★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇アルテュール・グリュミオーの珠玉のヴァイオリン小品集

2021-08-02 09:45:17 | 室内楽曲(ヴァイオリン)


~アルテュール・グリュミオーの珠玉のヴァイオリン小品集~

パラディス:シチリアーノ
モーツァルト=クライスラー編:ロンド
グルック=クライスラー編:メロディ
グラナドス=クライスラー編:スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」
クライスラー:美しきロスマリン
クライスラー:愛の悲しみ
クライスラー:愛のよろこび
ヴェラチーニ:アレグロ
ヴィヴァルディ:シチリアーノ
ルクレール:タンブーラン
ベートーヴェン:ト調のメヌエット
シューベルト:アヴェ・マリア
ドヴォルザーク:ユーモレスク
マスネー:タイスの瞑想曲
チャイコフスキー:感傷的なワルツ

ヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー

ピアノ:イストヴァン・ハイデュ

発売:1978年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード)X-8557

 これは、名ヴァイオリニストのアルテュール・グリュミオー(1921年―1986年)が、珠玉の小品15曲を収めたLPレコードである。これらの小品は、LPレコードの持つ音質に非常によく馴染む。特に、端正で美しい音色が特色のフランコ・ベルギー楽派の最後のヴァイオリニストのアルテュール・グリュミオーを偲ぶには、これに勝る記録媒体はあるまい。グリュミオーが弾くヴァイオリンの微妙な音色が、レコード針を通してひしひしと伝わってくる。最近になり、このようなLPレコードの優れた音質に対して再評価の動きも出てきている。このLPレコードに収録された小品の概要は次の通り。最初の曲のパラディス:シチリアーノは、幼いころから目がまったく不自由であった貴族の娘のパラディスが作曲した曲。モーツァルト=クライスラー編:ロンドは、ハフナー・セレナードの第3楽章をクライスラーがヴァイオリン独奏用に編曲したロココ風の優美な曲。グルック=クライスラー編:メロディは、グルックの歌劇の中の、精霊たちがフルートの音色ににつれて踊るエレガントな曲。グラナドス=クライスラー編:スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」は、グラナドスのピアノ独奏曲「12のスペイン舞曲」の中の第5番で、スペイン南部アンダルシア地方の雰囲気が巧みに描かれている。クライスラー:美しきロスマリン/愛の悲しみ/愛のよろこびの3曲は、クライスラーの書き下ろした作品で、ウィーンの古い民謡を素材としたもので、3拍子の舞曲レントラーのリズムによっている。ヴェラチーニ:アレグロは、18世紀前半のイタリアのヴァイオリニストのヴェラチーニが作曲したソナタop.1-7の終楽章で、ヴェラチーニの名人芸を髣髴とさせる作品。ヴィヴァルディ:シチリアーノは、ヴィヴァルディが作曲した2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲の第2楽章「ラールゴ」によるもの。ルクレール:タンブーランは、18世紀前半のヴァイオリニスト兼作曲家であったルクレールのヴァイオリンソナタop.2-4の終楽章で、タンブーラン舞曲独特の低音ときびきびした曲調を巧みに取り入れた魅力ある曲。ベートーヴェン:ト調のメヌエットは、ベートーヴェンが青年時代作曲した6曲のメヌエットWoO10の第2曲。これらの小品をアルテュール・グリュミオーは、一曲一曲実に丁寧に、しかも典雅に弾き込んでおり、ヴァイオリンの音色の光り輝く様子を、このように自然に捉えた録音は、滅多にお目にかかれるものではない。 (LPC)

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