野村美月と竹岡美穂のゴールデンコンビによる新シリーズ
「楽園への清く正しき道程」。その1作目となる
「0番目は北国産のツンドラ王妃?」。実は副題の最後に「?」がついているのには意味がある。
ローデシアの新国王となったルドヴィークは、元服屋の若旦那。王位に就いた兄3人が次々に亡くなったため、庶子だった彼にお鉢が回ってきたというわけだ。
国内には彼が王になったことを快く思わない一派もいる。王としての基盤を強めるため、ルドヴィークは北の大国エンドラ帝国のカテリナ皇女を妃に迎えることに。
カテリナが類いまれなる美女と聞いて期待で一杯のルドヴィークだったが、カテリナは彼の顔を見るなり、
「ズロース(エンドラ語でキモイ)」。
なんとかカテリナと仲良くしようとするルドヴィークだが、カテリナは徹底的に彼を避ける。ツンデレ娘どころか、まさに副題通りのツンドラ娘。王妃との関係に悩むルドヴィークだが、物語は思わぬ方向に進んでいく。
野村美月の描く美少女が、性格が悪くて可愛げのないただのツンツン娘であるはずがない。もちろんカテリナがツンドラ娘を演じているのには、ある理由があったのである。本当のカテリナは、他の野村作品に出てくる美少女と同じくとっても可愛らしくて魅力的な娘なのだ。冷酷キャラを演じていても、どこか演じきれていないところがある。また、全体を流れるコミカルな雰囲気も他の野村作品と同じだ。
帯には、このシリーズはルドヴィークが7人の恋人と正しいハーレムを作る物語だと書かれている(ただし、予言によれば、7番目は決して手に入らないらしい)。しかしこのルドヴィーク、女性たちからの人気も抜群なのだが、これまではいつもいわゆる「いい人」扱いで終わってしまっていた。自分の妻である王妃からも結局「いい人」に認定されてしまったようだが、これではハーレムづくりは前途多難だろう。果たしてこの後どうなることか。
副題には、カテリナは7人の中の「1番目」ではなく、「0番目」となっている。確かにこの巻の内容からは「0番目」かな。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ
「風竜胆の書評」に掲載したものです。