★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団のベルリオーズ:レクイエム

2022-01-04 09:37:35 | 宗教曲


ベルリオーズ:レクイエム

         永遠の安息を与えたまえ、主よ憐みたまえ
         怒りの日
         妙なるラッパの響き
         哀れなるわれ
         みいつの大王
         われをたずねんと
         涙ながらの日よ
         奉献誦―主、イエス・キリスト
         讃美のいけにえ
         聖なるかな
         神の子羊

指揮:シャルル・ミュンシュ

管弦楽:ボストン交響楽団

テノール:レオポルド・シモノー

合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン

合唱:ニューイングランド音楽学校合唱団

発売:1973年

LP:RVC(RCA) RGC-1097~1098

 ベルリオーズは、「最後に1曲だけ手元に残すとすればどの曲?」と質問を受けたとき、即座に「レクイエム」と答えたそうである。それだけベルリオーズにとって思い入れが深い曲なわけである。時の政府が作曲家に4000フランの賞金を出し、ミサまたはオラトリオを作曲させるという施策を打ち出し、白羽の矢が立ったのがベルリオーズであった。1837年3月に正式な依頼があり、完成したのが同年6月なので、ベルリオーズは4か月という短時間でこの大曲を完成させたことになる。ベルリオーズが最初に考えた編成は、次のような大規模のものだったようだ。合唱310人、テノール1人、ヴァイオリン50人、ヴィオラ20人、チェロ20人、コントラバス18人・・・で、事情が許せば合唱団は2~3倍に増やし、それに見合ってオーケストラも増やすという途方もない計画だったようだ。このため、このレクイエムは「システィンの壁画を描いたミケランジェロに匹敵する」とさえ評された。この曲は、レクイエム(死者のためのミサ曲)であるので宗教曲であるのには間違いないのであるが、例えば、バッハのロ短調ミサのような宗教曲そのものというより、何かフォーレのレクイエムのような、ロマンの香りがそこはかとなく漂い、聴きやすい宗教曲仕上がっている。このLPレコードで指揮をしているシャルル・ミュンシュ(1891年―1968年)は、当時ドイツ領であったアルザス・ストラスブールの出身で、のちフランスに帰化した名指揮者。1926年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の奏者となり、1932年まで楽長のフルトヴェングラーやワルターの下でコンサートマスターを務める。1929年パリで指揮者としてデビュー。1937年~1946年パリ音楽院管弦楽団の指揮者、1949年~1962年ボストン交響楽団の常任指揮者を務める。1967年パリ管弦楽団が設立された際には初代の音楽監督に就任したが、翌年同団とともに演奏旅行中、アメリカのリッチモンドで急逝した。テノールのレオポルド・シモノー(1918年―2006年)は、カナダ出身。ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン劇場、ローマ国立歌劇場などで世界的に活躍し、特に同時代を代表するモーツァルト歌手として名声を博した。このLPレコードでのシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏は、この大曲の持つスケール感を存分に表現すると同時に、美しい表情も盛り込み、聴くものを魅了する。特にボストン交響楽団の管楽器群の迫力には圧倒される。この曲を代表する名盤。(LPC)


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