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細川護煕が語る政権交代と自らの政権の回顧
彼がどんなことを語るのかに多少、興味をもち読んでみました。
細川氏が今日の二大政党政治の進行をどのようにとらえているか、興味の先はその一点でした。
それを考えるには、そもそも細川内閣誕生の時代背景を考えないといけないでしょう。
当時、政治の関心はいわゆる政治改革というところに集中しています。長年の自民党政権下で選挙制度にカネがかかりすぎるという点が強調されるとともに、政権交代が期待できない日本のシステムという角度から議論されていた。
表面上のこうした現象の深部で議論されていたのは、二大政党による政治体制をどう形のあるものにしていくのか、この点こそ、政治的な支配体制構築の中心点だったということでしょう。
さすがに細川護煕は自然体で語っているようにも私は思えるのですが、この辺りのねらいについて明確にのべています。その部分を少しだけ引用します。
■「細川首相」浮上の背景
――歴史を感じますね。ところで細川政権ができたときは、新たな政治の扉が開かれたという熱気がありましたね。いま、そのうねりは感じますか。 細川 そのときとはちょっと違うんじゃないでしょうか。あの頃は、バブルの崩壊、リクルート事件、政官業の癒着で、政治が変わることへの期待が非常に大きかった。いまは小選挙区制に促される形で二大政党化が進み、民主党が自民党を凌駕(りょうが)するかもしれないところまできている。立ち上げたのと違い、少し受け身な感じです。 ――自民党が統治能力を失ったので、一度民主党にやらせてみようかというのは、悲しい選択かもしれない。 細川 熊本県知事の頃から、中央政治の壁や官僚機構に嫌というほど頭をぶつけ、「既成の政治勢力では打開できない」と思い知りました。そのためには新しい政党しかないと心を決め、92年初夏、「文芸春秋」に新党結党宣言を発表。あのときは事務所の電話が鳴りっぱなしでした。 |
あわせていえば、元首相がいうように、選挙制度を小選挙区にかえることによって、二大政党制を加速したのです。一人を争うのですから、日本の政党でいえば、自民党と第二党に投票が集中することは当時ももちろん批判があった。
当時の細川内閣は、非自民・非共産内閣ともいわれ、与党は日本社会党、公明党、新生党、日本新党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合、民主改革連合というのですから、まあ、このインタビューで細川のいう「穏健な多党制」なのでしょうか、ともかく多党連立政権でした。ただし、非自民の一方で、当の共産党の意思とはかかわりなく、特定の政党のみを排除する、非共産という言葉で排除する性格を同時にもっているところにもまた私は関心を寄せざるを得ません。
結局、日本政治はこの非自民たる細川政権、そしてその後の村山内閣を経て、小選挙区制を軸に二大政党化が促進されたということです。
ふりかえれば、冒頭に記したように当時も、金権腐敗の横行のもと政治改革がさけばれたのですが、その結果、取り入れられたのは、小選挙区と政治資金規正法の改正でした。その中心にいた一人が小沢一郎というわけです。そして政党助成法が成立。
細川内閣はそんな課題を背負って、登場し、「政治改革」が実現したのです。
もちろんカッコでくくらざるをえません。
結果的に、「政治とカネ」問題は周知のとおり絶えることなく、改革の中心にいたはずの小沢自身がその渦中にあるくらいだから。「政治改革」とは名ばかりであったと単に結論づけるだけではなく、小選挙区や政治資金規正法の実質的な改悪、政党助成法など、今、これらが果たしている役割を考えると、今日の日本政治に少なからぬ悪影響を及ぼした政権ともいえる。
小選挙区は、細川が真意は別にして、公式に語る「穏健な多党制」という思惑とは完全にはずれ、
「政治とカネ」問題解決という口実で施行された政治資金規正法は抜け道だらけで、いっこうに企業献金はなくならない実態ですし、政党助成金はまさに国民の税金をぶんどるというしくみさえ、つくりあげたのですから。
そうして考えると、細川護煕は本人の思いとは別にして、その後の日本政治の枠組み、二大政党を定着させようとする意思に敏感に応えようしてきた一人であると言い切ってもよいでしょう。
インタビューで語る細川は、「民主党が今度の選挙で勝利すれば、その先は二大政党制ではなく、「穏健な多党制」に移行するのではないかという予感」とのべるのですが。
さて、その予測はどうでしょうか。「穏健な多党制」の実体がこのインタビューのかぎりではみえてきません。しかし、細川内閣のような多党化・与党化をそれが指すのであれば、見立てははずれるように私は思います。
むしろ、大連立の可能性も孕みながら事態は推移すると私は考えるのですが、それを可能にするのも、ストップをかけ不可能にするのも国民・有権者だということはまちがいないのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09151)
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