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金融資産所得分離課税撤廃が最重要課題

2017年12月03日 18時48分28秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                                     

                                            「植草一秀の『知られざる真実』」

                                                        2017/12/03

 
                                  金融資産所得分離課税撤廃が最重要課題

                               第1910号

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TPPの論議で明らかになったことは、TPPに代表される多国籍企業の利益
優先=ハゲタカファーストの政策が、日本に対する外からの圧力=外圧による
政策ではなく、安倍政権自身が推進している、日本の国策であるという事実
だ。

2012年12月の総選挙に際して、安倍自民党は

「ウソつかない TPP断固反対 ブレない
 日本を耕す! 自民党」

と大書きしたポスターを貼り巡らせて選挙を戦った。

そして、TPPに盛り込まれる可能性があるISD条項について、

「国の主権を損なうようなISD条項に合意しない」

ことを公約として明示した。

有権者は、安倍自民党がTPPに反対であると理解して投票行動を決めたと思
われる。

しかし、安倍首相は総選挙から3ヵ月も経過しない2013年3月15日に、
TPP交渉に参加する方針を表明した。

「詐欺」そのものの政治である。

このTPPから米国が離脱した。

安倍政権は米国抜きのTPPはあり得ないとしてきた。

TPPの最終合意文書を修正する考えはないことも明言した。

TPP最終合意文書を見直ししないために、米国の態度が明らかになる前に日
本が批准、承認することを急いだのである。

ところが、米国がTPPから離脱して最終合意文書を見直さない限り、TPP
が発足する可能性はなくなった。

すると、安倍政権はTPP最終合意文書の見直しを表明した。

言葉に対する責任というものが存在しない。



安倍自民党はISD条項が、国の主権を損なうものだから合意しないとしてき
たはずだが、いまでは、TPP交渉参加国のなかで、ISD条項を盛り込むこ
とをもっとも熱心に主張しているのが日本である。

日欧EPA交渉では、欧州がISD条項は主権を損なうものであるとして、こ
れに反対しているのに、日本がISD条項を盛り込むことを主張し、交渉が暗
礁に乗り上げている。

安倍政権は選挙の際の公約を一方的に破棄して、国の主権を損なうISD条項
を盛り込むことを強引に主張しているのである。

ここから明らかになることは、安倍政権が主権者国民の利益ではなく、多国籍
企業、世界市場支配を目論む巨大資本の利益を最優先して政策運営を行ってい
ることだ。

そして、TPPが発効していないにもかかわらず、主権者国民の利益を損な
い、ただひたすらハゲタカ巨大資本の利益を極大化するために、国内のさまざ
まな制度を激しいスピードで改変し始めている。

種子法を廃止し、

水道法を改定している。

食品の添加物規制、残留農薬規制を、ハゲタカ巨大資本の言いなりになって、
激しい勢いで改変しているのである。

安倍政権は「国民ファースト」ではなく「ハゲタカファースト」の姿勢で政策
を運営している。

TPPも日欧EPAも、そして、種子法廃止や水道法改定、食品添加物規制緩
和、残留農薬規制緩和、遺伝子組み換え規制緩和などの施策も、外からの圧力
によって、安倍政権が望まないのに推進されてしまっているのではなく、安倍
政権が外圧もないなかで、国内政策として推進しているものなのである。

外圧が敵なのではない。

敵は内側に存在する。

安倍政権そのものが、主権者国民にとって敵対的な政策を推進する本尊なので
ある。



主要農作物種子法廃止で、米、麦、大豆の公共品種の保全が行われなくなる。

これまでは、主要農作物の種子は公的関与の下で安価に供給されてきた。

国民の主食の確保のために、主要農作物の種子が公的関与の下に置かれてきた
のである。

しかし、この施策は種子を独占し、これを利益の源泉にしようとするハゲタカ
資本にとっては目障りな存在である。

そこで種子法を廃止し、ハゲタカ資本が日本国民の主食の種子を独占管理下に
置くための行動が推進されているのである。

ハゲタカ資本による種子の独占支配を、安倍政権が全面支援する構図。

「国民ファースト」ではなく「ハガタカファースト」の安倍政権の基本姿勢が
如実に表れている。

1989年に米国のエコノミストであるジョン・ウィリアムソンが用いた「ワ
シントン・コンセンサス」という言葉がある。

ワシントンを本拠とするIMF、世銀、米国政府が主導する、経済危機に見舞
われた国に適用する政策パッケージに関する合意のことである。

その中心に置かれるのは、規制撤廃、小さな政府、民営化、市場原理主義であ
る。

これらの施策が推進されるなかで、グローバルに活動を展開する多国籍企業が
実質的な収奪を進める。

つまり、ワシントン・コンセンサスそのものが、ハゲタカ巨大資本の利益拡大
の戦術そのものになっているのである。

ハゲタカ巨大資本は、世界経済を支配下に収めて、利益を極大化させることを
狙っている。

そのための戦術が、

規制撤廃、小さな政府、民営化であり、すべての経済行動を市場原理によって
統制しようとする。

安倍政権が推進している政策は、まさにこれである。

この政策の是非を、私たちが問わなければならないのだ。



安倍政権は法人税減税を推進する一方で、消費税増税を推進している。

消費税が導入された1989年度の税収が54.9兆円。

これは、2016年度の税収55.5兆円とほぼ同額である。

しかし、この27年間に、日本の税収構造が激変した。

所得税が4兆円、法人税が9兆円減額になった一方で、消費税収が14兆円増
えた。

つまり、法人税減税、所得税減税を実現するために、消費税が14兆円も増加
されたのである。

所得税と消費税の最大の相違は、

所得税が「能力に応じた負担」をベースとするのに対して、消費税は「能力に
逆行する負担」になる点にある。

所得税の場合、夫婦子二人の片働き世帯の場合、年収285万円までは所得税
負担がゼロである。

他方、所得が多い者の税率は55%に達する。



課税における所得税中心主義は、

「能力に応じた課税」

をベースにする考え方である。

これに対して、消費税中心主義は、

大衆課税の強化=富裕層優遇

をベースにする考え方なのである。

財政活動の財源である税収において、法人税と所得税の比率を引き下げ、消費
税の負担だけを激増させている。

消費税は二重の意味で逆進性を有している。

第一は、所得がゼロの者に対する税率と所得が10億円の者に対する税率が同
じであること。

第二は、零細事業者の場合、消費税増税を価格に転嫁できない。

この事業者が、所得がゼロで、税負担能力がない場合でも、消費税の納税義務
を負う。

不当な納税負担がこの零細事業者に課せられるのである。



安倍政権は法人税減税を推進し、消費税増税を推進している。

所得税は本来、超過累進税率構造を有する

「能力に応じた課税」

を実現する制度であるが、現実には、その基本を破壊する制度が内包されてい
る。

それが、金融資産課税に対する税の減免である。

利子配当所得、株式譲渡益課税については、分離課税が実施されており、本
来、高税率が課せられる個人が低税率の適用を受けている。

「能力に応じた課税」

が、実質的に破壊されているのだ。



日本の上場企業の外国人持ち株比率は3割を超えている。

5割を超えている企業も多数存在する。

つまり、上場企業の多くが、もはや日本企業とは言えない状況になっている。

このことを背景に、ハゲタカ巨大資本が法人税減税を要求し、その穴埋め財源
として消費税増税を主張しているのだ。

資本家層の所得の中心は金融資産所得である。

この金融資産所得が分離課税で軽減されている。

安倍政権が推進している経済政策は、こうして見ると、すべてが悪い意味で整
合的なのである。



世界経済の支配をもくろむハゲタカ巨大資本。

このハゲタカ巨大資本の要望通りに動いているのが安倍政権である。

TPPの推進、

各種規制撤廃政策、

法人税を減税して消費税を増税する政策、

所得税については、富裕層の金融資産課税だけを優遇する政策。

これらのすべてが、主権者である国民ではなく、ハゲタカ巨大資本の利益極大
化のための施策なのである。

国民の大多数は、富裕層でもなければハゲタカ巨大資本でもない。

収奪される中低所得者層なのだ。

この中低所得者層が安倍政治を支持することは完全な自己矛盾なのである。

圧倒的多数の一般国民が、この真実に気付けば、安倍政権はあっという間に吹
き飛ぶ存在なのだ。

主権者国民は、一刻も早く、安倍政治の本質に気付き、この政権を消滅させる
べきである。
 


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