端渓硯

2011-05-13 00:58:53 | お宝
二十代の終わりごろ
ふとそんな時間ができたので、
墨を磨って
書道を楽しんでいた

紙にも凝るようになると
自然に花や季節のものより
ちょっと赤い線が入っただけ
というような中国的な方へ傾いた

文房四宝というけれど
あ、そうだ

母が以前から「うちには端渓がある」
と言っていたのを思い出し
私がもらうことにした

端渓は唐時代からの硯の銘品で
広州の西に位置する谷から掘られる
今では資源保護のために坑道は塞がれているという

我が家のは祖父が骨董の一つとして
持っていたものだった
石には葡萄の模様が刻まれ
硯の石にぴったり合わせて箱も作られている

文房四宝に凝らなくなった今は
100円ショップのボールペンと便箋で手紙を書くが
またいつか贅沢ができるようになったら
端渓の硯で墨を磨って
手紙を書きたい