中国の瓶

2011-05-27 00:00:18 | お宝
ある人々の間で
山田茶碗と呼ばれる銘品がある

山田が作ったわけでもなく
山田が所有したわけでもない

その日ヤマダクンは
手のつけられないくらい
落ち込んでいた

ある美術館のサロンで
来客にお茶を出す手伝いをしていて
流しのそばで
作家物の唐津を割ってしまったのだ

作家はもとより
「茶碗は割れるもの」
と言っていたから
ヤマダクンだけが気にしていた

破片が片付けられ
しばらくすると見事な漆接ぎで
作家の個展に登場した
               

全国の三越をまわり、
パリの三越にも運ばれ、
絵はがきにもなって
よく売れた(とか)

地震の直後神楽坂の交差点で
茶碗を接いだヨシダセンセイ(4/22のブログ参照)に
お会いしたので
我が家にお茶でもとお誘いすると

ヨシダセンセイは
棚の隅に転がっている割れた花瓶に目を留めて
「直してあげましょうか」
「いいえ、もっとほかに直して頂きたい物があります」

取り出したのは猫が蹴り割った瓶。

子供の頃母が大事に飾っているのを見て
気持ちが悪いと思っていた

子供でこれが好きな方が気持ちが悪いけど
祖父の骨董収集の一つと聞いていた
形は中国のものだけど鉛がはいっているかのように重い

「ひと月ほどお預かりします」

一ヶ月後に戻ってきた瓶は
               
滑らかに接がれてぴっかぴかに
そういえば母も私も一度も洗ったり磨いたりしたことがなかった。
               
ヨシダセンセイって何者?

細川護煕作陶展
6月1~6日 大阪三越伊勢丹にて
細川が作り、山田が割り、吉田が繕った
山田茶碗も見られる(はず)