犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(017)かからんと

2011年06月01日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【四月十九日】放映分

かからむと かねて知りせば 大御船おおみふね 泊てしとまりに しめはましを

 《こうなんの 知っとったなら あんたる 場所に標縄しめなわ (悪霊入らんよう)張っといたのに》
                         ―額田ぬかたのおほきみ―(巻二―一五一)




【万葉歌みじかものがたり】き別れなむ》
稀代きだいの英雄 ここに 死す
 に 天智十年(671)十二月三日

大化 の改新の口火を切り
孝徳・斉明朝 皇太子として 実権を掌握しょうあく
豪族による合議体制から 天皇おおきみ中心政治への道筋
内憂ないゆう外患がいかんの日々
白村江はくすきのえの大敗
これ を 機に 近江大津へ 遷都
天智天皇おおきみとして即位
即位 後五年
四十六年 の生涯であった
弟 大海人おおあま皇子おうじとの 確執かくしつ
大海人おおあまが 吉野に隠遁いんとんしたのは 二か月前
大友皇子に 後をたくしたものの
不安に駆られた 臨終りんじゅうであったろう

額田王 は ありし日々を 思い描いていた
大王おおきみとの 日々は わたしの生きた 日々
 が いつも あった

宇治の仮廬かりほ
熟田津にきたつの船出
三輪山 との別れ
蒲生野がもうのの薬狩り
春秋競いのうたげ
もう すだれに吹く風を 待つこともないのだ

かからむと かねて知りせば 大御船おおみふね 泊てしとまりに しめはましを
《こうなんの 知っとったなら あんたる 場所に標縄しめなわ (悪霊入らんよう)張っといたのに》
                         ―額田ぬかたのおほきみ―(巻二―一五一)

鏡山かがみやまの麓 
服喪ふくもの人々が 去っていく
やすみしし わご大君の かしこきや 御陵みはかつかふる 山科やましなの 鏡の山に よるはも のことごと 昼はも 日のことごと のみを 泣きつつありてや 百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとは き別れなむ
天皇すめらみことの 墓りと 鏡の山に 集まって 夜昼なしに 泣きつづけ 終わって仕舞しもて みんなぬ 散り散りなって 帰ってく》
                         ―額田ぬかたのおほきみ―(巻二―一五五)

人々の 去るのを見届け 額田王おおきみは 静かに 鏡山をあとにする
その後 額田王おおきみの行方は 定かでない


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