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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:・皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

2019-04-02 09:27:25 | 書評:その他
 


 作家の三浦しをんさんと、政治学者にして「鉄」学者の原武史さんの対談集。三浦さんが作家だというのは、知らない人は少ないだろう。一方の原さんだが、本業は政治学者で近現代の天皇制について研究している。もう一つの「鉄学者」の肩書だが、「哲」学者の間違いではない。「鉄」学者である。要は鉄道ヲタクということだ。大の鉄道好きの団地好き。だから対談の本筋は明治以降の皇室についてだが、時々鉄道の話に脱線する。

 例えば三浦さんが「『シン・ゴジラ』を観ましたか?」と問いかけると、原さんは、「はい、観ましたが、鉄道的には見るところがなかったですね」(p108)と答える。原さんによると新幹線は電車ではないらしい。「だって、新幹線車中では、寝てるか仕事してるかだけですよ。景色もろくろく見えないじゃないですか」(p165)ということのようだ。

 ゆるゆるとした雰囲気の対談がメインだが、所々に対談を纏めたと思われる編集部の書き込みが面白い。一例として、松本清張の小説「神々の乱心」に出てくる女官の世界について「究極の女性社会である「女官の世界」。三浦は震え、原は興奮した」(p032)という具合である。

 しかし、単にゆるゆる対談を繰り広げているばかりではない。なかなか三浦さんのツッコミ具合がいいのだ。女性の神様アマテラスの子孫である天皇家はなぜ女系を採用しなかったのかとか、女性皇族の結婚問題において、なぜ男性側の職業や稼ぎだけが問題になるのかなどと疑問を呈する。

 この他にもなかなか興味深いことがいっぱい。近現代の皇室に関する話題に興味がある人は一読してみるといいだろう。

☆☆☆☆

 

 

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