文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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「高校の英語の授業は英語で」 そんなことできるの?

2008-12-23 10:08:33 | オピニオン
 さる22日に公表された13年度からの高校学習指導要領改訂案で、「英語の授業は英語で行うことを基本に」という方針が示され、現場の教師たちに動揺が広がっているという。

 「英語の授業を英語で」という、一見ごくまともに聞こえる改革だが、私には、現場を知らない文部官僚が、机の上だけの思いつきで、またやったなというようにしか見えない。

 教師側に、会話が苦手だとか自信がないというのは、もちろん論外な話で、自分の「飯の種」を育ててくる努力をしてこなかったわけだから、人を教える職業についている人間の意見としてはあまりにも情けない。

 第一の問題は、生徒側のレベルである。都会の進学校ならまだしも、例えば田舎の公立高校などは個人個人のレベル差(あくまでも英語の学力でと言う意味だが)が激しい。どこに焦点を置くかが非常に難しいのでは思う。3年間、「こんにちは」レベルの授業だとしたら、壮大な時間の無駄遣いだ。さらにテレビドラマの「ごくせん」で仲間由紀恵が教えていたようなクラス。あそこまでのクラスが本当にあるかどうかは知らないが、あんなクラスで英語で授業をすれば、生徒はみんな脱走してしまうだろう。

 第二の問題として、英語の授業を英語で全部やるとすれば、日本語に翻訳する機会はほとんどなくなってしまう。英文を、正しい日本語に訳すというのは、かなり高度な知的作業である(現在でもこれがまともにできているとは思えないのだが)。英語は、基本的には、英米に行けば子供でもしゃべっている、ただの技術にすぎない。中学校レベルならそれだけでもいいだろうが、高等教育機関で教えるには、もっと知的なものが伴う必要がるだろう。その知的作業を捨てて、英語をすべて暗記と反射神経のみの訓練にしてしまうというのも考えものだ。

 思い返せば、私たちの大学入試のころは、かなり難解な英文が出題された。しかし、最近では、そんな問題を出すと、生徒が全くついてこれないと聞く。指導要領の改正で、こんな状態がますます加速されないことを祈るばかりである。 


英語で授業…「正直、無理」 高いハードルに先生困った(朝日新聞) - goo ニュース

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