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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

半七捕物帳 07 奥女中

2021-01-19 08:52:17 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 これも半七捕物帳の中の話。半七親分は、知り合いのお亀から相談を娘のことで相談を受けた。お亀の娘はお蝶といい、今年17歳になる美しい娘だった。お亀はこのお蝶といっしょに永代橋の際で茶店をやっていた。

 このお蝶に起こった不思議な出来事。いきなり攫われて、どこかに連れていかれた。しかし10日経つと真っ青な顔をして帰ってきたという。聞けば、どこかのお屋敷で、風呂に入れられるわ、綺麗な着物を着せられるわで、ひどいことはされなかったそうだがなんとも不気味な思いをしたそうだ。そしてまたお蝶が行方不明になり、10日後にはもどってきた。しかし、3度目に行方が分からなくなったとき、お蝶は戻ってこなかった。

 このように最初は、ちょっと怖い感じで進んでいく話。これがスリラーなんかだったら、狐に化かされる話かもしれないが、種明かしされればなるほどという気もする。それにしてもお蝶さん優しいなあ。でも最後は、怖いことはなにもなかった。それどころかお蝶さん、結局は良かったのかな?

 母親の名前がお亀で、娘がお蝶。この名前を見ただけで鳶が鷹を生んだような感じを受ける。うまいネーミングだと思う。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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半七捕物帳 08 帯取りの池

2020-12-20 09:57:26 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 かって、市谷にあったという帯取りの池。この池の上に美しい錦の帯が浮いているのを見つけた旅人が、それを取ろうとしたところ、その帯に巻き込まれて池の底に沈められてしまったという伝説があった。

 安政6年3月のこと。その帯取りの池の岸に近い浅いところに派手な女物の帯が流れているのを近所の者が見つけた。やがてその帯の持ち主は、市谷合羽坂下の酒屋の裏に住んでいるおみよという美しい娘であることが分かる。おみよは何者かに絞め殺されていた。

 おみよは、母親と二人で暮らしていたのだが、練馬の親戚に二人で行く途中に、いなくなった。そのおみよが、自分の家で死んでいたのである。おみよは、旦那とりをしており、その相手は雑司ヶ谷に住む千石取りの旗本の隠居だった。

 この事件を調べるのが半七親分というわけだが、事件を調べに雑司ヶ谷を訪れた際に、知り合いの杵屋お登久という三味線の師匠と出会う。お登久は、自分の所に稽古に来ている娘の兄が10日前から行方不明になっているという。

 一見関係のないようなこの二つの事件が、やがて絡まっていく。よくミステリーにあるような筋書きだが、もしかするとこれが嚆矢なのか。実際には、関係のないようなものは、本当に関係がない場合が多いだろう。最初、少しホラー風味で味付けがしてあるのは、この作品の特徴なのだろう。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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半七捕物帳 03 勘平の死

2020-12-06 10:45:57 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 タイトルにある「勘平」とは忠臣蔵に出てくる早野勘平のこと。「お軽勘平」の物語でも知られるあの勘平だ。ただし、忠臣蔵と言っても、史実としての赤穂事件ではない。歌舞伎の仮名手本忠臣蔵の方である。モデルは、萱野三平と言われている。赤穂事件の第一報を国元に知らせた人で、討ち入りの時には切腹死していたのである。

 さて、本書の内容だが、舞台は具足町にあった和泉屋という鉄物屋(かなものや)。この家は、一家そろって芝居好きで、歳の暮れには、近所の人や出入りの者たちを集めて歳忘れの素人芝居を催すのが習慣だった。出し物は忠臣蔵の3~6段目と9段目の5幕。和泉屋の総領息子角太郎が早野勘平を演じていた。

 ところが切腹の場面で、誰かが模造刀を本物の刀とすり替えていたため、角太郎は死んでしまう。このすり替えた犯人は誰かというのが今回の話だ。これを解決したのが半七親分という訳だ。

 この話から学べることは、自分の思い込で他人を非難してはいけないということ。ネットの世界にはよくいるのだが、ファクトチェックをきっちりせず、人の尻馬に乗る連中が。

 実は、犯人は和泉屋の中にいたのだが、半七親分、和泉屋から縄付きを出すと、いろいろと店に迷惑が掛かる。だから、酔っぱらったふりをして、下手人はどうなるかをさんざん言って犯人を恐れさせる。半七の思惑通り犯人は自殺して一件落着。今ならあり得ないような解決方法だが、あの時代ではベストな解決法かもしれない。しかし、犯人の面の皮が厚く、半七の言うことに全然怯えなければどうなったんだろう。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます

2020-11-21 10:16:53 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この作品は、「探偵少女アリサの事件簿」の2作目にあたる。主人公は綾羅木有紗という少女。若干10歳だが、父親の綾羅木孝三郎は全国的に有名な名(迷)探偵。母親のケイコ・アヤラギは世界的に有名な名探偵と言う、探偵界ではエリート中のエリートなのだ。

 この両親の紹介の仕方の違いが分かるだろうか? 父親の方は名前を出してもあまり効果はないが、母親の名前を聞くと、水戸黄門の印籠のように、みな恐れ入ってしまうのだ。なにしろ、スイスのライヘンバッハの滝で悪徳教授と闘っていたり、オリエント急行で殺人事件を調べたりしているらしい。彼女はバリツ使いなのだろうか?なお、アリサはロリータ服が好きで、よく着ている。

 このアリサの相棒となるのが、橘良太という三十一歳の青年。「なんでも屋タチバナ」を営んでいる。アリサの両親が忙しいので、お守り役としていつも引っ張り出されている。

 この作品は、2人が解決する事件を扱ったもので、この巻に収録されているのは次の4編。

〇名探偵、夏休みに浮かれる
 父親の知り合いの高橋一家と行った「奥多摩キャンプ村」で殺人事件が起こる。

〇怪盗、溝の口に参上す
 怪盗ウェハースから「鳥男爵」という焼き鳥屋に、三代続く秘伝のタレをいただくという犯行予告が来た。

〇便利屋、運動会でしくじる
 「なんでも屋タチバナ」に竹本洋輔という男から、娘の理奈の運動会風景をビデオに録るように依頼が入った。一方綾羅木孝三郎からもアリサをビデオに録ることを依頼された。理奈もアリサも襟糸(エリート)小に通っていたので、これ幸いと引き受けた橘だったが、運動会のさなかに窃盗事件が起こる。

〇名探偵、笑いの神に翻弄される
 漫才コンビの「デニム&ルビィ」の片割れ、デニム内藤が殺害される。
 、
 東川さんの作品らしく、殺人事件も出てくるのだがユーモラスな文体で書かれている。また小ネタも散らばっているので、ミステリーの好きな人は、元ネタを想像するのも楽しいだろう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~

2020-11-19 09:19:25 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 栞子と大輔は、結婚して、二人の間には扉子と言う娘がいる。なお大輔の姓は五浦から栞子の姓である篠川に変わっている。物語は今後扉子を中心に繰り広げられるのだろう。ただ結婚して、子供もいるのに、呼び方は栞子さん、大輔くんのまま。まあ、これも2人らしいと言えばそうなのだが。

 今回は、栞子から扉子への移行期の話という性格が強いように思う。なにしろプロローグにおいては、扉子は高校生になっているのだから。帯には「シリーズ再始動」と書かれていたので、だんだん扉子が中心になっていくのかな。そして今回は横溝正史祭りと言っても良いだろう。収録されているのは横溝正史に関する三つの話。

 プロローグは、扉子が篠川千恵子から頼まれた2012年と2021年のマイブックを読むところから話が始まっている。そこには、横溝正史の「雪割草」に関係した事件のことが書かれていた。上島家という旧華族の家を舞台とした事件で、一つ目の話と三つ目の話となる。扉子が関わっているのは二つ目の「獄門島」に関係する事件だ。この事件を通じて、扉子は戸山圭と友人になり、プロローグでは同じ高校に通っている。

 横溝正史といえば金田一だが、実はミステリー以外の作品も書いている。「雪割草」もミステリーではない。長く、幻の作品と言われていたが2018年に戎光祥出版から出されているので興味のある人は読んでみるといいかもしれない。

 このシリーズ、本に関する色々なことを知ることができるので、本好きな人に薦めたい。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~

2020-11-17 08:05:15 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 栞子と大輔が結婚7年目。二人の間に扉子が生まれもう6歳になっているが、まだ新シリーズには入っていないようで、Ⅱの文字はタイトルには入っていない。要するにこの本が第一部の最後に当たるのだろう。

 収録されているのは4つの短編。いずれも、これまで出てきた人物に関する話を栞子が扉子に語るという体裁になっている。また、一部の締めくくりらしく、各話がこのシリーズにこれまで出てきた人に関するものだ。

〇第一話 北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋童話集』(新潮文庫)
 坂口昌志は、刑務所を出た後、歳の離れた兄一家と絶縁していた。その昌志に子供が生まれたことから、出産祝いを娘の平尾由紀子に届けさせたが、その中に「からたちの花」があった。ところが、その歌詞が、昌志の妻のしのぶや由紀子の覚えている歌詞とは違っていた。

〇第二話 「俺と母さんの思い出の本」
 急死した世界的なイラストレーター。彼は小さいころ母親に色々な習い事をさせられており、母親は彼の仕事に理解がなかった。彼が急死する前、家にある彼の持ち物を送ったところ、彼は「俺と母さんの思い出の本」と言ったという。しかし、母親には見当がつかない。果たして思い出の本とは?

〇第三話 佐々木丸美 『雪の断章』(講談社)
 小菅奈緒は、彼女が志田先生と呼ぶホームレスから「雪の断章」をプレゼントされていた。志田は「雪の断章」を色々な人にプレゼントしていたが、誰も一冊。しかし奈緒には二冊なのだ。いったいなぜ。

〇第四話 内田百閒 『王様の背中』(樂波書院)
 舞砂道具店の吉原孝二は、因縁のあるビブリア古書堂から「王様の背中」を売り主に成りすまして盗む。実は「王様の背中」は版画が全部揃っていると高値がつくのだ。

 しかし、このシリーズを読むたびに思うのだが、良くこれだけ広範囲な本に関するネタを集めてくるものだと感心する。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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半七捕物帳 09 春の雪解

2020-11-12 09:07:30 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

半七捕物帳といえば、最初はホラー風味で始まり、事件が解決した暁には不思議なことは何もなかったというパターンが多いが、これは珍しくホラー要素が残るような作品だ。このタイトルは半七の好きな狂言のタイトル「忍逢春雪解(しのびあうはるのゆきどけ)」からの連想からきているらしい。

 内容の方だが、按摩の徳寿は、廓の辰伊勢の寮に呼ばれると君が悪くてゾッとするというのだ。花魁の誰袖(たがそで)に呼ばれていくと、花魁の傍に誰か来て座っている気がするというのである。この時代の按摩は目が不自由な人が多かった。恐らく視覚の代わりに別の感覚が発達していたのだろう。

 これに挑むのが半七親分という訳だ。実は、その裏にはトンデモない事件が潜んでいたのである。しかし徳寿の感覚は解き明かされずに不思議なこととして残ったままだ。

 本作から読みとれることは、次のようなことかな。
1.女の嫉妬は恐ろしい。
2.悪銭身につかず。
3.世の中には、どうしようもないような人間がいる。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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これは経費で落ちません!  ~経理部の森若さん~  2

2020-11-10 10:05:47 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 このシリーズ、初めて読んだがツッコミどころ満載だと思う。主人公は森若沙名子27歳、中堅石鹸メーカー天天コーポレーションの経理部員。この作品は経理に関するミステリーの連作短編集になっており収録されているのは以下の4編。

〇第一話 取材は広報課を通してください
 広報課のベテラン社員、皆瀬織子は、撮影のためと言って、高価なシャツを経費で落としていた。

〇第二話 女には女の戦いがある・・・・・・らしい・・・・・・
 一言で言えば、いわゆるオツボネさまの話。

〇第三話 気にしないでいいよ、おごるから。出張手当入ったから!
 営業部の山崎修一は、営業部の真のエースと言われていたが、いつも長めに出張を入れていた。

〇第四話 これは本当に経費で落ちません!
 業務上横領の話。

 さて、気になるところだが、 まず経理部の人数が、部長も含めて4人らしい。彼らが勤めているのが天天コーポレーションの本社だ。本社に何人いるかは分からないが、よくこの人数で回せるものだと思う。そしてこの巻を読む限り、部長の下には、課長や係長、主任と言った役職者はいない。

 部の下に課がある部署もあるのに、たった4人で部と言うのも変だ。まあ、そんな会社もあるかもしれないという可能性は否定しないが、部長含めたった四人なら、別に部とせず、社長直属の課とか係にするという方法もある。

 また、この会社では、出張旅費の精算まで経理部が関わっている。私が昔いた会社では、出張旅費の処理は所属長で完結して、領収証などの証票書類は所属長が保管。あとはシステムの方で行うという仕組みだ。つまり経理部員は他部署のこまごまとしたことは、各部署に押し付けて、ほとんど関わっていない。それでも経理部には何十人と人員がいた。本当に4人で回せるのなら、昔いた会社の経理の連中はよほど無能だということになってしまう(その可能性はあるが)。

 もうひとつ感じたのは天天コーポレーションは、お金の管理についてかなりユルユルだということ。私も内部監査の経験がかなり長いが、この巻に出てきた例は全部アウトか果てしなくアウトに近い灰色だろう。わたしだったらみんなアウトにする。さすがに、第四話は完全にアウトだが、第二話は犯罪だし、第一話と第三話は、いくら部長が認めたとしても第三者からみればアウトだろう。この会社は内部監査などをやっていないのだろうか。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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死者の学園祭

2020-11-07 11:04:08 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 主人公は結城真知子という女子高生(高2)。父の正造の仕事の都合で、大阪のM学園から東京の手塚学園に転校してきた。

 彼女が大阪のM学園にいるときに、同級生の山崎由子が学校で自殺するのを目撃した。校舎の4階の、僅か数センチのベランダの手すりの上を歩いていて落ちたのである。いったなぜ彼女はそんな真似をしたのか。

 そして転校先の手塚学園でも事件が起きる。3人の仲良し女子高生のグループが次々に死んでいくのだ。

 地理的に離れている大阪と東京の事件。果たして関連性はあるのか。そして事件の裏にある驚くような秘密。

 「死者の学園祭」とは真知子の恋人である神山英人が文化祭で脚本を書いた劇のタイトルだが、果たして事件にどう絡んでくるのか。

 真知子は事件の謎を追い始めるのだが、周りの人たちの動きがどうもおかしい。おかしいということは分かったが、まさかこんな結末が待っているとは。この事件は、真知子にとっては辛いものだったのだろう。ただ辛いものではあったが、ひとつだけ救いがあった。まるでギリシア神話に出てくるパンドラの箱にただひとつ「希望」が残ったように。赤川作品は時折読んでいるのだが、この作品も面白く読むことができた。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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半七捕物帳 04 湯屋の二階

2020-11-03 09:34:55 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 「半七捕物帳」シリーズというとホラー要素が入っているのが定番だった。典型的なパターンとしては、前半でホラー的な話を持ってきて、これは怪談話かと思っていたら、半七親分が見事その謎を解決するというものだ。もちろん解決できるのだから、超自然的なものはなにもなく、人間がやったことだったというのが定番だった。

 この話は珍しく、ホラー要素は少ない。ホラー要素というと侍たちが持っていた風呂敷包みに入っていたもの。これを怖いと感じる人もいるかもしれないが、私の場合には、あまりホラーな感じは受けなかった。

 この話の中心になるのは半七の子分で湯屋すなわち風呂屋をやっている熊蔵。半七親分、いったいどれだけの子分がいるのかとも思わないでもないが、この熊蔵、仲間内からは湯屋熊と呼ばれている。粗忽ものでよく間違いや出鱈目を報告するので、法螺熊との異名がついていた。

 当時は大抵の湯屋には二階があり、若い女が茶や菓子を売っていたのだが、そこに二人の武士が毎日入り浸っていた。この武士たちの正体は?このうちの一人が風呂敷づつみを湯屋に預けていたが、中を検めると、幾千百年を過ぎたか分からない人の首と、なんだかよく分からない動物の首が入っていた。また、会津屋という刀屋に、汚い泥鮫(汚れた鮫の皮)を売っていたのだ。

 これに挑むのが、半七親分というわけだ。最後にすべての経緯が明らかになるのだが、今回はあまり事件性はなかったと思う。いや事件はあったのだが、それは半七が絡む大分前。湯屋の2階に二人の武士が入り浸ることやヘンなものを持っていたことのついては事件性はなかったのだ。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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