アクサイ列伝

　外泊。佐久に来て１０年目だけど浅間山が故郷の山と言えるようになるにはまだ時間がかかる。それでもこの山を見ると帰って来たんだと思う。その浅間山も白く雪が積もり横には変な雲。でもこの雪も翌日には地熱で殆ど無くなるのだろう。

　車を降りると既に音を察知してか窓際でメメがこっちを見ている。嬉しそうというよりはワタシを放って置いて何処行ってたんだコノヤロって感じかな。




　玄関を開けるとストーブの傍に沢山あった薪が１つも無い。たった一晩このオレサマが居ない間にヨメが全て燃し尽くしたようだ。郵便受けを見ると下の方に昨日届いた封書。先週生ゴミを捨てなきゃと言ってたが月曜日に捨て損ねた。ならば今日捨てたかなとゴミ箱を見ると…　来週のゴミの日に持ち越しだ。

もし神様が早とちりだったら

　ギリシャ神話的には神様は全知全能。やろうと思えば何でも瞬時に実現可能なのだろう。

　車の中でラジオを聴いてたらフォークグループの赤い鳥が出演してた。ＰＰＭ(Peter,Paul and Mary)に憧れて音楽を始めたとか、最初のプロポーズは(ニセ)アカシヤの白い花がハラハラと散る頃に木に登ってやったけど無視されたとかどうたら。

　コンサートで必ず歌う歌が翼をくださいだそうだ。♪いま私の　願いごとが　かなうならば　翼が欲しい　この背中に　鳥のように　、とここまで神様が聴いて直ぐに付けてくれたのがペンギンの翼。♪白い翼　付けてください　この大空に　翼をひろげ　飛んで行きたいよ、飛んで行きたいという願いが叶わなかった瞬間だった、などと詰まらない事が勝手に頭の中を行ったり来たり。

　方や美しい歌を創作し、此方しょうもない事ばかりが頭に浮かぶ。その違いは何処から生まれるのだろう。