以前、本屋で平積みされてたので買ってきてましたが、なかなか読むきっかけがなくて。旅行に行くとなぜか文庫が読みたくなるんですね。で、昨日読み終わりました。
『太陽の塔』 by 森見登美彦
太陽の塔といえば、ご存知、大阪は吹田市の万博記念公園にある、岡本太郎氏が作った奇妙な塔ですね。1970年の万博の、文字通り顔として作られ、いまでも残されています。
本作はその太陽の塔も作中にでてきますが、あまり関係なさそうな感じでしたね。
作品は、京大農学部に通っている主人公がストーリーテリングするような格好で作られてます。その主人公が後輩の女の子と付き合っていたのだが、ある理由でケンカとなり別れてしまった。で、今はその彼女をストーキングしているという、冒頭から非常に気持ちが悪い作品でした。
で、もうひとつの特徴は、文体がすごく古いというか、言葉が難しすぎるんですよね。正直、僕なんかは聞いたこともないような言葉が多くて、意味を推測しながら読んでました。それこそ、70年代の小説じゃあるまいしって感じです。
ま、個人的には次は読まないかなぁとおもいますが、ホントはもっと砕けた文体で書くととても面白いんじゃないかと思うんですね。
ただ、僕がすごくはまったのは、主人公がビデオを借りに行くんですけどそのときの表現ですね。(ビデオはもちろんAVです。)
《以下抜粋》
世の中に我々ほど禁欲的な生活を営む若者は少ない。享楽的生活に溺れることが経済活性の要としてむしろ奨励される世の中にあっては、我々のライフスタイルはむしろ非難されて然るべきだろう。我々の存在によって発生する経済効果は、冬眠熊の経済効果とほぼ等しい。しかし私は誇りを失わず、世人の非難と対峙していく所存である。
(中略)
世界平和のために我々一人一人が責任を持って荒ぶる魂を鎮めねばならぬ、社会に生きるものの義務とは言えつらいことだと嘆きながら、禍々しい生殖本能の矛先をそらすために培われてきた膨大な作品群を前にして私は右往左往し、各コーナーに高らかに響き渡るY染色体の哄笑を聞き、そして割合まめに新作をチェックする。
ってくだりなんですけど、最初はなんだかんだ偉そうなことは言いつつも、結局は「まめに新作をチェックする」って、オチかよ。
ま、こんなバカなことをさも偉そうなカタチで言ってのけている主人公の話ですけど、正直、読み疲れました。
コレの現代語訳版がほしいと思ったね。
(2007/08/27 読了)
太陽の塔といえば、ご存知、大阪は吹田市の万博記念公園にある、岡本太郎氏が作った奇妙な塔ですね。1970年の万博の、文字通り顔として作られ、いまでも残されています。
本作はその太陽の塔も作中にでてきますが、あまり関係なさそうな感じでしたね。
作品は、京大農学部に通っている主人公がストーリーテリングするような格好で作られてます。その主人公が後輩の女の子と付き合っていたのだが、ある理由でケンカとなり別れてしまった。で、今はその彼女をストーキングしているという、冒頭から非常に気持ちが悪い作品でした。
で、もうひとつの特徴は、文体がすごく古いというか、言葉が難しすぎるんですよね。正直、僕なんかは聞いたこともないような言葉が多くて、意味を推測しながら読んでました。それこそ、70年代の小説じゃあるまいしって感じです。
ま、個人的には次は読まないかなぁとおもいますが、ホントはもっと砕けた文体で書くととても面白いんじゃないかと思うんですね。
ただ、僕がすごくはまったのは、主人公がビデオを借りに行くんですけどそのときの表現ですね。(ビデオはもちろんAVです。)
《以下抜粋》
世の中に我々ほど禁欲的な生活を営む若者は少ない。享楽的生活に溺れることが経済活性の要としてむしろ奨励される世の中にあっては、我々のライフスタイルはむしろ非難されて然るべきだろう。我々の存在によって発生する経済効果は、冬眠熊の経済効果とほぼ等しい。しかし私は誇りを失わず、世人の非難と対峙していく所存である。
(中略)
世界平和のために我々一人一人が責任を持って荒ぶる魂を鎮めねばならぬ、社会に生きるものの義務とは言えつらいことだと嘆きながら、禍々しい生殖本能の矛先をそらすために培われてきた膨大な作品群を前にして私は右往左往し、各コーナーに高らかに響き渡るY染色体の哄笑を聞き、そして割合まめに新作をチェックする。
ってくだりなんですけど、最初はなんだかんだ偉そうなことは言いつつも、結局は「まめに新作をチェックする」って、オチかよ。
ま、こんなバカなことをさも偉そうなカタチで言ってのけている主人公の話ですけど、正直、読み疲れました。
コレの現代語訳版がほしいと思ったね。
(2007/08/27 読了)