2011-05-09 00:00:21 | 植物
桐の花を初めて認識したのは
足元だった
隣家との境に桐の木があることを
そのとき知った

落ちていた花の色は
子供の心にも
ただならぬ高貴な気配を感じさせた

見上げると遠い梢の先に
花の集まりが

手を伸ばしても届かない花に思えた
                 

神楽坂に住まいを探しに来て
地下鉄の階段を上っていたとき
五月の空の中に鮮やかに現れたのは
新潮社の桐の木だった

それ以来毎年見に来る

成長の早い桐の木は
花が遠くにあってまぶしい

色と形を確かめられるのは
足元に落ちている花だけ