文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:謎好き乙女と奪われた青春

2016-02-23 07:18:18 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
謎好き乙女と奪われた青春 (新潮文庫nex)
クリエーター情報なし
新潮社

・瀬川コウ


 何よりも赤坂アカさんによる表紙イラストの感じが秀逸な本書。思わずジャケ買いしたくなる作品だ。シリーズものとなっており、これはその1作目。

 本作は、藤ヶ崎高校に通う矢斗春一と早伊原樹里の物語。春一は、ミステリーを巻き起こす人物として有名だった。そこに目を付けたのが、新入生の美少女・早伊原樹里。恋愛などには全く興味がなくミステリー大好きという彼女が、いっしょに「青春」する(つまり、ミステリーを解く)仲間として目を付けたのである。この樹里、かなりの変わり者で曲者だ。春一はなし崩し的に樹里の彼氏ということにされ、いっしょに「青春」させられることになってしまう。

 実は、春一の回りでミステリーが起きるのにはある秘密があったのだ。本作は、それをストーリーの中骨にして、これにカンニング事件や春一の浮気告発メール事件などのエピソードを織り込み、青春ミステリーとしてうまく仕上げている。春一のミステリー体質に関しては、ラストにちょっとした叙述トリックが仕掛けられているのだが、これの必要性はよくわからなかった。却って作品を分かりにくくしているのではないかと思う。

 もうひとつ、春一がミステリー体質になった原因である中学時代のいじめ事件。これが原因で、春一は高校で普通の青春を送れなくなってしまったのだが、中学生のやることにしてはどうかなという感じがつきまとう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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