海外旅行ブームでマネーが10兆円流失。中国がそんな旅行収支の急激な悪化に直面しています。海外旅行に出かける中国人が順調に増える一方、大気汚染の影響もあって外国人が中国旅行で落とすお金が目減りしています。2014年には旅行収支の赤字が1000億ドル(約10兆9000億円)超まで膨らむ見通しです。
政府系シンクタンクの中国旅行研究院の推計によると、上半期に海外に出かけた中国人は前年同期比19%増の延べ5410万人でした。通年では旅行者は1億1600万人に達し、海外での消費額は上半期だけで688億ドルとなり、通年では前年比2割増しの1550億ドルに達する可能性があります。
一方、国家観光局によると、上半期に海外(香港、中尾含む)から中国大陸を訪れて1泊以上した人は前年同期より2,4%減り、2683万人でした。大気汚染や食の安全が足を引っ張り、旅行先としての魅力が落ちているからです。国家外貨管理局の調べでは、上半期に海外からの旅行者が中国内で使ったお金は248億ドルにとどまったそうです。中国旅行者の消費を差し引いた旅行収支の赤字は440億ドルに上った計算です。足元でもこうした傾向は続いており、赤字額は1000億ドルを超える可能性が高いと言います。
中国の旅行収支は09年に赤字に転じ、12年には赤字幅がドイツを抜いて世界最大となりました。赤字拡大は高額商品の消費の流失も一因です。中国では高級ブランド品の価格が海外に2倍以上となっているケースもあり、正規品のショップでも偽物が紛れこむことあり、「高級品を買うなら海外」と考える消費者は多いからです。
中国大陸で大量出店を続いてきたルイ・ヴィトンとグッチは昨年から中国地方都市への出店を凍結してきました。今年はさらに淘汰が始まり、例えば、ルイ・ヴィトンは7月、遼寧省瀋陽市で4つある店舗の1つを閉鎖しました。旅行による大規模な富の流失は政府が目指す内需拡大を阻みかねません。
伊藤忠経済研究所の武田主任研究員は「中国の課題は高品質、高付加価値への移行だが、富の流失は国内産業の育成にブレーキをかける」と指摘しています。
政府系シンクタンクの中国旅行研究院の推計によると、上半期に海外に出かけた中国人は前年同期比19%増の延べ5410万人でした。通年では旅行者は1億1600万人に達し、海外での消費額は上半期だけで688億ドルとなり、通年では前年比2割増しの1550億ドルに達する可能性があります。
一方、国家観光局によると、上半期に海外(香港、中尾含む)から中国大陸を訪れて1泊以上した人は前年同期より2,4%減り、2683万人でした。大気汚染や食の安全が足を引っ張り、旅行先としての魅力が落ちているからです。国家外貨管理局の調べでは、上半期に海外からの旅行者が中国内で使ったお金は248億ドルにとどまったそうです。中国旅行者の消費を差し引いた旅行収支の赤字は440億ドルに上った計算です。足元でもこうした傾向は続いており、赤字額は1000億ドルを超える可能性が高いと言います。
中国の旅行収支は09年に赤字に転じ、12年には赤字幅がドイツを抜いて世界最大となりました。赤字拡大は高額商品の消費の流失も一因です。中国では高級ブランド品の価格が海外に2倍以上となっているケースもあり、正規品のショップでも偽物が紛れこむことあり、「高級品を買うなら海外」と考える消費者は多いからです。
中国大陸で大量出店を続いてきたルイ・ヴィトンとグッチは昨年から中国地方都市への出店を凍結してきました。今年はさらに淘汰が始まり、例えば、ルイ・ヴィトンは7月、遼寧省瀋陽市で4つある店舗の1つを閉鎖しました。旅行による大規模な富の流失は政府が目指す内需拡大を阻みかねません。
伊藤忠経済研究所の武田主任研究員は「中国の課題は高品質、高付加価値への移行だが、富の流失は国内産業の育成にブレーキをかける」と指摘しています。