この四巻は異例の短さだ。三巻が昭和8年の7月10日で終わっているので、翌7月11日から始まっているのだが、7月16日で終わっている。それも、7月14日から16日までの出来事は、『行乞記』(青空文庫では「行乞記08」の方に書かれているので。実質は17月11日から13日の三日間の日記である。そして、五巻は昭和9年2月4日から始まっている。
山頭火は、彼の行動を「行乞記」や「其中日記」など、色々な日記に書き分けているが。昭和8年12月28日~翌昭和9年2月3日の記録は無いようである。何かあったのかと色々べてはみたのだが、結局よく分からなかった。
ただ、彼は思うところがあって、昭和5年より前の日記を全て燃やしたというから(だから彼の日記は昭和5年の9月9日から始まっている)、本当にこの間の出来事を書き記さなかったのか、燃やしてしまったのかそのあたりは分からない。
ただこれだけ短い日記の中にも、彼の孤独感、寂寥感がすけてみえるような気がする。
ふるさとちかく住みついて雲の峰
(中略)
或る日はしづかでうれしく、或る日はさみしくてかなしい、生きてゐてよかつたと思ふこともあれば、死んだつてかまはないと考へることもある、君よ、孤独の人生散歩者を笑ふなかれ。
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