空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「影法師」 百田尚樹 講談社

2011-03-18 | 読書

「永遠の0」で泣いた作者なので、ろくに立ち見もしないで予約したのが来るのを待っていた。
たまたまパソコンを起動してみたら、ー準備できたー と出ていた。
連絡が無いけど、これは急いで取りに行こう。
図書館に着いたら「いま整理したところだったんですよ」あきれ気味に言われた。予約センターの通信は中央図書館にあって、受け取りは近所だ、ヤッタネ!
まったく、言葉も無いくらい面白かった。バスタオルほど涙は出はないにしても小型ハンカチはいる(^^)

作者は、つぼを心得ているのが良くわかる、自分でもこうきたら泣く。ホラ、ヤッパリだ、と思いながら引き込まれた。

 



ちょっと身分の差がある家の二人子供の辿った運命。

「刎頚の友」の契りを交わした二人。

同じように学問の成績は抜群で、剣の腕も揃って午前試合に出るほどに優れている。

下士の勘一と、中士の家柄の彦四郎。

家を継げず養子に出ることしか道の無い次男の彦四郎と、下士で貧しくはあるが長男の勘一という立場の違い。


ついに勘一は藩主に認められ、国家老になった、いっぽう彦四郎は、出奔して、晩年に帰国し不遇のうちに死んだ。

勘一は二十年あまりの江戸詰めを終え帰国したが、彦四郎の死を知らなかった。
そして、刺客に襲われ、一命を助けられ、それを切っ掛けにして彦四郎の過去が次第に現れる。

彼は如何に生きて死んだか。
「刎頚の誓い」はどうなったのか。

わずかな運命のづれ、時間のずれが大きく生き方を変えた。
しかしそれだけだったのか。

生き残った片割れの悲憤と、爽やかな幕切れが、痛々しくも悲しい。

気負いの無い読みやすさで一気に読み切ることができる。

今、泣くことも必要だと思った。

佐々木小次郎と武蔵が友達であったなら、絶好の配役なのだが
と他愛の無い想像までした。

大収穫の一冊


読書
35作目 ★5


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