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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

QED 源氏の神霊

2022-07-07 10:04:44 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 QEDシリーズ、本編の方は完結したとばかり思っていたが、まだまだ続いていたようだ。おなじみ、桑原崇と棚旗奈々のコンビが歴史上の謎と組み合わせて、現実の事件の謎を暴くというものである。

 ところで、桑原崇と棚旗奈々って、まだ結婚していなかったんだね。桑原君、寺社巡りばかりしていないでそろそろ決めようよ。計算したら奈々ちゃんなんてアラフォーだよ。いつまで待たせるんだ。

 奈々ちゃんのの妹の沙織なんて二度も結婚しているのに、それも二度目は子連れ結婚。まあ、相手が熊つ崎こと小松崎くん(明邦大学の崇の同級生で奈々の先輩。空手部の首相だったという設定。その体つきから、崇は熊つ崎と呼んでいたが、最近その熊つ崎というのも略して「熊」と呼んでるらしい)だったので、収まるべきところに収まった感じはあるんだが。

 さて今回の歴史上の謎は源頼政に関するもの。この人物、鵺退治で有名だが、なんと77歳で以仁王の令旨に呼応して、平家に対して挙兵している。どうしてそんな老齢になって挙兵したのか?そして京都府亀岡市には、彼の遺骸を祭っている頼政塚というものがあり、地元には、この塚に無礼なふるまいをすると祟りがあるという伝承がある。どうして彼は祟り神として扱われるようになったのか?

 そして現実の世界では、この頼政塚で水瀬正敏という男が割腹自殺をしているのが発見される。そしてその息子の義正が、遠く離れた関門海峡で死んでいるのが発見された。そして、新下関大学助教授の玉置愛子も関門海峡に浮かぶ死体で発見される。

 この物語に出てくる場所は、主に宇治の平等院、下関市の赤間神宮。出てくる主要人物は、頼政の他に木曾義仲そして安徳天皇。

 面白かったのは、木曽義仲の話。義仲に連れ添った女性武将としては巴御膳が有名だが、他にも葵御膳とか山吹御膳という女性もいたようだ。これは初耳。

 そして決定的なのが安徳天皇女帝説。こちらもなかなか興味深い。ただし現実の事件の方は、今時源氏の末裔とか平家の末裔とかを気にする人間がそう沢山いるとは思えない。そもそも源氏とか平家だとか言っても、それは男系のみ。女系の方で見れば、良く分からなくなっているのではないだろうか。

 崇の次のセリフはいただけない。

「陰陽道や九星気学は、明らかに統計学ですからね。(以下略)」(p219)


 いや、誰もそんな統計知りませんから。どこが明らかやねん。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官

2022-06-27 09:12:05 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 本作は、著者による「法医昆虫学捜査官」シリーズの第7弾となる。法医昆虫学とは、昆虫の生態を犯罪捜査に活かしていこうというもの。主人公はもちろん法医昆虫学者で大学准教授(大学名不明)の赤堀涼子先生。前作から警視庁の組織である捜査分析支援センターに所属しているが、大学にも籍があり、兼任のようである。

 この作品では、最初にウジの洗礼を受けるというのがお約束なのだが、今回はそれに加えて、謎の虫刺されに、被害者の解剖の場にいたものが襲われる。この虫に刺されるととにかくものすごくかゆいのだ。おまけに、薬はまず効かない。実はこれ台湾などにいる小黒蚊という吸血性の昆虫なのだが、痒みを和らげることができるのは、ハッカ油だけ。

 今回の事件の被害者は、72歳の飯山清志という一人暮らしの老人。なんと宝くじで1億を当てている。今回の事件はそれを狙った犯行のようだ。犯行現場には、大量のクチグロ(カバキコマチグモ)がいた。

 小黒蚊やクチグロも別にそれほど作品中に大きな役割を占めておらず、これなくしても話は組み立てられるんじゃないかと思う。この作品では、ツバメが運んできたことになっているが、それにしては数が多すぎるような気がする。
 
 事件の解決に繋がったのは、3番目に出てきたシバンムシ。これとて、聞き込みの途中で偶然出てきた感が強い。

 なお表題にあるスワロウテイルとは、ツバメの尾と言う意味で、転じて、燕尾服やアゲハ蝶のことなどを言う。この話、確かにツバメは出てくるのだが、テイルの部分はあまり関係ないかな。消失点も、ツバメが巣作りをしなかったことを指すのかもしれないが、分かり難い。

 このシリーズでは赤堀先生か岩楯刑事のどちらかが、ひどい目に合うというもうひとつのお約束がある。今回は岩楯刑事の番のようだ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 089 百四十四夜

2022-06-25 08:35:20 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この話もいつものように平次と八五郎の掛け合いから始まる。平次は相変わらずの貧乏暮らしで、この掛け合いの中で、平次が店賃を溜めていることが判明する。今回平次は、石原の利助の娘であるお品を助けている。

 この利助、かっては平次と張り合って、散々嫌がらせもしたようだが、今は中風気味で引きこもっており、娘のお品が娘御用聞として、十手取縄をなんとか守り通しているが、ここらで大きな手柄を立てなければ、返上も免れないところまで来ている。しかし、そんな利助の娘のお品を助けてやるのだから、平次も優しい。

 さて事件の方だが、三年前、大阪に送る幕府の御用金5千両が、宇津谷峠で三人組の凶賊に奪い取られた。この事件を調べに行ったのが石原の利助というわけだ。三人のうちの一人・三州の藤太が駿府で役人に切られて死んだが、死ぬ前に、5千両を頭分西国浪人赤井市兵衛が隠していると白状したという。そして、藤太の煙草入れの中には鍵が1つと、次の言葉が書かれていた紙片が入っていた。
「大船町市兵衛百四十四夜」と。つまり、これがキーワードというわけだ。

 平次は、このキーワードなどから、赤井市兵衛が、小舟町の白石屋半兵衛に間違いないとあたりをつける。ところがこの半兵衛が殺される。そしてこんどは番頭の喜助が殺された。果たして事件の真相は? 三人組の残る一人稲妻小僧の正体は?

 キーワード自体は「なあんだ!」と思う人が多いかもしれないが、最後のどんでん返しは、結構面白かった。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 013 美女を洗ひ出す

2022-06-09 08:25:01 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 このシリーズには、珍しく八五郎が平次のところに飛び込んできて始まるというのとは違っている。事件は芝三島町の學寮の門出、疾風の綱吉という土地の遊び人が殺されるという事件が起きた。

 犯行現場あたりを縄張りとしている御用聞きは柴井町の友次郎だが、八五郎は川崎大師からの帰りにこの騒ぎに出くわしたのだ。つまり今回の事件のへぼ探偵役は、ドラマに出てくるいつもの三ノ輪の万七ではなく、柴井町の友次郎という訳だ。この友次郎、へぼ探偵のくせに、誤認逮捕は当たり前という迷惑な奴らしい。

「まアね。後學の爲に話して置かう。ネ、八兄イ、よく見て置くが宜い。これはお前、脇差や匕首を突立てた傷ぢやねえ、肉の反り具合から言ふと、槍でなきア、よく磨いた鑿のみだ」


ということで、友次郎は、露月町の大工の棟梁で、辰五郎をお縄にしてしまう。綱吉と辰五郎は、水茶屋のお常という美女を張り合っていた。

 もちろん自信たっぷりに言った友次郎の推理は大外れ。そして辰五郎は昔八五郎が世話になっていたことから平次が事件に関わってくる。

 それにしても、平次の以下のセリフ

「柴井町の友次郎を向うへ廻すのは厭だな」


 平次にはこんなところがある。他の岡っ引きに極端に気を遣うのだ。これは最近の警察小説で、警察の縄張りを気にするシーンがあることと共通しているのかもしれない。

 そして、なぜか平次は、お常の水茶屋に入り浸りになる。そんな平次が襲われたことで、辰五郎は無実ということが判明して解放されるが、こんどはその辰五郎が殺される。

 その後も犯行は続き、それにつれてなぜかお常はどんどんみすぼらしくなっていく。平次が真実に行きついたときとった行動とは。最近のミステリーには、警察は「犯人を捕まえるのが俺たちの仕事だ」とばかりに、十分な情状があっても逮捕してしまう。しかし平次はそんなことはしない。死人に口なしとばかりに、悪人にすべての罪をなすりつけ、情状がある人間は、たとえ殺人でも見逃す。このあたりも、平次の魅力の一つだろうと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 249 富士見の塔

2022-05-18 20:12:54 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

この話も、いつものように平次と八五郎の掛け合いから始まる。開口一番八五郎はこう言うのだ。

「親分、金持になつて見たくはありませんか」



 平次は貧乏暮らしだが、貧乏なことにプライドをもっているようなところがあるのでこう応えた。

「又變な話を持つて來やがる、俺は今うんと忙しいところだ。金儲けなんかに取合つちや居られねえよ」


こんな調子である。

 さて今回の事件の方だが、十二社の榎長者と呼ばれている太左衞門が亡くなり、何百年も貯めた宝がどこにも見つからず、その在りかを探してくれというのだ。その例がなんと百両。しかし平次は気が乗らないようである。

 この榎長者の義理の弟と名乗る與八郎という男が、平次のもとを訪れ、宝を探してくれと頼むが、平次はけんもほろろな対応で断る。

 ところが、この與八郎が殺され、殺人事件ということでようやく平次は重い腰を上げる。ついでに宝のありかも明らかにするというわけだ。タイトルの富士見の塔というのは、塔に登れば大きな富士山を見ることができるという3階建ての高い塔で屋敷の後ろに建てられていた。この富士見の塔が焼け落ち、その塔を占拠していた與八郎が死んだのである。

 実は與八郎は、太左衞門の義理の弟でもなんでもなく、太左衞門の死後に弟分だと言って乗り込んできたというチンピラである。もちろん今だったら相続権も何も無いので、即たたき出されたと思うが、江戸時代だからか、田舎だからかはわからないが、結局富士見の塔を占拠してしまった。というのは宝の在りかはこの富士見の塔に関係しているらしいのだ。

 キーワードは、太左衞門が生前妻に語っていた「春分、日午、探頂、獲寳』という言葉。ミステリーファンならこの言葉で、宝の在りかが分かったかもしれないが、平次も見事に宝の在りかを言い当てる。

 與八郎は碌でもない男だったので、平次は犯人を縛ったりせずに帰っている。それどころかアドバイスまでしているのだ。この類のものは、杓子定規に犯人を捕まえるというものが多いが、平次は結構こういうところがある。これも平次の魅力の一つだろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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ふたりの距離の概算

2022-05-12 08:25:52 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 高校までは、学校でマラソン大会があった人も多いだろう。私の場合もあった。さすがに大学ではそんなものはなかったが。走るのが好きで、歳をとっても走っている人もいるが、私のように走るのが好きでははない人間にとっては、ほんと迷惑この上ない催しものだった。

 さて本書であるが、古典部シリーズの5作目にあたる。もちろん主人公は、折木奉太郎をはじめとする古典部の面々。彼らが通う神山高校は文科系部活が盛んなことで知られるが、この迷惑なマラソン大会があった。正式には「星ヶ谷杯」というらしいが、その名で呼ぶ人はほとんどおらず、単に「マラソン大会」と呼ばれることが多い。ちなみに、20キロを走るので、正規のマラソンの約半分を走ることになる。

 今回のテーマは、古典部に仮入部していた大日向友子という侵入生が、本入部しないといった理由を推理するということ。それも奉太郎がマラソン大会で走っている最中に考えるのである。

 大日向はその際、部長の千反田えるのことを、「千反田先輩は菩薩みたいに見えますよね」と言った。「外面似菩薩内心如夜叉」という言葉がある。要するに菩薩のように見えるということは、心は夜叉のように恐ろしいということだ。なぜ大日向はそんなことを言って本入部しなかったのか。

 一応は謎解きを主体にしたミステリーに分類されるのだろうが、別に殺人事件のような大きな事件が起きる訳ではない。どちらかというと古典部員たちの高校生活を描いた青春小説としての色彩が強いだろう。しかし20キロも走るとなると、ため息が出るなあ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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神の時空 倭の水霊

2022-05-04 10:03:53 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 歴史は時の権力者に都合のいいように書かれているというのは、よく指摘される話だが、ここでの主張は、後づけで美談のようにされる場合もあるということ。描かれる歴史上(神話上?)の事件は、日本武尊と弟橘媛。

 日本武尊とは、景行天皇の息子で仲哀天皇の父である。日本古代最大の英雄と言われているが、残された記述を読む限りそのような感じは受けない。なにしろ熊襲タケルを討った時は、女装をして、尻から剣を突き立てたそうだし、出雲タケルを討った際には、剣を入れ替えている。要するに騙し打ちをしたということなのだが、けっして英雄らしい行為とは思えない。昔は今とは価値観が大分違うのだろうか。また、双子の兄の大碓命を殺して手足をもいで捨てたという話もあるが、本書ではその話には疑問を呈している。

 そして、弟橘媛は、日本武尊の妻とされているが、走水海で海が荒れ狂ったとき、自ら海神の生贄になったという美談で有名だ。昔は「港、港に女あり」という自慢をしていた船乗りもいたが、日本武尊の場合は「遠征先に妻あり」といったところか。色々なところに現地妻のような人物がいるのだ。そして、弟橘媛は、日本武尊よりもずっと強い怨霊だとされている。ただし、弟橘媛が怨霊だということは割と詳しく説明されているのだが、日本武尊の方は、怨霊だとされているものの、この巻では、それがなぜかという説明はされていないが他の巻では説明されているのだろうか。

 さて、現実の事件の方だが、涙川沙也という25歳のOLが、男が殺されてるところに出会わす。その男は、沙也のストーカーだった徳田憲と言う男。そこから沙也は、殺人事件の犯人として追われることになる。その裏には、日本武尊と弟橘媛の怨霊を呼び覚まそうという恐ろしい企てがあった。それに対抗するのがこのシリーズの主人公である辻曲家の兄妹という訳である。

 本書は、QEDシリーズと同じように、古代史に新たな光を与え、それまでの伝統的な解釈と違う見方を示してくれる。そして、現実の事件と古代の事件を絡めているというのは他のこの作者の作品と同じ。他の巻も読めば一層楽しめるだろう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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珈琲店タレーランの事件簿 7 悲しみの底に角砂糖を沈めて

2022-04-22 08:49:34 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この巻は、7つの短編集になっている。7巻目だから7つ短編を治めたという訳ではないだろうが、これらの短編に共通しているのはバリスタの切間美星が、喫茶店の客の話を聞いて、その謎ときをするというもの。ただ美星がハンドミルをコリコリ回して、コーヒー豆を挽きながらこう決めゼリフを言うシーンはない。
「その謎、たいへんよく挽けました―」
さすがに、作者も恥ずかしくなって止めたか。

 もうひとつ、この巻には美星の彼氏たる「アオヤマ」君は出てこない。ただ最後の話に、男性店員なる者が出てくるので、もしかしたらそれが「アオヤマ」君なのかもしれないが。いや夫婦漫才をほうふつさせるような掛け合いをしていたので、その可能性は高いが。

 収録されているのは、次の7編。いずれも事件そのものは、殺人事件のような大きなものではない。

〇ビブリオバトルの波乱
 ビブリオバトルの決勝で、順番を決める抽選箱に、7と8の数字のスタンプを押されたくじがなくなり、その代わり3と4の数字が押されたくじが入っていた。いったい誰がなんのために。

〇歌声は響かない
 高校時代の美星の話。美星は歌手になりたかったらしい。

〇ハネムーンの悲劇
 加納七恵の姉夫婦が、ハワイにハネムーンに行こうと関空に向かっているときに交通事故事故にあい、義兄は死亡。姉も重体に。その後姉は回復したが、彼女には行ってないはずのハネムーンの記憶が。そしてキャリーバッグの中には、姉がお土産に買ってくると言っていた、現地にしか売っていないはずのコーヒー豆が。

〇フレンチプレスといくつかの嘘
 客のカップルの男性に美星がコーヒーをフレンチプレスで入れたので、最後まで飲まない方がいいと告げる。でも実際にはハンドドリップで入れていた。その理由は

〇ママとかくれんぼ
 ガールズバーで働いている結城英美里は、子供の頃母親に、東京から福知山にかくれんぼをするために、連れていかれた。その後両親は離婚し、英美里は弁護士である父親と暮すことに。ところが母親の再婚相手から、母親が乳癌で長くないからあって欲しいと言われる。

〇拒絶しないで
 美星が大学生の柔道部員から告白される。美星はその学生とお友達からということで連絡先を交換するのだが、別の客からナプキンに「拒絶しないで」と走り書きで伝えられていた。

〇ブルボンポワントゥの奇跡
 浅井一太の下に、昔の元カノから電話がかかってくる。彼女は同性の同僚と間違えたと言っていたが、一太は、携帯のキャリアを変えて、その際電話番号も変わっていた。なぜ元カノは知らないはずの電話番号に電話することができたのか。

 しかし、いくら不思議がっていても、喫茶店でいきなり、店員から謎解きをされたらびっくりするだろう。正に奇人変人。美星、どんどんその変人ぶりをエスカレートさせて欲しいと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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半七捕物帳 44 むらさき鯉

2022-04-20 10:18:25 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 半七捕物帳には、前半が怪談仕立てになっており、後半その仕組みも含めて半七が解き明かすというものが収められているが、この話もそんな一つだ。

 まず前半だが、この話の舞台は小石川と牛込のあいだを流れている江戸川。ここは御留川になっており、殺生は禁じられていた。御留川になっているということは、ここで猟や釣をしてはいけないということだ。そしてこの川には紫色の鯉が泳いでいた。

 紫色の鯉といっても、別に普通の鯉より美味しいと言う訳ではないが、本来採ってはいけない鯉を食べたがる人間がいる。要するに味はともかく、希少なものに価値を見出すのである。

 牛込無量寺門前の小さい草履屋の亭主藤吉を訪ねて夜中に女が訪ねてきた。この藤吉は御留川で夜釣りをしてむらさき鯉を釣っていた。あいにく藤吉は留守で、対応したのは女房のお徳。この女の言う事には、この店にやってきたのは、夢で、むらさきの着物を被きて、冠をかぶった上品な人を見て、起きてみたら枕元に紫がかった金色の鱗のようなものが落ちていたからだ。そしてむらさき鯉を持って行ってしまった。

 その後藤吉が帰ってきたが、釣り仲間の紙屋の亭主為次郎が川に引き込まれたという。ところが、この為次郎は生きていて、藤吉は死骸になって江戸川に浮いていた。そして為次郎は御留川で夜釣りをしたことはないという。

 この怪談じみた事件を解き明かすのが半七親分というわけだ。もちろん終わってみれば不思議な事など何もなかったのである。半七親分の活躍ぶりを楽しみたい人にはいいだろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 103 巨盗還る

2022-04-05 08:33:21 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この作品は、いつものように平次と八五郎の掛け合いから始まる。掛け合いのない作品もあるが、これがないとちょっと寂しい。

 さて、今回の事件だが、麹町六丁目にある両替屋・櫻屋の評判娘が、残酷な殺され方をしたという。美人の娘が殺されるような事件に、やたら悔しがるのが八五郎のいつもの姿。別にその美人娘と八五郎には何の関係もないが、美人が殺されるのは八五郎には許せないらしい。

 そして平次のもとに手紙が来る。かって平次がお縄にして、処刑寸前で縄抜けをして逃亡した、日本一と言われた大泥棒お狩場の四郎からの挑戦状である。そして櫻屋の主人六兵衛は、四郎との因縁があった。

 櫻屋のあたりは、十三丁目の重三という岡っ引きの縄張りである。この重三が今回の平次の引き立て役。平次の引き立て役といえば、三輪の万七だが、原作の方ではいつも彼が出てくるわけではない。テレビドラマでは引き立て役は万七に決まっているようなところがあるが、原作の方では、結構引き立て役が多い。

 お狩場の四郎の件もあり、この事件に平次が乗り出すのだが、意外な結末が待っていた。それにしても、手柄を重三に譲るとは、平次結構世渡り上手?

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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