本書は、田中芳樹さんによる原作小説を垣野内成美がコミカライズしたもののひとつだ。女王様こと薬師寺涼子と、その下僕もとい部下の泉田準一郎警部補が、不可思議な事件に挑むというのが大きなストーリーである。
今回二人は、涼子の別荘のある軽井沢に来ている。涼子はドラキュラもよけて通るドラよけお涼との二つ名を持つくらい過激なのだが、実は超お金持ちのお嬢様。同じ頃軽井沢には食品と農業の分野で、世界最大級の企業グループのオーナー一族マイラ・ロートリッジが来た。涼子が軽井沢に来たのはマイラのパーティに招待されたからだ。涼子たちが対峙するのは、このマイラとその娘アーテミシア、そしてロートリッジ家主治医のスティーブ・モッシャーが起こす怪奇な事件。
この作品、垣野内成美さんのコミカライズで成功していると思う。小説版を読んでも、垣野内さんのキャラが頭の中で動いているのだ。
ただ一つ気になるところがある。ヒロインの薬師寺涼子はキャリアの警察官僚で27歳警視の警視庁刑事部参事官と言う設定だ。この設定はあり得ない。参事官と言うのは副部長にあたり、課長より上の役職で、階級は警視正もしくはその上の警視長になる。27歳の警視ではなれない役職だ。涼子だけなら、特別にと言うこと設定もあり得るが、同期の室町警視も警備部参事官なので、そういうことも考えにくい。
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