空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

わすれぐさ

2014-07-31 | 山野草
赤いカンゾウ(萱草 )の花が、山や田の畦などで見られるようになった。子どもの頃は、この赤い色と形が余り好ではなかった。野に咲くのは主にノカンゾウで、花ビラが一重でユリの仲間なので筒型の綺麗な形をしている。子どもの頃に摘んだカンゾウはヤブカンゾウがほとんどで、花びらがもしゃもしゃとして、形の割りに雑然とした印象だった。そこが好きでなかったのかもしれない。
花はガクや花弁がスッキリしたほうがいい。

似た仲間を撮影して整理した折、「わすれぐさ」という文字を見つけた。聞いたことがある、なんだか記憶にある名前はこの、こんな花だったのか。突然頭が鮮明に働きだした。

調べると、この花の仲間は「わすれぐさ属」という。一日で萎むので「忘れ草」いい名前なのね。

そうなら、もしゃもしゃの「ヤブカゾウ」だって「ノカンゾウ」だって「キスゲもユウスゲ」も仲間ならみんな好きよ。とすぐに転向する。

そうか、ニコウキズゲやユウスゲと別れが淋しかったのは名前のせいか(笑?)

鮮明になった頭はすぐに曇る。

白秋の詩が浮かんだ。

カンゾウの茂みを抜けて
カンゾウの山に入れり

と書こうとしてイヤ待て、どうもおかしい。イメージが違うような。


適切なブレーキは必要だ。車だけでなく暑さボケの頭にも。


調べてみた

 からまつの林を過ぎて、 
 からまつをしみじみと見き 
 からまつはさびしかりけり 
 たびゆくはさびしかりけり

超有名なこの詩だし、なんだかなぁ、いくら忘れ草でも、これでは白秋に深くお詫びを m(_ _;)m

記憶のすりかえってよくあって、平気で昔話などをするけれど、気をつけよう。



 ヤブカンゾウ


ノカンゾウ


志賀高原・蓮池のニッコウキスゲ




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びっくり 後続車が追突していました。

2014-07-29 | 日日是好日
 昨日ちょっと出掛けた帰り道で、私の後ろの車に、その後ろの車が追突しました。
一号線を横切る交通量が多いところで、赤信号も長いです。丁度私が止まった後に、横から合流する道があるので、後方は2Mくらい開けて止まっていました。赤になったばかりで、止まってすぐ、ゴンバリバリと大きな音がしました、びっくりしてバックミラーを見てみると、後ろの車から無事中年の女性が出てきました。腕に長い日焼け止めの手袋をしていて、そーッという風に下りました。
 追突した車はドアに社名を書いた営業車で、40前後の男性がニヤニヤしながら下りてきました。とても感じが悪くて、これは会社に帰ったら始末書じゃすまないかも。居眠りか脇見だったのか電話中か、間抜けなことだと思いました。
 横柄な態度で女性を呼んで、路肩から歩道に上がったところで青信号になったので、私は発進しましたが、ひどい大きな音がしたので前の女性が心配でした。
 うちを出るときは、用心していても貰い事故があるから注意しろと、よく言われるのを軽く聞いていましたが、こういうのが大事故に繋がるのかもしれないと実感しました。








毎日トマトが採れています。
たまねぎとミョウガをみじん切りにして晒して上にかけたのがさっぱりして一番おいしいです。
煮たり焼いたり、炒めたり、朝は野菜ジュースに、具沢山スープなどトマト料理が続いています。





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あ~~残念 

2014-07-28 | 日日是好日

ミョウガがどんどん生えてくるので、ちょっと干して梅漬けにしようと、床下収納から梅のビンを出してびっくり、がっかり。 うっすらと白いカビが生えていました。梅を漬けてん十年、カビが生えたのは初めてです。用心して塩分14%にしました、ちょっとからい目、それなのにそれなのに(´Д`。)
急いで焼酎を買いに走っていきました。洗って干しています。モウ~~。今年は暑かったからと慰めてくれますが。




ガレージの上に干して二日目ですが、明日消毒したビンに移します。



 ついでに、今頃夏の食器を点検して棚の前に出しました。でもとても気に入っていた故郷の砥部焼のビアグラスも一つ、小鉢は3っつしかないし、可愛いグラスもなくなってました。割ったのは誰だ!!!見つかったら私が泣くとでも思うのかな、ときどき泣きまねくらいはするけど。
「割ったらゴメンというのよ。ワシントンはどうした?桜の木を折った時は正直に謝ったって教わったでしょう」
 ゴメンと言えば私は「形あるものは壊れるのよ」と優しく言うのに(かもしれないのに)ホント、、、かも知れないのに。
 まさか割ったことを忘れたとか、今日は何日?って訊いてみたほうがいいかなぁ。

 小鉢を二つ割ったのは私です、ごめんなさい

 

気に入ったものだけが揃っていない。




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「家日和」  奥田英朗  集英社文庫

2014-07-26 | 読書

第20回柴田錬三郎賞受賞


最近雑談が多くてなんだか申し訳ありません。と言いながら、この本を読むと実は家でもね、とつい話が口から出てくる、何か話たくなるような本です。


「家日和」 短編集です。


「サニーデイ」
 42歳の主婦の話。子供も手が離れ、自分の時間を持てるようになった。
不用品の始末でもしょう。古物商では只だと言われ、言い値で引き取ってくるところなどない。そこでネットオークションに気がついた。IDが「サニーデイ」出品した品が売れた。その上買った人からは毎回丁寧なお礼状が来た。そこで家の不用品探しにも熱が入る、入ったお金の使い道には困らない。臨時収入だしちょっと贅沢な食事、エステにも行った。嬉しくて活動的になった。社会に繋がる小窓でも開くと、主婦は生き生きしてくる。ところが次第に売るものがなくなった。夫の大事なあれを売ろう、こっそり出してみるとどんどん値が上がってその値打にびっくり。外に向かって踏み出した足がぴたっと止まった。優しい夫は伊勢へ出張中「真珠のネックレスでも買って帰ろうか」などと電話で言う。あららな話。

「ここが清山」
 突然会社が倒産、主夫になった。拘らない妻は「明日から働くことにした」という。
 心も軽く身も軽い。家事は三日でなれた。料理の腕を上げて子供の弁当を工夫して作ってやる。周りでは「いたるところ青山ありさ」と慰めてくれるが、すこぶる居心地がいい。妻も機嫌よく働いている。
 ひょっとしてここが青山かも、なんて思っている。
善意の人たちが心配してくれる。善意の形が沢山出てきて、それでほっこりする、でも幸せの形は我が家流もいいかなと思う。

「家においでよ」
 妻が別居して出て行った。あちらも住み心地がいいマンションらしいが、こちらは広々として気持ちまで晴れ晴れ。そこで今まで出来なかった好みのインテリアに代え、好きなオーディオ装置と妻の好みに合わなかったCD。
大型テレビもそろえた。拘ってカーペットを探し回ったお陰で、インテリアもバッチリ。楽しくなった。友人を呼んで音楽を聴きながら飲み会。 部屋を気に入った友人が入り浸るようになった。友人の妻は浮気を疑っていたが、行き先を知ってびっくり。
 妻が点検に来た。「遊びにきてもいい?」と言った。
こだわりのインテリアと望みのスタイルで暮らせるようになる開放感に妻は納得。夫婦生活もたまには窮屈だ。こういう夢は誰にでもあるし、こうなるまでのこだわりがじつに面白楽しい。

「グレープモンスター」
 専業主婦って、たまに男性が来ると、勝手に妄想が沸いて。そのうち夢を見るようになるし。楽しんでいる分困ったものだ。男性が消えたら夢も消えた。なるほど。この話ホントおかしかった。


「夫とカーテン」
 妻はフリーのイラストレーター。夫がカーテン屋を始めるといった、品川駅前がいい、ベイエリアに高層マンションがどんどん建ち始めている、不動屋さんと提携してカーテンを入れさせてもらう、きっと売れて困るよ、この考えどう?
マンションを買う予定でためていたお金を資金に出した。
夫は人好きがするキャラで物怖じしない、会社では営業成績もよかった。最初の売り込みで、のっけから失敗。でも彼はめげない。
変なことに気がついた、夫がうまくいかないと、作品が誉められ依頼が増える、うまくいくと失敗する。何度も経験するとこれはおかしな現象だと思い出した。彼が成功する予感がしてコンペに落ちた。世知は妻が優れている。それを生かしてなんとか助けることにするか。
ついに二人三脚、微笑ましい、しっかり妻に夢見る亭主と言うのかな。

「妻と玄米御飯」
 妻がロハスにはまった。ご飯は玄米、オーガニックが大切という。ところが玄米ご飯はおいしくない。家族にも不評。
ロハス仲間が夫婦で来て、効果をアピールした。夫の方も引き締まったボディ。小顔で若々しい。
小説家の方は自分と比べてそれも気に入らない。葛藤の末、本心をぶちまけて書いた、締め切り前だし。
ところが部屋が片付いていた。妻に読まれたのだ。進退窮まって、彼は。



奥田さんはいい。こんな肩の凝らない話を読ませてくれる。その上脳内倉庫には、ハードボイルドやミステリも詰まっていて、そこここにこんな優しい暖かい話も散らばっているのだろう。

夏にはこんな本がいい。読みやすいのに何か感動的、思い当たるような身近な話題がいい。

満点5



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「鍵」  乃南アサ  講談社文庫

2014-07-25 | 読書


昨日は暑いと思ったら、日中35度の猛暑日でした。今日も既に室温は30度で、このパソコン部屋に逃げてきました。狭い3畳ですし、少々温度設定が高めでもエアコンが効きます。少しでもエコ生活を考えて、こまめにON、OFFです。
窓を閉めていますが、蝉の声が聞こえてきます。暑くるしくても夏は蝉の声がしなくては淋しいです。いつか蝉がうるさ過ぎて大騒音になるので、近くの木を切って欲しいと言うような声が新聞に載っていました。どの位の数の蝉が頑張っているのかと、気の毒やらおかしいやらでしたm(_ _;)m

待合室でシニア川柳を読んでいました。

「目には蚊耳には蝉を飼っている」
 
はぁはぁなるほどと思いました。最近本を読みすぎると少し目が充血しますし、ベッドにパタンと倒れこんだら耳がジンジン言います。蚊や蝉を飼う様になったら困るなと身につまされました。

前に読んだサラリーマン川柳に

「会議終え暖簾の下で本会議」

と言うのもありました。お酒はそんなに飲めませんが、一杯のビールに上司をツマミにして盛り上がりました。今でも似たようなことはやっていますが(笑)




乃南アサさんの「鍵」です。

面白かった。ミステリの部分もあるが、少し砕けた家庭小説で、両親をなくして残った三兄弟の絆がメインになっている。
西家の長女は結婚を前にして、踏ん切りがつかないでいる。
下の長男俊太郎は25歳、大手商社を三年でやめ、今は管理人生活。耳の不自由な妹が生まれてから、母の愛情は全て妹に移ってしまったという、心の底に意志では解決できない小さな寂しさと、自己矛盾を抱えている。
俊太郎の古くからの友人で、有作と言う新聞記者が一家の心の支えになっている。
そして末の妹、麻里子は耳が不自由に生まれついた。母親の献身的な教育で、ゆっくりなら言葉も分かるが、発音が少し独特で、余り早く話せない。

周りで通り魔があらわれる。若い娘を狙って持っているかばんをひったくって、裂いて捨てるというもので、家の周りに頻発しているので、俊太郎も気が気ではない。記者の有作はスクープ記事にしようと張り切っているが、姉妹の帰宅時間も気になる。

ところが、電車のなかで追いかけられた男が、麻里子のかばんに鍵を入れていた。
それが原因ではないかとうすうす気がついてくる。
しかし、高校生になった麻里子は重荷になっているような自分が、兄弟に自立していることを知らせたい、それで「鍵」のことを相談できないでいる。出来れば自分で解決したいと思う。

警察も捜査範囲を狭めていたとき、殺人事件が起きる。殺されたのは麻里子のかばんに「鍵」を入れた男だった。
だがその後、殺人事件が続いて起きる。
「鍵」を持って一人で聞き込みを始めた麻里子もやがて事件の筋が見えてくる。

そして、犯人とおぼしい人に面会に行く。

麻里子の行動の影で、俊太郎は兄としての責任に目覚めていく。
これが家族が徐々にまとまっていく切っ掛けだった。

麻里子が襲われ、事件を最もはっきりと見てきた勇作が現場に駆けつける。
麻里子の命が懸った大事件が起きるが、それはまるでサブスートーリーのようで、三人兄弟+1のタッグが事件を解決する。
怪我をした麻里子を気遣いながら、その後それぞれの生活を見直し新たな出発をする。

柔らかい、読みやすい物語で、傑作と言わないまでも、きちんとポイントを捕らえてヒントもちりばめてある。さすが出来上がった作品で、時間があれば読み返してみてもいいくらいの、面白い一冊だった。



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「きりこについて」  西加奈子  角川文庫

2014-07-24 | 読書
 


 
午前中から暑くて、と言うより起きたらもう暑くて参ってしまいました。洗濯物を干していると、庭にチラチラと白いものが。ヤッタネ今年もミョウガの花が咲いていました。休日のお昼、「そうめんは今でしょう」といって茹でていて、「アレ今年はミョウガがさぼってない?遅いね」と言っていたところでした。サボっていたのは、暑いので外に出たらすぐに跳んで入っていた誰かでした。
さて、ミョウガも収穫して、こういうときはクーラーの効いた車がいいと気がつき、免許証の更新にいってきました。
手続きをすませ、ついでに買い物をして、帰ったら丁度お昼になったのです。


忘れないうちに「きりこについて」一言。感想は一応独り言風なので口調が違います(笑)

きりこはぶすなのだ。ぶすという文字は全部太字にするほどとびっきりのぶすだが、両親は美男美女で、悪いところばかりとって生まれたと人は言う。でも親は繰り返すが、美男美女なので醜いという意味が実感できていない、世間とは美醜の基準が違う上に、わが子はとっても可愛いと思い、可愛いを連発しながら育てた。
だから本人はもちろん自分は可愛いと思っていた。
初恋をして、思い切って告白の手紙を書いた。
その頃、捨て猫だった真っ黒い猫を拾って、ラムセス2世と言う名をつけて可愛がっていた。
この猫はまた飛び切り賢くて、きりこが書いた手紙の文章をなおしてくれたりする。ピンクの手紙を彼の靴箱に入れておいたところ、友達に見つかり、はやされ、彼からは「ぶすとは付き合わない」と手ひどく断られる。
手紙がピンクなら洋服も振り振りの付いた可愛こちゃんスタイルで決めている。
入園式も入学式もそれで参加して話題になったが、可愛い子はこうでなくてはと思っている。
ぶすと言われて、初めてきりこは自分はぶすなのかと気がつく。
そして、拒食症になって眠り続けたり、目が覚めて過食症になったりしながら、ついにはおおらかに自分を認めて育っていく、と言うとてもいい話だった。

世間体など気にしない両親がいい。きりこがどんな時でも受け入れて可愛がる。
ぶすという言葉がただの言葉であることを証明する生き方がカッコイイ、拍手したくなる。
賢いラムセス2世も負けてはいない、近所のねこ仲間を束ねて、悠々と暮らし始める。

きりこは、自分がぶすだと知ってからも、様々な生活を送っていた恵まれない友人たちまで巻き込んで、悩める気持ちは楽に、生きることを楽しくしてしまう。もちろん又フリルの付いた服で決めている。
という本だった。




ミョウガの花、半分は梅酢に漬けます。






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「イニシエーション・ラブ」  乾くるみ  文春文庫

2014-07-23 | 読書


ちょっとご無沙汰しました。
解析で見ますと、留守でも50人くらいの方が来てくださって感激です、ありがとうございました。

本は読んでいたのですが、感想文がなかったのは、書くのが間に合いませんでした。m(_ _;)m

別に書くことがあって、それが原稿用紙でなく、文字数や行数を新たに設定して、作文をしていました。終わって見直すと読点で終わったときに、ぶら下がると言うのがあるんです。(ソフトはワードです)それが出来なくて、行の終わりでマルになると、普通マルが下にはみ出して終わるんですが、そうでないと最後の文字が次の行にいってマルになり、前の行の最後の一文字が空きます。そういう気持ち悪いことになってしまっていました。
まあ探し回りまして、ネットで教えてもらおうとしても、そういう悩みの質問がないんです。原稿用紙なら回答があるんですが。いろいろ試して、いじくってましたが駄目で。
消化不良のまま、寝まして、気分はどうでも、よく眠りましたが(笑)

翌日また考えまして、詳しいと思う人に電話などで聞いたのですが、分からない、経験がない、そこんとこはうまく行ってるが何でかなぁ、と逆に聞かれたりして、ということで、もやもやとしていたのですが、ついに思いついてサポートに電話しました。早く電話すればよかった。
やはり奥の手(使い慣れた人なら普通に知っている)がありました。サポートのお姉さんがすぐに教えてくれ、あぁな~~んだ、とスッキリしました。ところが、前に書いたものはコピペでは直せず、(なるほどソースごとコピーするから)打ちなおしとのこと、いやだなぁそのままでいいか、で直しませんでした。たいした文章でもないし。
こういう風で疲れて、少々のことは忘れてまたよく眠りました。あれやこれやと休日だったのに頑張ってました。

さて昨日は地方のFM局のスタジオに行ってきました。いろいろ話があって、「曲紹介は何にしますか、コメントつきで」と言うことで「少年時代」にしました。「どうして?」「それは夏はこれでしょうから」
この歌詞はよく考えると意味不明ながら、この陽水さんの歌、花火も出てきて大好きです。おばさんはこれ!(笑)
中年の方ならサザンかも。チューブはどこの夏の下にいるんでしょうね、このごろ見ませんが、と言うか聞きませんが。




やっと本来の感想なんですが、これが、知っている人は知っていると言うミステリックな最後の二行。今頃ですが読みました。
私もそうだとうすうす知ってはいたのですが、勘違いしました。(この表現でいいでしょうか)
もう一度読み返す時間はなかったので、目を閉じて復誦。読みたてなのでああなってこうなってと、かすかには分かるのですが結局無理でした。
そこでネタバレ解説のお世話になりました。他力本願、満願(?)でスッキリしました。
自分で解こうとしないところがやはり拘らない、のん気さです(笑)

ラブですか、ラブストーリーで、合コンで知り合って付き合いだした男女のイニシエーションです。

乾くるみさんは数学科卒だとか。A=Bでないところが複雑でした。
理系の作家が書かれたものは難しいが面白い。隠し球がいっぱい、人気の秘密がわかった、暑い夏、頭をますます熱くする、この作品オススメです。熱中症に御用心。


あと「きりこについて」「鍵」「家日和」を読みました。みんな短い話なので忘れないうちに書いておかないと。それに同じ本、三冊目を買って頭大丈夫かと自分で怖くなった「ゆきずりの街」をさっさと読まねば。です。







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「夜市」  恒川光太郎  角川ホラー文庫

2014-07-18 | 読書


 恒川光太郎の一連の作品を読んで、出発点のこれは読まないといけないと思った。
日本ホラー小説大賞を受賞している。ホラーというジャンルは少し日常から浮いた、不思議な世界が面白い。

 ホラー小説大賞は「パラサイト・イヴ」しか読んでいないと思っていたが、調べてみると「黒い家」「ぼっけえ きょうてえ」を読んでいた。

 この「夜市」は不思議な世界に迷い込む話で、それが作者独特の表現で綴られている。
 先に「秋の牢獄」「草祭」と読んできて、現実から異界に誘われるところがいかにもありそうな、いつかそんな体験をしたような、感じたことがあるような、懐かしい風土的な記述に惹かれる。そういう作風がいい。妖怪変化や異形のもの、見えない世界に生きているべきものが、現実にそういう世界があるかような変に納得する部分がある。


「夜市」
 学校蝙蝠が「夜市」が開かれると言っていた。裕司といずみは公園の奥にある道から不思議な「夜市」に入り込む。
裕司は子どもの頃に来たような記憶がある。「器」を売る店で「野球の器」を買ってヒーローになる。野球がうまくなる才能をかった時、支払いのために弟を売ってしまった。何か売らないと出られない道だった。
現実に帰ると、世界から弟の痕跡は何も残っていなかった。目立つほど野球はうまくなったが、満足できなかった。
 蝙蝠の話を聞いて、どうしても店に行き、弟を買いもどしたいと思った。
お金をためて持って行ったが、弟はすでにいなくなっていた。
死人が往来する道、両脇に並んだものでないものまで売る店、そんな世界で、裕司は弟を探す。
悲しい、妖しい運命の道が広がって、操られていく。


「風の古道」
 これも異界に続く道に迷いこむのだが、その道は現実には見えないが、いわば魑魅魍魎が当たり前に存在して暮らしている。影のようなものもいれば、見える姿で生活している物もいる。
神のようなものもいれば、骨も歩いている。獣の類もいて、そういう世界で生まれると、不思議なことにもなれて、何に比べて不思議なのか、別の世界を知らなければそこで生きていくのは不思議でもなんでもない。

友達と狭い小道からこの異界にある古い道に迷い込んでしまう。土地のあるところには、それが現実には舗装された国道であっても、水の上でも古い道は分かれ細かく分岐しながら続いている。 
外に出るには閉じていない道を探して二人は歩いていく。
知り合った旅人の案内で歩いていたが、途中で友人が撃たれる。生き返らせることができるという寺を探してまた歩き出す。
 これはわずか十日間の出来事だった。幻のような道や世界が有るかのよう思え、今ある世界しか見ることのできないこの世の仕組みが、どこかで異界と交わっているかもしれない、そういったことがあるかもしれないと感じられるようなことを優しい言葉で描き出している。








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今日は一気に「名もなき毒」を見よう

2014-07-13 | その外のあれこれ

月曜日に「ペテロの葬列」を見た。
面白かったので、録画の予約をした。これで忘れても大丈夫😇

でも、このドラマはシリーズで、原作は三部作になっているとか。
知らなかった。
宮部みゆきのよ、シリーズなのを知らなかったって、この前のは放送済みなのにみてないの。
まあいいか、なんとかするつもりで買い物ついでに本屋さんに寄った。ドラマが手遅れなら原作があるさ。
あーあ、さっき図書館にも行ったのに、、、、、
あ! そこで閃いた。そうだ!
「MOZU」 も 「隠蔽捜査」も動画で見たのだ。名もなき毒 だってあるかもしれない。
やった! アッタ!

日曜日だしお昼はラーメンだったし、夕食はビビンバでスープか、と材料を買っていたが、後まわし。

お刺身とお総菜色々で済ませ、おふろにはいって、さぁこれから一気に動画を見る、でも、11話もある。

チラっと見たら面白そうだった (*^◯^*)


私、また流れに乗り遅れてるけど、なんとかなるし、命がけってほどでもないし、ここ一番ってものでもないし、と思いながら、ソファで動画。
カウチポテトよりは少しは健康的かも。カロリー的には。







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「秋の牢獄」  恒川光太郎  角川書店

2014-07-12 | 読書


手にとって見ると、「牢獄」と言う題名が少し気になったが、読んでいると、こんな状況に捕らえられてしまったら、生活の中の牢獄といってもいいような空間で、読んでいるうちに迷い込んでしまいそうになる。リアルな風景の中にホラーというか不思議な感覚を溶け込ませた、アイデアの優れた一冊だった。


秋の牢獄
冒頭の一編から面白い。

雨の音を聞きながら、朝起きて普通の生活を送り、友人の釣りの話を聞き、帰って音楽を聴きながら豚肉とキャベツの醤油炒めを食べて。次の日に目を覚ますと変な既視感に襲われた。また雨が降っていて、友達は昨日と同じ釣りの話をする。日付を聞くと昨日だと思ったのが今日だった。ダブっている、もう一度繰り返すならもう少し違った過ごし方があったのに。
ところがそれは一日で終わらず、とうとう同じ日の繰り返しのループの中に入ってしまった。
寝なければ明日が来るのかと、公園に散歩に出掛けたが、ふと毛布に包まれた感じがして朝起きると布団の中で雨の音もしていた。
こうして戻れない日が過ぎていった。そしてある日公園のベンチで青年に出会った。同じ日を50回も繰り返していると言った。仲間がいて「リプレイヤー」と呼んでいるという。公園の広場には仲間が集まっていた。また同じ日が来るなら、何をしてもいいはずだった。みんなでそう思って暮らした。
しかし終わりは来るのだろうか。
不思議な北風伯爵に出会う時、仲間が消えて行くという。不思議な白い顔のない影を時々見かけるようになって、仲間が少しずつ減っていった。

神家没落
春の朧な夜に散歩をしていた。ほろ酔い気味で気持ちよく公園の道に入っていった。その奥の少し開けたところに古い藁葺き屋根の家があった。
翁の面をつけた男が「奥へどうぞ」と言った。誘われて身の上話を聞いた。話し終わると男は面を残して消えてしまった。
仕方なく縁側に座っていると、一度漆黒の闇に包まれ、再び明るくなると家は白樺林の中に建っていた。
垣根から外に出られず、庭の果実を食べ特に水は甘露で沸いて出てくる。一定期間が過ぎると家は移動して、待っていた男が食料を運んできてくれた。
出るには身代わりがいる。その時を待った。訪れる人がないわけではなかったが垣根より中には入ってこない。見えない結界が見えているように去っていく。
やっと待っていた身代わりが現れた。その男を家に残して逃げたが、その後事件が起こり始めた。

幻は夜に成長する
リオは海で誘拐された、連れて行った老婆は人を幻惑する術が使えた、物を一時的に変化させる不思議な力も持っていた。
リカはそれを受け継ぐが、老女が殺されて4ヵ月後に迎えに来た両親のもとに帰った。
身についた不思議な力は残ったまま成長し、恋人もできた。
しかし恋人に秘密を打ち明けると、彼は離れて行ってしまった。
彼女は老女と住んでいたころの知り合いに出遭った。そして波に身をゆだね、彼の誘いに乗った。
部屋から出ないで御簾越しに、相談に来た人の不幸を引き受け、それで飼っている怪物を育てていった。



一話は面白いがなにか少し足りない気がする。話の非現実な(パラレルな)世界が存在すると言うことのつじつまは合っているが、そのねじれが解消される根拠・過程が希薄で、現実の世界に戻す北風伯爵の力、それは何か。が。
一日が繰り返され、その中で暮らすことになると、遊びでも旅でも一日だけなら何をして過ごしても良い、心情は納得できるが、北風伯爵はどういう位置なのか、なにものなのか。

三話、随分アイデアが割愛されているのではないか。両親についても何か釈然としない。全く生活観のない世界に思えて残念。面白くて少し怖い伝説なのか、お伽噺風なのに。


神家没落は、決まったルートで移動する家や、身代わりをおくという残酷なしきたりや歴史が面白い。







*またまた 外山さんの「ことわざの論理」から
 
200ページちょっとの文庫なのに、読んでいると自分でも話を膨らませたくなる('-'*)

夜目遠目傘の内
外山さんの調べた、世界の似た諺を「英語諺辞典」で教えられた。

女も着物もロウソクの光で選ぶな
 薄くらい所では欠点を見落としやすいから

遠くのものは美しい 
 夜目遠目傘の内に近い

遠くの山は青い
 実際は禿山であっても遠くから見れば青く見える
 遠くよりながむればこそ白妙の富士も富士なり付く筑波峰もまた
 
でも世界遺産は神々しい。

暗がりの中ではジョーンもうちのかみさんと同じさ。(意味深)
 
ロウソクが消えればネコはみな灰色に見える。

 
 わかりきったものはつまらないが、よくわからないものは、なぜだろうという気持ちが働く。何かおもしろいものであるに違いないと感じる。夜目遠目傘の内にある女性は定かには分からないが、わからないから不美人だろうときめてしまわない。よくわからないが、きっと美しいだろうと思う。やはり人間は性善でできていると言うことでほほえましい。


性善説で締める外山さんはとってもいい人だ。
夜目遠目傘の内で恋に落ちるのはホルモンのせいかもしれないが、そのうち平和な「割れ鍋に綴じ蓋」になって納得するから不思議。  
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隣の花は

2014-07-11 | 日日是好日

 いつも夜は11時頃には寝るのですが、寝るのは少し遅くなったと思ったのに今朝は5時に目が覚めました。
どこか体調が悪いのかと思って体操をしてみましたが、別に変わったこともなくて、台風の湿気除けで昨日はエアコンの部屋にこもっていたので、睡眠のほうはもう十分らしく、それなら外に出て歩くべし、家の前の坂を上って歩いてみました。
まぁ、山が削られて立派な住宅街になっています。降りていくと小さな川があってその向こうは畑です。
昨日の雨の残りか湿った露が光っていましたが、家庭菜園の世話をする人は早起きで「おはようございます」なんて元気でした。




ハナムグリがアザミの上で寝ていました



少し前に写した花しょうぶです



帰ってパンを焼いてコーヒーを一杯、山盛りの洗濯物を干して一息つき、ニュースを見ていたら眠くて、「お昼どうするの」と夫に起こされました。12時前、寝ぼけながら冷蔵庫から常備菜をだして、あとハムエッグ、インスタントチャプチェ お昼ご飯なので簡単。お皿の周りにミニトマトをどっさり(^∇^)



*また 「ことわざの論理」 外山慈比古 より

隣の花は赤い

外山さんが英語の勉強中だったのは戦争中で、「敵国の言葉なんか勉強して」と言われ、戦後は英語科から転科した人まで、「これからは英語の天下ですね」と言い始めたとか。

これで戦後の文化は進んで随分暮らしやすくなって、あちらよりこちらが進んでいることもある。あちらも見直すことも多いでしょう、こちらの花が赤く見えてきて(^^)

読んでいると、話が豊かで目から鱗が落ちるとはこのことです。

うどんの嫌いな男が、よそでごちそうになったうどんがうまかったと帰って細君に話したら、細君すかさず「”隣りのにが菜”と言いますからね」
とやり返した。隣りの花は赤く、隣りのにが菜はうまい。


あくまでも隣りなので、あまり羨ましがらないで。なんというか、これが元であちこちにヒビが入るかも(^∇^)





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「ことわざの論理」  戸山慈比古  ちくま学芸文庫   

2014-07-10 | 読書




転石 苔を生ぜず
この言葉には初めて英語の時間に出会った。A rolling stone gathers no moss
分詞構文の例題より日本語に感心してしまった。

どこの国でも同じことを考えるものだ。
ここにもそう書いてある。
でも最近少し違った意味にも使い出したそうだ。

アメリカ式解釈で、優秀な人なら引く手あまたで席が温まる暇がない。それってヘッドハンティング?「会社変わるの、まだ no moss なのにね、うらやましいです」なんていわれるのかな。
この言葉がイギリスで生まれたときは、絶えず商売換えする人に金はたまらないという意味だったとか。

私は日本人なので、やっぱり腰の定まらない人は生活も安定しない、と言うように感じるけど。

終身雇用でなくなってきたら、能力を磨かないと苔が生えると言われかねない気もする。




* 沖縄に台風が上陸して被害が出て、避難している人も多いとか。お見舞いもうしあげます。
  本土に上陸しそうで警戒が必要、無事通過してほしい。心配なのですだれを巻き上げて、物干し竿を下に下ろした。
  夫のトマトは毎日大量に収穫できて、食卓をにぎわしている。朝から台風対策だと言って頑張って支えを増やして、朝顔の鉢を隅に寄せている。
トマトはいろいろな料理に使えるし、取立ては長持ちするし、大事、大事!! と声を掛けて応援した(^^)

私も何かしてないと悪いので、もう咲き終わりになっている紫陽花を切り詰めるので、綺麗どころを最後に撮影した。。また来年よろしく。











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「西の魔女が死んだ」  梨木果歩  新潮文庫

2014-07-09 | 読書



まいが中学生になる時、もう学校に行かないと言った。ママはパパと相談して、田舎のおばあちゃんの所でしばらく暮らしましょうといった。おばあちゃんは、ママのママで。外国から来ておじいちゃんと結婚し、今は一人で暮らしていた。
まいはおばあちゃんが大好きだった。
おばあちゃんの家は前庭にお大きな樫の木があり周りに草花が咲いて庭木も植えてあって、小道が通っていた。

毎日おばあちゃんとダイニングテーブルでお茶を飲み食事をした。台所の前の庭には料理にすぐ使えるようにハーブや月桂樹などが植えてあった。
まいは裏山で心地いい居場所を見つけた、おばあちゃんと裏山で野イチゴを積んでジャムを作った。
おばあちゃんから超能力の話を聞いて、まいもそれを持ちたいと思った。
それには精神力を鍛え、意思を強く持つ努力をしないといけないとおばあちゃんは言った。まいは規則正しい生活をし、きちんと食事を食べ、身の回りのことやおばあちゃんの手伝いをした。
おばあちゃんと暮らしていて、このままでいいのか迷っていた。おばあちゃんはそれなら魔女修行がいりますね。といった。
おばあちゃんから自然の中で暮らす知恵を教わった。山野草名前も教わった。
ある朝にわとりが殺された。その時おばあちゃんは、本物の魔女は動揺しないと言った。
心が望まないことは無視しなさいと言った。
そして人は身体と魂からできているとおばあちゃんは言った。体があって明るく楽しいことが感じられる、そしてそれで魂が成長出来ると教えてくれた。

魂が離れる時は証拠を見せてあげましょうね。といった。

パパの単身赴任先で家族が一緒に暮らすことになって、おばあちゃんに別れを告げた。


そして2年後おばあちゃんが亡くなった。


台所の外にある小さな部屋の隅に姫忘れな草をみにいった。おばあちゃんはそれはキュウリグサだとおしえてくれた。水をやろうとしたとき、泥で汚れたガラスに指で文字が書いてあった。


ニシノマジョカラ ヒガシノマジョヘ
オバアチャンノ タマシイ ダッシュツ セイコウ


おじいちゃんが好きだったギンリョウソウ


台所の隅に生えていたキュウリグサ


ワスレナグサ




早く読みたいと思っていたが、待った甲斐があった。永久保存版の名作になった。
小川洋子さんの「博士の愛した数式」の隣に大切にしまっておこう。






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言葉の露が

2014-07-08 | 山野草

20140708 八重咲きムクゲ



暖かい言葉の露がポトリと落ちてきて
心の奥に消えていった
どこかが暖かくなって
手足も暖かくなって

身体を揺らすと小さな暖かい露の玉になって

空に広がって消えていった

 






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「遁走状態」 ブライアン・エヴェンソン 新潮クレスト・ブックス

2014-07-07 | 読書

多少内容が異なることがあっても、一日という単位は、日常という言葉に置き換えても何も不都合はない。
そして、その日常がたまに壊れることがあっても、手元にある経験や知識を使えばなんとか元の姿に修復出来、たとえ1日2日で出来なかったとしても、日常生活が根元から崩れてしまうことは滅多にない。
生きることはそういう時間の流れに乗って、ちょっとした風化や事件を受け入れた後にも、自然に癒される仕組みがあり、それぞれがそれなりに生きていく。
だが、この本ではそうであってそうではない。



年下
父が狂い母が自殺した、その時から全てのものが破壊的に感じられるようになった妹と、現実をうまくかわしているような姉。

追われて
一番目の妻から男の筆跡のようなサインをした手紙がきた。家に行ってみると、暖炉の上に血の跡が見つかったので、一泊程度のバッグを車に積んだままで逃げた。
だがどうも二番目の妻につけられているらしい、逃げているうちに、三番目の妻も追って来ている気がする。どこに向いても、どこに止まっても、後ろの車が気になる。車を止めて見に行けば、二人とも死んでいるのはないか、もしかして私も。

マダータング
勝手に舌が喋り出した。言いたいことと違った言葉がでてくる。指もかってにくねくね動きだした。娘が入院させたが、。勝手に舌が言葉を作る。言葉に飲み込まれる前に死のう。銃を用意したが見つかり、言い遺そうとした言葉は「昆虫 」「イワシ、テント柱の合図」になって出てきた。

供述者
 中西部の荒れ地で、現地人に囲まれ、逃げ道に窮した弾みに言った言葉で、ジーザスにされてしまった。

脱線を伴った欲望
 彼女を捨てて家を飛び出したが、うちを離れられずぐるぐる周っていた。決心して帰ると彼女は骨になっていた。

恐れ
 動けない、まるで死体のようだったが、医者は原理的に死んでいることと、実際に死んでいることを説明する。わたしはガラスに自分を写して見た。

テントの中の姉妹
 離婚して世話をしてくれていた母親が勤めに出て、次第に帰りが遅くなっていった、父親の元に行く日も決まっていた。両親の二人の帰りが遅くなり、帰ってこない日もあった。父の家でも姉妹は毛布を家具に渡しテントを作りその下で遊んでいた。

第三の要素
 報告書を出し次の任務につく。そういう任務は常に監視されている。それが事実でもそうでなくても、どんな方法でもいつまでも生きていけるとは思えない。

チロルのバウアー
 旅行先のチロルのベッドで妻が死にかけていた。妻は次第に変容してついに死んだ。彼は紙に線をひいた。その線から妻に形が見えて来るようにと。何も出ては来なかったが鉛筆を離せなかった。

助けになる
 ワイヤーがかれの目と鼻を割いた。処置をして家に帰ると、妻が「出来ることはある?」と聞いた。ない。周りは暗闇だった。彼は家の明かりを消してしまった。帰った妻がこちらの世界に来るように。なにか手伝うことはない?と妻に聞けるように。

父のいない暮らし
 父は袋をかぶる様になった。紐で首のところを縛って家をうろついては倒れた。倒れると紐を緩めてあげた。とうとう床に倒れたままで死んだ。お母さんが出て行ってから父は父のようではなかった。おばに引き取られたが、父の死について警察に尋問された。そこに母が捕まってきた。母は無実だと言えといった。なにも言うな、何もするなと明晰な自分の心が言った。

アルフォンス・カイラーズ
 カイラーズを殺して国外に出ろと言われた。船にもぐりこむと、名前を問われ「カイラーズ」だと名乗った。 海でおぼれかけていた男が救われたが、彼がカイラーズだった。救命ボートで流されたがカイラーズに救われた。気がつくと大きな船に乗っていた。自分はカイラーズを殺したらしい。しかしヒゲをそろうとして見た鏡にはカイラーズの顔が映っていた。カイラーズで暮らしていくしかない。

遁走状態
 被験者はアルノーに遁走状態と言って、目から血を流して死んだ。アルノーも遁走状態に罹った。どこかおかしいがそれがわからないまま、精神は遁走状態になった。俺はいったい誰だろう?

都市のトラウブ
 夕暮れ近く、トラウブの顔が変化していき、分解し、トラウブはベッドの上に浮かんでいた。空の中で時は少しずつ早くなり自分のことが分からなくなっていった。

裁定者
 大火の前は何でも引き受ける男だった、やってきた男に紙切れを渡され、玄関に来た男を手斧で殺せと書いてあった。男が来た、地所をもらって耕して暮らしたいと言った。「あなたがこの共同体の裁定者なのだから」
それを許可すると次々に人がやってきた。外に出ると農場は遺体でいっぱいだった。隣人に一部始終を話し、それ以後ずっと家に籠っている。



平板に見えた時間や空間が歪み、異常な事態に遭遇することがある。
異空間や出来事の真ん中に滑り込んだり投げ出されたり、存在根拠のない、自覚もない場所に立っていたりする。
生まれて物心がつくと、周りが歪な形に見え始める。世界は自分側なのか、外にあるのか。
覚めない夢なのか、特異な体験に巻き込まれた恐怖、おぞましい環境、不都合な出来事に巻き込まれたひとたちの、終わりの見えない不快な苦痛や驚愕や戦慄に巻き込まれそうな、不思議な気持ち悪さに沈み込んでしまいそうな、戦慄の合間には、ときどき笑ながらも凍りつきそうな19篇の短編集。

見慣れた状況が形を変えたシーンになり、暴力と流血の中、不幸な環境でありながら自分が明確ではなくなっていく。不思議な短編集だ。抽象的な物事をはっきりとした言葉で書き表し明確なイメージを創り出す。難しい世界を築いている。
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