なんたる因縁 
 ひそかに聞くところ
 奈良麻呂殿 画策かくさくの 盟主候補
 黄文きぶみおう 安宿あすかべおうは 長屋王の御子おこ
  これまた 因縁)

もしやと家持 歌綴りを
(おう あったぞ あの頃の橘諸兄もろえ様の歌
 八月 改元の 天平元年(729)か
 なん と 長屋王様事件と 同年ではないか)
  
あかねさす 昼は田びて ぬばたまの よるいとまに めるせりこれ
昼間ひるまには け仕事で いそがして よるひま見付け 摘んだせりやで》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―(巻二十・四四五五)

大夫ますらをと 思へるものを 大刀たちきて 可尓波かには田居たゐに せりぞ摘みける
《役人の くせしてからに 大刀たちいて かには田んぼで せり摘んだんか》
                         ―薩妙觀せちみょうかん―(巻二十・四四五六)


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