犬や猫を飼っていると泊りがけで出かける時が困る。まだ仔猫なメメをタロが面倒見てくれるのが一番良い。しかし現実は上のような光景は今のところこの時だけ。普段はこんな調子。
今回の外出ではタロは外、メメは内。タロの場合は出かける時に「るすばん!」と言うとおおよそ意味は分るようだ。それを聞くと尻尾がしおれたように垂れ下がるからだ。でもメメの場合はそういうのが無いので不安な夜を過ごしたのだろう。ドアを開けると待ってましたとばかり駆け寄ってきた。
ワールドカップといってもフリークライミングのワールドカップ。日本では15年ぶりだそうだ。埼玉の大宮とか浦和ではなくここで開催されたのは地元高校にこれに参加出来るような凄い選手が居るという縁かなぁ。あと村起こしみたいな。それと大宮なんかだと開催費が高くついて無理、とか。
この大会があるのを俺は知らなくてヨメが何処からか聞きつけてきた。知らないのは俺だけでない。けっこう身近な人も知らなかった。それと知ってても岩場に行って自分の課題をやるのを優先した人も多い。人込みの中より山で秋晴れの空の下に居る方がずっと良い。ワールドカップ? 観てみたいな、でもそんなの関係ねぇ、って人達は多いのだ。名古屋とか大阪で開かれるのなら行かなかったろう。加須でやるというのは運が良かった。どうせなら土曜日の予選と日曜日の決勝を見たいので加須で一泊することにした。
電車を乗り換え加須駅に近づいたもののワールドカップがあるというオーラは全く感じなかった。サッカーだったら有り得ないことだろう。駅で改札口を出た時に始めて係りの人が道案内してるのを見て本当にやってるんだ降りた駅も間違って無かったんだと思った。会場である市民体育館まで駅から歩いて20分くらいだけどその間にワールドカップのオーラは感じない。日曜日、帰るために駅の近くまで歩いてきて初めて気がついたのがこれ。歩道の頭の上を七夕飾りのようにずっとあったのは知ってたけどこんな細工があるとは気付かなかった。気付いたのは貼り付けてある紙の人形が落ちてきたからだ。
土曜日は無料だけど日曜日の決勝は入場券が要る。ところで国内の日本一を決めるジャパンツアーというのがある。少なくとも10年くらい前はこれが日本一を決める大会なのかというほど観戦客は少なかった。しかも殆どが無料だというのに。しかし今回はワールドカップ、いくら何でもそんなことはないだろう。でも意外と空いてるかも、と込み具合は全然分らない。
行列に並ぶのは嫌い、でも前売り券を予め買って行動を決めちゃうのも嫌いなのが裏目に出た。というより前売りを買わないのは行けなかったら損しちゃうというケチなだけか。たまたま土曜日の観戦の帰り際、当日券はもう残り少ないというのを聞いたのが良かった。開始の10時より早く行くようにした。といっても着いたのが8時半くらいかなぁ、でもこの行列。世間は俺よりも1時間先を行っているのだ。ヨメの言う事を聞いてもっと早くホテルを出てれば心の平安を得られたろうに地の利を生かせなかったという後悔の念が頭をグルグル回る。下の行列を見た時点で俺はもう諦めモード。
その反面、案外観れるのかもという棚ボタモードも若干有った。何たって座右の銘は人生楽ばっかしだからだ、って本当かよ。そのうちに当日券は100枚あるらしいという話が伝わってきた。う~ん、ここは何番目くらいなんだろうと心配してるうちに整理券を配る人が現れた。受け取った券の順番を見ると85番と86番。ひぇーーっ、あと10数人じゃん。でもこれじゃぁ観る場所は一番後ろの壁際の席だろうと思ったら前列から10列目以内の席が何故か空いていた。