空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

8月28日金曜日 晴れ  <人間らしさって>

2015-08-29 | 山野草

すこし雲がでていたが、風がすこし秋らしく感じられた。

ノルウェーの作家(ジョー・ネスボ)を本屋さんで見つけた。題名は「ネメシス」
予備知識もなく、ただミステリの最上段に表紙を見せて並べてあり、本屋さんでも力が入っているのかとつい手が伸びた。
それが大正解で実に実に面白かった。久々の大ヒット。
シリーズだというので、デビュー作も買って来た。が、レビューは後にして、登場人物に惹かれた。聡明な犯罪者で重要人物の一人。だが犯罪の道に走ったのは彼が「ロマ」だったからだと言う。

気になったので「ロマ」「ジプシー」という種族をすこし調べてみた。

日本は大雑把に単一民族といわれている、小さな島国の中で独自の発展を遂げ、特に近代になって人の差別化には敏感になっている。全てにおいて社会的に平等に扱われることが当然だと決められた。難しい個人別の深い根を持つ問題はあっても、生まれによって社会的に無視される事はない。

ついに、本箱の中にあった「ユダヤ人」(J-P、サルトル)を引っ張り出した。往年の名著。
人間は他を区別、差別、相容れないものを憎悪しないでは生きていけない生き物なのだろうか。果てしない迷いの種をまいてしまい、これからすこしずつ回収していこうと感じた。





咲き残りの「ムクゲ」の中で「コチャバネセセリ」がまだ寝ていた。


「ジニア」(百日草)とヒョウモンチョウ(流行の豹柄なのね^^)


「アレチウリ」花が終わると丸い緑の実ができる。良く見るとくす球にも似ている。


「ヤブカラシ」空き地と見るといつの間にか蔓をのばして茂る。可愛くない野草の一つ。


「ヘクソカズラの花」においは別として形も色も可愛い。独特のにおいも、~にくらべれば~よりは、と言いたくなる。
別名「サオトメバナ」とも言うが本来の名前のインパクトには負ける。


「ネコジャラシ」の中に混じって。


「ハツユキソウ」ってこんな実になる、夏に初雪か。


一日中咲いている。小さい朝顔。この生命力は気化植物だな。琉球朝顔の仲間か?






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8月27日木曜日 快晴

2015-08-28 | 山野草

いつの間にか油蝉の声にかわって、つくつくぼうしが鳴き出した。
家の中にばかりいて、買い物は車、という生活で季節の移り変わりも見ないでいたことに気がついた。そればかりでなく、不健康な兆しを自覚して、ついに決心して朝夕ウォーキングをすることにした。
幸い、まだ周りは自然が豊かで、カメラを持って歩くと足が止まることも多いが、楽しく歩ける。往復30分くらいなので、ベテランに話すと、大きな声でウォーキングとはいえないかも、といわれた。撮影時間は別、実質30分だといっておいた。




快晴、「サルスベリ」がまだ綺麗だ


「ランタナ」


「女郎花 オミナエシ」 オトコエシという白い花もあるが秋はこの花、山に行っても余り見られなくなった。


「ほたるぶくろ」今年はいつもの山でも見られなかったが、これは園芸種の咲き残り。



槇の実 赤い部分は甘くて食べられる。緑の種をまくと生えてかんたんに育つ。


「ハイビスカス」造成地に新築の家が増えてきた。夏の名残の花がまだ燃えていた。


裏道にまだ青い柿が。


「へくそかづら」の種。「植物図鑑」(有川浩著)に登場しました(^^)
 
 





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「謎物語」 北村薫 中公新書

2015-08-13 | 読書
  



裏表紙の紹介から

物語や謎を感じる力は、神が人間にだけ与えてくれた大切な宝物。名探偵も、しゃべるウサギも、実は同じものかもしれない、―― 博覧強記で知られる著者が、ミステリ、落語、手品など、読書とその周辺のことどもについて語り起こしたはじめてのエッセイ。宮部みゆき氏の応援メッセージ、謡口早苗氏のメゾチントも収録した待望の文庫化。




ミステリについて語り解説を紐解く、興味深く面白く、ミステリの世界について改めて考えさせられた。
共感、同意、新知識が頭の中をマッサージする、これが嬉しくて本を読むのかと思うような一冊だった。

引用は文字の色が爽やかな青色で、読みどころ、作品のポイントがうまくまとめられ、超短編は全文引いてあるところもある。

謡口早苗さんのメゾチント(版画)これも幻想的な図柄が青い色で押されて、一区切りを飾っている。表紙もそうだが初めて見てすっかり好きになった、美しい。(初めてのものに出会うととても嬉しい)

引用したいところばかりだが、最近関心があるので、第7回、芥川の《昔》から

いかなる現実の事件があろうとも、現代日本は、古今東西を通じて最も人の命の高い国であろう。そこに生きる書き手にとって、人を殺す、というのは難しいことである。
 ところで芥川龍之介は、自分が歴史物を多く書くことについて『澄江堂雑記』のなかで、こう語っている。

テーマを芸術的に最も力強く表現するためには、ある異常な事件が必要になるとする。その場合、その異常な事件なるものは、異常なだけそれだけ、今日この日本に起こったものとしては書きこなしにくい。もし、しいて書けば、多くの場合不自然の感を読者に起こさせて、その結果せっかくのテーマまでも犬死にをさせうことになってしまう。



わたしは芥川の作品の原点の一部に触れた気がする、続いて「現代世界文学全集」第一巻からルナールの「村の犯罪」を挙げている。さすが面白くて、納得して楽しんだ。

これだけでもこの本を一読する価値がある。

上げればきりがないが、最も心に残った作品があったので孫引きだが書き写して、忘れないようにしたい。




中川正文氏の「口説の徒」 福武文庫「現代童話Ⅱ」で読んだ、まずお子さんの友君の詩。


五足の上靴

さんかん日に
おかあちゃんがきて
帰るとき
ぼくのげたばこをあけたとたん
「ひゃー、上くつ、いっぱいあるやん。すててしまい」
と、いうたやろ。

ぼくは、それいわれるのん ひやひやしてたんやで。
なんでか、いうたら、
二年からの、上くつ、げたばこに、ためててん。

ぼくの思いでが、いっぱいある上くつやし、もったいない。
奈良先生にも、いわれたんやけど
すてへんかった上くつやねん。

いちばんぼろぼろのは
三ヵ所ほど、でかいあながあいてるけど
およめにいった
千賀先生とも、遊んだくつや。
運動場も走ったし
雪の上もふんだし
勉強もしたし
ぼくのシンボルや。

今のくつも、もうあかんようになったけど、
運動会の日まで、はいてやったし
また
ためとくねん。
そやし、
「すててしまい」と、いわんといてや。

この詩が、三年生の教科書の採用された。ところが、友君はひどく浮かぬ顔をしている。聞いてみると《「アホらしくて、ものもいえんわ。おとないうたら、ゼンゼンわかっとらん」》教科書を見た中川氏は《唖然となった》こうなっていたという。

古い運動靴

おかあさん、
じゅぎょうさんかん日に
ぼくのげたばこをあけたとたんに、
「まあ、古い運動靴がとってあるのね。すててしまいなさい。」
と、いったでしょう。

ぼくは、
それをいわれるのを、ひやひやしてたんだよ、
なぜかというと、ぼくの思い出がいっぱいあるくつなんだもの。
二年のときのくつなんだよ。

三ヵ所ほど、大きなあながあいているけど、
よその学校へかわられた中野先生とも遊んだくつなんだ。
暑い運動場もかけまわったし、
雪の上もふんだし、野球のときもかつやくしたし、
ぼくのたからものなんだ。

今のくつも、もうだいぶんふるくなったけど、
きょねんの運動会で、二とうをとったくつだし
また、ためておくんだ。
だから、
「すててしまいなさい。」
なんて、
かんたんにいわれては、こまるんだよ


《よくもこれだけ見事に言葉を殺せるものだ》と感嘆するしかない。

端的に言えば――格調が違いすぎる。《およめにいった千賀先生》それがなんと《よその学校へかわられた》!


というエピソードなども交えながら、ミステリの核になるトリックを、前例のない形で作り出す難しさなども語っている。

すこし前に何冊か読んだ、コリン・デクスターの解説があったのもうれしかった 読んでいてわーいわーいと喜びたかった。


最後に140足らずの書名索引がある、漏らさず読むには時間が足りないあぁ。


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「暗鬼」 乃南アサ 文春文庫

2015-08-13 | 読書



乃南アサさんの作品は、ミステリもホラーも面白いので、余り選ばずに読んできた。
ところが、この作品は、表紙と題名からの期待がちょっと裏切られた感じだった。

見合いで気に入って嫁にきたが8人が同居する大家族だった。98歳の下半身が麻痺した曾祖母までいる。
が、夫を頼りにして入り込んでみると、揃って陰りのない笑顔で、まるで作り物のように笑いかけてくる。何をしても歓迎、喜んでくれる。常に皆が笑顔で褒めちぎられるなんてことなどあるのだろうか。それでも、不思議ではあるが、悪い気はしないで次第に馴染んでいく。
ただ、ときに不審な人物が曾祖母を訪れる。生活の智恵を授けているらしい。
しかし暫く暮らしてみると、大家族の家にしては、お互いになれなれしすぎる。障碍者の世話をしている姉と弟も関係が粘つく、性的なにおいがする。

夜、気がつくと、横に夫がいない。探しに出てみると曾祖母の部屋で人声がする、何か会議でも開いているらしい。その後歩いている曾祖母と祖父の後姿を見たような気がする。

寝たっきりの祖父の世話をする祖母は、普段は他人に触れさせたくないらしい。

考えれば、鬱々としてくる。と、家業の米屋と雑貨を売って繁盛しているらしい店を突然閉めて蓼科の別荘にいくと言い出した、一台車に押し込まれて全員が移動する。そこで奇妙な体験をする。

帰ると蓼科で儀式が済んだらしい、本式に家族と認められたことになり、すこし内情がわかってくる。ますます変ではないか、どこかおかしい。

そこで友人に相談する。招いた友人に家族はこれまでになく実に優しい。

庭で野草を育てている、見るからそれは薬草で、危ない作用をするものがある、曾祖母はそれで悩める人の治療をしているらしい。

店子の氷屋が全焼して、曾祖母のところに憂い顔で通っていた主人が焼死した。
これにもなんらかの関係があるのだろうか。

ますます疑念が深まる。

友人が庭の見学にと連れてきたは男が薬草に異常な興味を示したが、姿が消えた。


様々な出来事に気がつく、揃って愛想よく笑いかける家族の裏の顔がついに暴かれる。家族のおぞましい関係。
不思議な結びつきが暴かれたときは、いつか快い居場所になっていた。友人も引き込まれ新しい血が加わることになる。


生理的なタブーがじわじわと迫ってくるが、それが自然な流れに感じられるところが筆力か。
余りなさそうな、フィクションの世界であっても現実ばなれのしたテーマに、多少距離感を感じてしまった。



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「月の砂漠をさばさばと」 北村薫 新潮文庫

2015-08-12 | 読書


お母さんとさきちゃんは二人暮らし。おかあさんはお話を作る人なんだけど、悪戯が大好き。そんなお母さんをさきちゃんは大好き。
というほのぼのとした日常のお話が12編ある。

「くまの名前」
小学校三年生のさきちゃんはお母さんのお話しを聞くのが大好き、寝る前にお母さんがお話を見つけた話をしてくれた。
でもお話は、先に三毛猫さんに拾われ、そこで引っ張り合いになってお母さんは「お話!おはなし!」と叫んだのよ。
でもこのお話には熊さんがでてくるの、乱暴者でね、新井さんのおじさんが任せないさいって、くまさんを連れて行ったの。
それでくまさんの名前が変わって「アライグマ」さんになったわけ。
はしょった、かいつまんだ話ながら、こういうことをさきちゃんに話して聞かせるお母さんなのです。
母子家庭の日常の影もうっすらと漂う話なのです、おかあさんは上手にそんなお話にしてしまいます。

賢いお母さんの愉快なお話を聞きながらさきちゃんはすくすくと育ちます。

お母さんは、さきちゃんの連絡帳の書き込みに返事を書いてお友達になったりします。

お母さんはよくCDを聞いていて、自分でも歌を歌います、でたらめの。
「月の 砂漠を さばさばと さばの味噌煮が ゆーきーました」
さきちゃんはさばの味噌煮が砂漠を歩いていくのは可愛いといいました。お母さんは「……なるほど」といいました。

簡単に言えばこういう話が、又言いますが、12編あります。みんないいお話です。

どれも温かく時にはジンと来ます。

お母さんとさきちゃんの、言葉にしない賢さと優しさがたまりません。

この味はお読みいただければたっぷりと楽しめます。


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「フェイスレス」 沢村鐵 中公文庫

2015-08-12 | 読書


警察小説で、主人公がうら若い女性らしい。すこしこういう世界から離れていたので読んでみた。
初めての作家を知るのも楽しみだし、目撃者が相貌失認という設定も、ストーリー展開が面白そうだ。

新設の大学は単科ではあるが自由な気風で、留学生も受け入れている。だが評判のよくない教授が、爆弾を送りつけられて死んだ。
犯人と接触し、教授の研究室のドアの前にいた留学生担当の教授は、そこで犯人と接触していたが、彼は相貌失認という脳障害があった。

墨田所管内の事件なので強行班係一柳美結巡査が相棒と調べに行く。

留学生からの聴取も目撃者の佐々木教授からも、核心に触れる手がかりが得られなかった。

そして第二の爆破事件がおき、留学生との関係がわかってくる。

非常に華々しい展開で、サイバーテロ、大掛かりな国際テロ組織があるらしい、ボスの”C"という人物からのメッセージが届く。

過去のある留学生の集まりは結束も強く、警察も意志の疎通が得られにくい。そのうち爆死した教授ではなく佐々木が狙われたらしいと思われてくる。

彼を狙った国際的な組織とをもつ”C"と警察の情報解析のプロとの対戦。

面白い要素がスピーディに展開するが、警察の捜査が混迷を極める。

やっと留学生の一人を追い詰めるが、それも”C"に操られていたらしい。


現代的な様々な要素が絡んで早く読めてしまえた。

ただ事件が解決して爆破の犯人も挙がった、しかし国際組織というテロ集団と、時に顔を出す”C”の神がかったモノローグが、多少現実の事件の鮮明さから離れ、続編もあるらしい締めくくりは消化不良が残った。


 

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「食べ物のことはからだに訊け」 岩田健太郎 ちくま新書

2015-08-12 | 読書


健康には程ほどの自信があった。程ほどとはたまに風邪を引くことくらいだった。10年ほど前に山登りを強行して心房細動になり以後数回の病気で、健康について遅まきながら考えるようになった。
家族の食の管理も見直すのがいいかなと、すこし関心が出てきたのでこの本を読んで見た。
題名が日ごろの考えに近いこともあって、同意できることが多かった。

今まで新聞の派手な見出しで「~すれば癌はなおる」「この食べ物で体質が変わった」
臨床データもなく大声で主張するこういう類の本は読まなかった。


この本では第二章に、健康「トンデモ」本というところで述べられている。
「極論が多い」「科学では説明できないこともある」「自然治癒力」「日本古来の」「古代からの」「自然免疫力」
などの「キラキラワード」を多用する。

こういう健康情報満載の本が新聞紹介欄にある。言葉には納得する部分があるが、だがその後に続く効用を信じていいのだろうか。


そうしてこの題名「からだに訊け」が目に付いた。
静かにからだに訊くと、見逃していたわずかな変調に気がつくことがある。予兆を見つかることが出来る。寝る前のすこしの時間、静かに声を聞く。

病気なってから治すのではなく、その前に耳を傾ける。
それは個人差のある自分というたった一つの個体を知ることで、そのうち健康に関心が持て、一概に、こうすれば「癌にならない」「血圧が下がる」「体重が減る」「増える」などと言うことが全てに通じるのかという疑問がわく

いいことは試してみるのがいい、人によって効果があるかもしれない、人はそれぞれ体質も嗜好も違う。健康状態も日々すこしは違っている。


ただ過食はよくない。カロリーの撮りすぎは、消費することを前提に考える。使わない余分なものをため込まない。

このあたりは非常に常識的で、納得できた。




ただ一点、実に信じがたい部分がある。

第一章に上げられる位なので、まず読むべきだろう。


*糖質制限は本当にからだによいのか。

筆者は若く健康体で、昼食は仕事しながらコンビにのおにぎりだと言う。
糖質制限でも、バースデイケーキの一切れで癒されるならいいそうだ。そうかもしれない。
だが。

これは、いかに筆者が臨床医でも、糖尿病患者には無神経ではないだろうか。
糖質制限は、大切であり糖尿病は完治しない、気長な治療も必要だ、しっかりとした指針もいる。食は楽しみであり生きて行く基礎なのだが、思うまま摂取できない体質(病気)を持つことがある。(母が糖尿病だった)

それぞれの専門医の意見をしっかり守ることが一番であるが、実行するのは自分でありいかに先進医療を受けても、健康を取り戻すには前向きに地道な努力がいる。

等質制限(とり過ぎない)事は常に頭にあっていい。病気でなくても、肥満、皮下脂肪、中性脂肪型の油脂の摂取、消費のバランスには注意がいる。

窮屈な生活は楽しくない。ただ知っていて、時にからだの声に耳を傾け、若さで許されることもいつか小さな割れ目から不要な病原がたまり、ほんのすこし年を重ねて代謝が劣ることに気づく、そんな時のために健康に目を向けることも必要だ。
平均余命がのびてきた今、若いからといって油断せず、小さな積み重ねが、心身の健康を守ることだと感じた。高齢者が自立するためのも知識と努力は続けなくてはいけない。

ストレスというような、ちょっとした自覚のない状態でも、心を広げ、遠い山河を思うだけでも、ささやかなで短い人間の人生はわずかに軽くなるのではないだろうか。

健康情報の過度な喧伝から、しっかりとした智恵と知識で生きることを考えさせられた。

 
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「いなくなれ群青」 河野裕 新潮文庫

2015-08-07 | 読書


表紙はきりっとした表情のセーラー服の少女、題名も美しいので読んでみた。

今はなくなったような呼び名で言えば、しっかりしたジュニア小説で、ファンタジックな物語が展開している。

捨てられた人がいくと言う階段島で目が覚めた。中学も高校もあって生活が保障されている。下宿屋も食堂もある。郵便は出すことも受け取ることも出来る、ただ出て行けないだけで、慣れれば暮らしてはいける。

面白い設定だが、一つの階段が頂上に続いていて、上には魔女が住んでいるそうだが見たことがない、何かありそうだが、魔女がいるともいないとも、途中の話には余り関係がない。

面白いのは冒頭、いつも屋上にいる100万回生きた猫と呼ばれる男の子との会話は、芝居の台本のうな、面白いテンポがあり、現実感はないが続く物語に期待を持たせている。
残念なことに、100万回生きた猫というのは七草が呼んだ名前であって、他の登場人物がどう呼んでいるのか、一括しで「ナド」と呼ばれていると言うのはじつに味気なかった。もうすこし気の効いた呼び名があれば面白い。
こういう浅瀬を歩いているような、ストーリーで物足りない。

主人公の七草という男の子の後から、幼馴染の真辺由宇もくる、性格のまったく違うふたりはこの再会を機に、様々な体験をする。
お互いを理解できるようになっていく出来事は、この話のメインかもしれない。七草の内向きの生き方にくらべて、物言いもストレートな真辺は好感が持てるだけに、作者の意図もこの辺りにあったように感じた。

特に変わった事のない日々におきる落書き事件、階段を上ってみようという行動派の真辺。

階段島の生活は何のためにあるのか、捨てられたと言う意味は。いつか外には出られるのか。

最後で種明かしになるが、目新しい出来事もなく、ただ面白いと感じられないのは世代の相違かもしれないと思いながら、乗り切れず苦労して読んだ。




  



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「いなくなれ群青」 河野裕 新潮文庫

2015-08-07 | 読書


表紙はきりっとした表情のセーラー服の少女、題名も美しいので読んでみた。

今はなくなったような呼び名で言えば、しっかりしたジュニア小説で、ファンタジックな物語が展開している。

捨てられた人がいくと言う階段島で目が覚めた。中学も高校もあって生活が保障されている。下宿屋も食堂もある。郵便は出すことも受け取ることも出来る、ただ出て行けないだけで、慣れれば暮らしてはいける。

面白い設定だが、一つの階段が頂上に続いていて、上には魔女が住んでいるそうだが見たことがない、何かありそうだが、魔女がいるともいないとも、途中の話には余り関係がない。

面白いのは冒頭、いつも屋上にいる100万回生きた猫と呼ばれる男の子との会話は、芝居の台本のうな、面白いテンポがあり、現実感はないが続く物語に期待を持たせている。
残念なことに、100万回生きた猫というのは七草が呼んだ名前であって、他の登場人物がどう呼んでいるのか、一括しで「ナド」と呼ばれていると言うのはじつに味気なかった。もうすこし気の効いた呼び名があれば面白い。
こういう浅瀬を歩いているような、ストーリーで物足りない。

主人公の七草という男の子の後から、幼馴染の真辺由宇もくる、性格のまったく違うふたりはこの再会を機に、様々な体験をする。
お互いを理解できるようになっていく出来事は、この話のメインかもしれない。七草の悲観的な生き方にくらべて、物言いもストレートな真辺は好感が持てるだけに、作者の意図もこの辺りにあったように感じた。

特に変わった事のない日々におきる落書き事件、階段を上ってみようという行動派の真辺。

階段島の生活は何のためにあるのか、捨てられたと言う意味は。いつか外には出られるのか。

最後で種明かしになるが、目新しい出来事もなく、ただ面白いと感じられないのは世代の相違かもしれないと思いながら、乗り切れず苦労して読んだ。




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「朝霧」 北村薫 東京創元社

2015-08-06 | 読書

この本は、ページ数が少ない割りにデータ数が多くてなかなかレビューか書けなかった。引用して残しておきたい部分も多い、買ってきたので本棚に保存して、折にふれ取り出して読み返せばいいと思うが、書き残す作業で少しは残る記憶が鮮明であって欲しいと思う欲もある。

これで「円紫師匠とワタシシリーズ」が終わる。たまたま読んだ本だったのに随分影響を受けた。読書の幅がすこし広がった気もする。
子どもの頃から本好きできたが、なぜこんなに読むべき本を読み残していたのか、ここで気がついた。
読書に向かう姿勢を見直すことが出来たということが、このシリーズを読んで一番感謝するところだ。
博覧強記で知られる北村さんの文章が、温かく地味豊かだということが、読み続けるもとになっていてとても後味がいい。


山眠る

《私》は卒論を提出して、卒業後の研修プログラムも出来、就職先の人たちと付き合う時間が増えた。学生生活で限られていた行動半径も広がっている。
たまたま小中で同級生だった本屋の子と出合った。今は本屋を継いでいると言う。そこで母が通っている「俳句の会」の先生の噂を聞いた。
彼は「先生がいい年をしてエロ本をごっぞり買いこんで行った」という。
顧客情報をそんなに安易に漏らしていいのだろうか《私》は気分がよくなかった。
うちでは母は先生が俳句の指導をやめるのだと残念がっていた。母から最後に先生が披露した句をきいた。
 生涯に 十万の駄句 山眠る

《私》は先生があちこちでエロ本を買っているわけを知る。偶然出会ったのでそれとなく話すシーンがいい。先生の最後の句の意味もいい。
この章は、眼から鱗の俳句の話がメインになっている。

「走り来るもの」

《私》は卒業して勤め始めた。
この章は二者択一の妙というものがテーマだ。「女か虎か」女王が愛した若者の前に檻が二つある、王族との禁じられた恋というので裁判にかけられている。檻にはそれぞれ「美女と虎」が入っている。王女はそれ知っていた、若者は教えてくれると期待している、サテどちらを開けたのか。そこから男と女の愛の話になり、源氏物語の「すこし」という言葉にうつっていく。
円紫さんの落語も効果的にでる。
短いが読むのが実に楽しい。

さてあの美人のお姉さんが、しどろもどろで電話をかけてきた男性と結婚してはや女の子がうまれた。めでたい。

「朝霧」

三角関係の人たちの、コンサートのキップをめぐって起きる謎を解く。
円紫さんから「仲蔵」の話を聞く。

鎌倉に行ったついでに教師になった正ちゃんの家に泊まり江美ちゃんの赤ちゃんを見に行くことになる。

二人で数字場狩りの和歌の謎、漢字ばかりの和歌の謎に挑戦する。解が面白い。


メモ

《蚊柱のいしづゑとなる捨て子かな》池西言水
「この言葉に芥川が敏感でない筈はありません。少なくとも実の親からはなされた子という題材に対して、敏感でない筈はないとおもうのです」
わたしはそれを知った時、芥川が言水の句を読んだ時の心の揺れを、一瞬、共有したような気がした。
これからも私は本を読んで行くだろう。そして本は、私の心を様々な形で揺らしていきだろう。

無数の人が私の前を歩き、様々なことを教えてくれる。私は先を行く人を、敬し、愛したい。だが、人に知識を与える《時》は、同時に人を蝕むものでもあるのだろう
<山眠るより>

「たまたま 山本健吉の「新撰百人一首」というのを見ました。加藤楸邨は何が選ばれているのかと思ったら《日本語をはなれし蝶のハヒフヘホ》でした」
「僕にはわからない。仲間に俳人がいますのでね《これはいいものですか》と聞いたら、じっと見て――《いい》」
「《いい》といえるものがそれだけある。見えることは世界が豊かだということでしょう。羨ましいと思いますよ」
<円紫さんのことばより>

夢の世界は個人のものである。当人が言わない限り、誰にも覗けない。絶対の謎である。そこが見たくなったときに起こる奇妙なもどかしさ。
《知りたい》という噺より


いい本を読んだ。北村さんの本は後三冊買ってある。読み終わったので忘れないうちに書いておかないといけない。


  
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