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見慣れた日常の
見慣れたものたち
会話も 風景も
こまごました品々まで
同じ夜明けと日暮れと犬の鳴き声と
子供たちの歓声も
見慣れない小さな嘘だけが
真実のかけらを見せているようで
考える人の考える時間は
手のひらに顎を乗せて
指で三角を作って
頭を傾けて
考えない人の考えない時間は
いつもとれたての新鮮な時間
二つの時間を
少しずつ盛り合わせて
新しいレシピに入れれば
毎日おいしい料理が出てくるでしょう
鮮やかな色の花も
豪華に開いた花も
根っこは土を抱いている
小さな種でも温かい土に抱かれて
いつかどこかで花になって咲き始める
人は生まれた時から小さな闇を抱いている
心の中に育っていく闇の種は密かに密かにささやいている
「いつ 花が咲くの」
「いつ 空を見るの」
「シーッ 誰にも言わないで」
「いつも願い続けているのだから・・」
風に乗って散ってしまうまで