森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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党首討論- 何がちがい何が同じか明らかになったか。
党首討論:麻生首相と鳩山代表、財源めぐり激しく議論 冒頭、首相は「一番の違いは責任力だ。公約には実現可能性と一貫性が必要」と政権担当能力を強調し、鳩山氏は「今回初めて政権を国民が選べる選挙になる。無駄の多い国は官僚任せの政治では打破できない」と政権交代の意義を訴えた。 ……… 消費税増税については、鳩山氏は「政権を担う4年の間、する必要はない。経済的にもその必要は感じない」と重ねて否定。首相は「まず基本は景気回復。仮に名目(成長率)で2%になるのであれば、(消費税増税を)遅滞なくできる状況になったと判断していい」と述べ、姿勢の違いが鮮明になった。 【自・民党首討論】鳩山氏「国民の判断に委ねる」 |
今朝、毎日.jpのウェブページをみてみると、自民党の宣伝が。「日本を守る、責任力」とある。クリックすると、自民党のHPによぶようになっています(参照)。
曰く、
安易な政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残すかもしれません。日本を守れるのはどちらの政党が見比べてください。 |
すでに交代の可能性を前提に、危機感をあおる戦法ですね。けれど、「日本を守る」というのも抽象的な話で、何の攻撃や圧力から(日本を)守るのでしょうか。ではまた、自民党はどのようにして日本を守ってきたのでしょうか。
責任力というのも、「日本を守る」ということと無関係ではないのでしょうが、これまた抽象的ではありませんか。
自民党という政党は、ようするに今、現時点で国民・有権者に主張できる実績はなく、抽象的な言辞で危機感をあおるのでしょうね。
ウェブページに列記されているのは戦術は民主党公約の全面批判です。
だから、同党からはこんな会見での発言が出、それが流される。しかし、どれも、他愛のないものです。
首相「民主公約、近ごろ慌てて書き足した」 麻生首相は12日、群馬県伊勢崎市の街頭演説で「民主党のマニフェストに経済成長戦略なんかひとつも書いていなかった。なんか近ごろ慌てて書き足している。おれたちから言われたからだ」と語った。
|
対する民主党からの応酬もしかし、この程度ですから。
「一貫性ないのは自民党。よく言うよ」岡田幹事長 民主・岡田幹事長は12日、「(米国が)ブッシュ政権の時はブッシュ政権のやり方に追随し、大統領が代わったら、『オバマ大統領の核戦略は素晴らしい』と。前も良かった、今度もいい、というのはそれこそ一貫性がない。よく言うよ、という気がする」と述べた。 民主党の外交・安全保障政策を批判する麻生首相について、仙台市内で記者団の質問に答えた。 |
昨日の党首討論は、この流れの延長線だったように思えます。限られたニュースのなかですが、かみあってはいません。論戦として成立しなかったと思います。
この間も話題になってきた民主党の財言論や防衛・安全保障政策を麻生氏が、攻撃は最大の防御とばかり、批判(になっているのかどうかも疑問でしたが)するにもかかわらず、鳩山氏がそれに政策的に正面から返答することはありませんでした。一般的にみても、鳩山代表の回答で満足することはないでしょうね。「全く財源の心配はしてない。優先度の低い事業をやめ、行政の無駄をなくすことでまかなえる」ですって。
消費税を鳩山氏が「消費税を増税するのか」と問うと、増税の条件はできた旨の首相の答弁だったのにたいし、鳩山氏自身は「政権を担う4年の間、する必要はない」と応えています。記事はちがいが明らかになったといいますが、民主党は選挙があるので4年間はやらないといっているだけのことでしょう。消費税増税に反対か賛成か、これが税体系全体のなかで問われなければなりません。いますぐにでも手を着けるところあるはずですから。
今の局面は、所得の再分配がまったく機能していないこと、ここを早急に打開すべきでしょう。一部の高額所得者と大企業の法人税は税率が引き下げられ、消費税をふくめて庶民の税負担は大きくなっている。しかも社会保障制度の見直しによってその負担も重くなっているわけです。
討論が面白くないのは、(政策で)対決しているのではなく、対決しているかのようにみえているだけで、国民・有権者にとって大事な論点ではむしろ両党が基本線で一致しているという現実です。これでは国民が党首党論をきいて、のどのつかえがとれるなんてことはない。不完全燃焼する以外にないのです。
私は、国民側からみると、税の負担は所得や所有資産に応じて負担するという原則を貫くことがいちばんだと思います。能力に応じて税を負担するということです。最低生活を営むに必要な所得や資産には課税せず、累進性を高めた所得税の設計を基本にすべきだと思います。勤労によるものでない、利子所得や配当所得、不動産所得などについては課税の水準を重くすることも必要です。大企業には今日の引き下げられた法人税率を元に戻すなど。たくさん手を着けることが可能です。
ようは、払える人が、大企業が今日、税を優遇されている、ここに着手すべきではないでしょうか。この辺りを議論すべきでしょう。
昨日の党首討論は、予想されてはいても、やはりこの点で興醒めでした。対決しているのであれば、それを言質で証明してほしいのです。
(「世相を拾う」09154)
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