★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ハリーナ・チェルニー=ステファンスカのショパン:24の前奏曲ほか

2023-06-08 09:41:56 | 器楽曲(ピアノ)

~ハリーナ・チェルニー=ステファンスカのショパン:24の前奏曲~

ショパン:24の前奏曲op.28
     前奏曲変イ長調遺作
     前奏曲嬰ハ短調op.45

ピアノ:ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ(24の前奏曲op.28)    
    バルバラ・ヘッセ=ブコウスカ(前奏曲変イ長調遺作)
    ボレスワフ・ヴォイトヴィッチ(前奏曲嬰ハ短調op.45)

発売:1975年8月

LP:日本コロムビア OW‐7556‐PM

 ショパンは、全部で26曲の前奏曲を作曲した。通常、ショパンの前奏曲と言ったらop.28の1~24の「24の前奏曲」を指すわけだが、ショパンはこの前後に1曲ずつの前奏曲を作曲している。その一つが、ショパンの最初の前奏曲である変イ長調遺作、もう一つが24の前奏曲の後に作曲した嬰ハ短調op.45である。変イ長調遺作の自筆原稿は20世紀になって発見され、1918に出版され翌年初演されている。一方、嬰ハ短調op.45は、24の前奏曲の後の1841年に作曲されたショパンの最後の前奏曲。このLPレコードには、以上の26曲の前奏曲が収録されている。使用されている楽譜は、ポーランドのクラカウで1949年に出版された「ショパン全集第1巻(第9版)」(通称:パデレフスキ版)で、このLPレコードは、これに基づいて演奏されている。ショパンの24の前奏曲は、1836年から1839年の4年間をかけ作曲された。数あるショパンの作品の中において一貫した内容を持った作品で、変化に富むと同時に、深い曲想を持っているのが特徴。中でも第15番の「雨だれの前奏曲」は、特に名高く、この1曲だけが演奏されることも多いが、24曲を全て弾くことにより24の前奏曲の真の姿が浮かび上がる。この24の前奏曲を演奏しているのがポーランドの女性ピアニストとして一世を風靡したハリーナ・チェルニー=ステファンスカ(1922年―2001年)である。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカは、ポーランド出身。1949年第4回「ショパン国際ピアノコンクール」で第1位および最優秀マズルカ演奏賞を受賞。その後、パリに留学し、エコールノルマル音楽院でコルトーに師事。ショパン・コンクールでの成功を機に、全世界でショパンを中心とした演奏活動を展開し、ポーランドを代表するショパン弾きとして一世を風靡した。レパートリーはショパン以外にバロック、古典から現代曲まで多岐にわたる。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカの演奏内容は、繊細を極めたもので、あたかも宝石をちりばめたような美しさが身上。このLPレコードでも、その特徴が最大限に発揮されており、ショパンの24の前奏曲の持ち味を存分に味わうことができる。変イ長調遺作で演奏するのは、ポーランドの女性ピアニストのバルバラ・ヘッセ=ブコウスカ(1930年―2013年)で、1949年ポーランドから戦後初の「ショパン国際ピアノコンクール」に出場し第2位を受賞した。(LPC)

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