森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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明日は「敗戦の日」。なのに首相は違憲発言
たまたま、私は病み上がりの体で7月、3日間、沖縄を訪れました。
約3カ月に及ぶ沖縄戦。唯一の日本での地上戦でした。この私の3日間、沖縄戦にちなむ資料を見る機会を得、ひめゆり平和祈念資料館や沖縄平和祈念資料館もはじめての訪問でした。病癒えわずかということもあったのでしょうが、ほとんど資料を丁寧に見、読むことは私はできませんでした。あの狭い沖縄で20万人以上が戦死したというのですから、想像するに余りあります。それだけに沖縄の人びとの平和を希求する思いは一様だと、当地の人びととの交流からあらためて実感しました。
その沖縄は以来、米国の占領・反占領の地と化しました。いまだに県内の少なくない土地を米軍が占有している。たまたま、私が訪れたとき、嘉手納基地が住民に開放される一日がありました。土地の人に聞けば、年に一度設けられているそうです。こうして米軍は、基地が沖縄にとってなくてはならないものと強調するのでしょう、そして宥和を図りたいということでしょうか。
しかし、沖縄を占領・反占領の地と化したと先に私はいいましたが、沖縄は常に戦争と直面しているということでもあります。かつてのベトナム戦争時には沖縄から米軍機が飛び立ちました。そして、今でもアジアの要石としての役割を課せられている。辺野古にもいきましたが、辺野古移転は米国が世界戦略の上で沖縄をどれほど重宝しているかを示す事実の一つでしょう。そして、テレビが抗議集会の模様を伝えていましたが、沖縄国際大学に5年前ヘリが墜落したことは、まさに沖縄の人々の生活が戦争と隣り合わせに存在している証拠でしょう。
こうした現実にわれわれ日本人は面とむかっている。
ですから、たとえば、麻生首相のこうした発言をいちいちとりあげざるをえません。
麻生首相:集団的自衛権行使「可能にすべきだ」 麻生太郎首相は13日、TBSの報道番組で、集団的自衛権の行使を禁じている憲法解釈について「日本を守る同盟国のアメリカの艦船が北朝鮮から攻撃を受けたとすれば、自衛艦がそれを防護することを可能にしておくことは大事だ」と述べ、行使を可能にするよう見直すべきだとの考えを示した。 そのうえで首相は「北朝鮮による侵略、北朝鮮による脅威というものは20年前、30年前は考えられなかったと思う。国民の安全を守るのが政府としての当然の義務で、その一環として考えるべきだ」と述べた。 |
少なくとも日本国憲法が存在する以上、集団的自衛権の行使は認められませんから、彼はそれを変えようというわけです。
それならば、憲法99条はなんといっているのか。
以前に、憲法99条・一分ということというエントリーでそのことをとりあげました。
首相たるものが、現在の日本国憲法を無視し、かえようとする態度は、99条に明確に違反する。首相の資格が問われるというものです。
99条は、こうのべているのです。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 |
しかし、日本国の政治は鈍感なのでしょうか。
この発言に反応するのではなく、政権をとろうとする政党の代表がこんなことを争点にしようといっています。
追悼施設、衆院選の争点に=鳩山氏提唱、首相は特殊法人化-靖国問題【09衆院選】
もう、これ以上はのべませんが、集団的自衛権に反応しないのは、すでに自民・民主の間に垣根はないことを示しているのでしょう。鳩山代表はこれにふれることはできないのです。
専守防衛。これは歴代の自民党政権の公式見解でしたが、これが危うい事態になっている。その背景には、もちろん米国の要求に応じようとする姿勢があるのはいうまでもありません。
敗戦の日、思うのは、あらためて戦争とは罪なき人を死に追いやる大罪だということと、それに今でも加担しようという意図をもつわが日本国の首相には即座に批判しなければならないのに、それすらできない日本政治の現実にやり場のない思いを脱ぐいきれないのです。
核の傘を信じてやまない麻生太郎ですからね。
(「世相を拾う」09156)
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党首討論を各紙はどうみたのか。。
三大紙がいずれも社説で昨日の党首討論を扱っていました。
朝日、毎日の評価は芳しくないようです。私は国民が不完全燃焼の思いだとのべたのですが、朝日、毎日も討論のもどかしさを感じたようです。一方の読売は、視点は明確です。民主党の「弱点」-自民党からみても、逆に国民の側からみても違う角度から弱点にみえるのですが-を、争点にしろと居丈高の論調ですね。
これ以上、踏み込むことはしません。
当ブログでは、自民・民主の討論で、何がちがっていて、何が同じか、と問いました。ちがいは少しも明らかになりませんでした。鳩山氏の性分もあるのでしょうが。同じところもまた、明確になりませんでした。これは、まさに選挙前ですから、民主党が本音はともかく、自民党と同じことを強調するはずもありませんからね。
朝日・毎日・読売いずれの社説も、それぞれ2箇所だけとりあげています。長短さまざまですが、とくに眼についたところです。
09総選挙・党首対決―もっと大きな論点で 聞いていた有権者の多くは、靴の上から足をかくようないらだちを味わったのではないか。 首相は長年、政権党として日本の政治を担ってきた自民党の「責任力」を強調した。盛りだくさんのマニフェストがすべて実現されれば、確かに日本は活力のある安心社会に生まれ変われるかもしれない。 鳩山代表は「外交や安全保障は、政権を取ったらすべてを変えるという発想は持たない。継続性が重要だ」とも述べた。そうであってほしい。 |
さて、党首討論。
私の感想では、自民党と最大野党の討論で成功した、内容も評価できるといえるものはなかったように思えます。それは、国民の側からみて、一方が国民の利益を代弁し、他方がそうでない場合、討論は興味あるものになりうるのでしょうが、いまの二大政党では、討論の実際から、そして討論を評する各紙社説の論調から判断してもらって明らかなように、議論が深まらない、論戦が成立していないのです。
別のことばでいえば有権者にむけた発信にはなっていないということでもあります。
その意味でいえば、毎日社説がつぎのようにのべていますが、この立場に私は同意しません。
実質的に「次の首相」を争っている2人だけの討論会は有権者の重要な判断材料となったはずだ。ところが、自民、民主以外の各党への配慮などからテレビの地上波では中継されなかった。これも残念なことで今後に重い課題を残した。 |
討論の持ち方は別に考えるにしても、2つの政党間の討論だけでなく、麻生氏と他党党首の討論も実現してほしい。
少なくとも麻生・鳩山の討論より論点は鮮明、溜飲が下がるのも請け合いではないでしょうか。
(「世相を拾う」09155)
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