マックンのメモ日記

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企業トップの高額報酬を制限する世界初の法律がスイスで可決!日本は格差が酷過ぎる!

2013-03-04 16:57:18 | 経済・金融・投資
上場企業トップらに対する法外な高額報酬を憲法改正により禁じるかどうかを問う国民投票が、3日、スイスで行われ、賛成67,9%、反対32,1%で禁止が承認されたそうです。企業報酬を巡っては、欧州連合も2014年から域内の銀行員の賞与に上限を設ける規制を導入する方向だそうですが、憲法で制限をかけることを認めるのは珍しい事例だそうです。

改正案は株主の発言権を強め、スイスの上場企業の経営陣らに対する桁外れに高額な退職金や報酬などの支払いを禁止できるように、毎年の株主の決定に拘束力を持たせる内容です。それに違反すれば罰金や禁固刑の対象になるそうで、今後、憲法の条項改正が発議され、法制化作業に移るそうです。こうした事は特に欧米では顕著でありやむを得ないでしょう。

今回のスイスでも銀行や大企業のトップらの高額報酬は珍しくなく、経営陣と一般従業員との所得格差が広がり続けていることが問題であり、労組もその点に反発しています。ところが当然ながら産業界などは、報酬を制限すれば、企業の国外移転や競争力低下につながると反対しているのです。これでは政府を脅かしているようなものであり、何十億も貰っておいてまだ欲をかいたことを言っているのですから、呆れてしまいます。経営者一人一人の力は大きいかもしれませんが、会社の成績は経営者の一人や二人の力で成り立っているのではないはずです。底辺で働く人がいるからこそ会社は成り立っているのに、さも自分たちの能力によって会社が儲かっているかのように、ある程度高額な報酬を貰うのはいいとしても桁違いに大き過ぎます。一般論として理解できる水準を超えています。

こうした中、2月に退任した製薬大手ノバルティスのバセラ会長の報酬が6年間で計7200万スイスフラン(約71億4000万円=年収にすれば11億9000万円)に上ることが社会問題化し、高額報酬への批判が強まり、同氏は受取辞退に追い込まれたのです。こうした大企業でも、とくに米銀行業界の高額報酬問題はリーマンショックの時に問題になりましたが、話題になったのはそのときだけで、その後は高額報酬が問題になったと言う話は聞こえなくなりました。「のど元過ぎれば何とやら」で時間が過ぎれば米国でも報酬の高額化は元に戻ってしまった感があります。

では日本はどうかと言うと、日本の格差社会化はもはや世界最高のレベルになり、格差社会先進国であるアメリカを追い抜くのも時間の問題というほど酷過ぎるのが実態です。しかし、ある点において日本は世界一とも言っていいほど格差が存在しているところもあるのです。それは私たちに対しての労働環境です。

ご存知のとおり日本の労働環境は、正規雇用者と非正規雇用者との差がとてつもなく大きい雇用格差が生じています。これは平成不況の到来と、バブル崩壊の煽りを受けて企業の業績が悪化したために経費削減として新卒社員の採用を絞り、余分な社員を人員整理するリストラが全国規模で行われたためです。この結果、企業に就職できない大卒者やリストラされた中高年が大幅に増え、行き場を失った彼らの受け皿となったのが非正規社員であり、その割合が大幅に増えてきたことです。しかしこの労働環境は、ただ酷いだけではなく、先進国中、最低部類の水準にあるのです!

そう考えると日本の大企業の経営者の報酬は世界企業のレベルに比べればだいぶ低いと思うのですが、経営者と正規社員、それに非正規社員間での格差が酷過ぎます。しかも賃金格差が大きい米国すら上回ろうとするほど差が広がっており、経営者との実質的な賃金格差は欧米の報酬額格差と同じくらい大きな問題ではないでしょうか?日本は経営者のレベルを下げるのではなく底辺の底上げが急務であり、それなくしてはデフレの克服も難しいでしょう。そして、大企業は社内に余剰金を大量に抱えているにもかかわらず従業員にお金を回さないのですから、日本は欧米とは違った問題を抱えているのです。日本は雇用の回復と所得格差の是正が必要であり、これを必要な法整備をして政府が後押しする必要があるでしょう。

OECDのレポートによれば、世界各国の労働者の最低賃金を平均賃金との相対水準で表した表があるのですが、それによれば、低ければ低いほど、平均賃金よりも最低賃金が低い水準にあり、賃金格差や労働者の搾取が行われていることが示されます。その図がないのでわかりにくいのですが、日本の最低賃金の相対水準は28%と相当低い水準に抑えられていることがわかります。特にOECD諸国の中で、メキシコ、韓国、トルコとほとんど変わらないレベルにあり、先進国の中では世界最低水準となっているのです。

日本の最低賃金は生活保護の水準を下回っており、いくらなんでも低すぎだということがよく言われてきました。このため2007年12月最低賃金法が改正され、都道府県別に定められている最低賃金が見直されることになりましたが、引き上げられたのは微々たるものでした。やはり日本の最低賃金は世界最低のレベルにあり、労働環境が整備されていない新興国とほとんど変わらない、あるいはそれよりも劣る水準なのです。これはいかに日本の労働者の環境が悪い状態にあり、搾取されているというなによりの証拠なのです。

あまり知られていないのですが、正規社員・非正規社員の賃金格差というのはアメリカではあり得ない問題なのです。アメリカでは、黒人・白人・男性・女性の差別に関する認識が強い社会です。そのためアメリカでは正規社員・非正規社員の賃金格差は明らかに組織的な差別であり、企業は訴訟を起こされて何十億円もの莫大な賠償金を強いられることになるのです。そのため欧米では正規社員・非正規社員の賃金格差というのは小さいのです。

つい最近の週刊誌にユニクロの酷過ぎる労働環境と言う記事が出ていましたが、読んでみると改めて日本企業の労働環境の悪さを知る思いです。