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桜の思い出

2005年04月09日 | 雑記

桜が咲くと、以前訪問していた患者さんを思い出します。
寝たきりだった方(女性)を、車椅子で桜を見に連れて行きました。
小さな川沿いに、立ち並んだ桜は見事でした。
痴呆がありましたが、綺麗な桜に感動し、何よりご主人が
喜んでくれました。
妻が嬉しそうにする表情を見て、嬉しそうにしたご主人は、
妻が亡くなった今も、私を思い出すそうです。
数年ぶりに偶然外来で会った時に、涙を浮かべながら感謝されました。
「懐かしいねぇ、あの時は本当に家内がお世話になりました」と。
もうご主人も90歳近いと思いますが、奥様の分まで
長生きしているのかもしれません。

もう1人は1人暮らしの男性でした。
肺が悪いために、少し歩くと息苦しくなります。
「花見は、もう死ぬまでに一度もできないなあ」と、話すのでした。
確かに、90近くなり、年々体力も気力も衰えてきました。
私は4年近く訪問看護していたので、よくわかりました。
本当に最後になるかもしれないと思い、思い切って連れ出しました。
車に乗せ、100本以上もある桜通りを往復しました。
「綺麗やったなあ、いいもんみせてもらった」と言いました。
娘さんも忙しく、殆ど来られない様子でした。
年に近くにいても年に2~3度、会うくらいでした。
私が訪問看護から外来に異動になり、一度救急車で運ばれました。
「ああ、あんたか、久しぶりやな」
懐かしく思いました。

それから1年くらいで、たった一人で静かに自宅で亡くなって
いたそうです。桜のように潔く散ったような気がします。

桜の散り際は潔いものです。今日は風に吹かれて、綺麗でした。