植草一秀の『知られざる真実』」
2018/04/12
安倍首相による便宜供与事件に発展の可能性
第2015号
ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2018041220151245316
EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-45841.epub
────────────────────────────────────
昨日、4月11日の衆院予算委員会の集中審議では、新しい重大情報が数多く
明らかにされた。
安倍首相は昨年3月の国会で、森友学園に国有地が実質200万円(売却価格
は1億3400万円だが国は埋設物撤去費として1億3200万円を支払った
ので、差し引きの収入金額は200万円である)で払い下げたことについて、
「ゴミがあるから当然だ」と答弁していた。
共産党の宮本岳志議員が、「今でも8億2000万円の値引きが適正だったと
言えるのか」と安倍首相に質問したが、安倍首相は「値引きは適正」、「値引
きは当然」と答弁できず、明確な答弁を拒絶した。
つまり、現時点ですでに、8億円値引きは正当なものであったと言えない状況
が生まれているのである。
また、首相秘書官の今井尚哉氏が、昨年2月から3月にかけて、森友事案が表
面化した際に、安倍昭恵氏付の秘書役をしていた谷査恵子氏と電話でやり取り
をしたことを安倍首相が認めた。
さらに、2015年9月に安倍昭恵氏が森友学園の新設小学校の名誉校長に就
任して以降、谷氏に指示をして谷氏が財務省と折衝したとされていることに関
して、これ以降に谷氏と今井尚哉氏の接触があったのかどうかについて、明確
にこれを否定する答弁は示されなかった。
今治市と愛媛県の職員が2015年4月2日に首相官邸で柳瀬唯夫秘書官と面
会していたとされる問題に関して、安倍首相は4月2日以前に安倍首相と加計
孝太郎氏が会食をしたのは2014年12月が最後であると答弁したが、12
月から4月までの期間の会食の有無については、「記録にない」、「記憶にな
い」ことを示しただけで、「会食の事実はない」と断言しなかった。
「記録にはない」が、安倍氏と加計氏が会食していた事実がある可能性が残っ
た。
森友事案の核心は、国有地が不正に安い価格で払い下げられたのかどうかであ
る。
安倍首相および政府は、これまで「適正に払い下げが行われた」としてきた
が、安倍首相が政府答弁を変えて、「適正な価格で払い下げた」と断言しない
答弁に変化した。
極めて重大な政府答弁の変化である。
この事案の事実関係の骨格はほぼ全容が明らかになっている。
森友学園側は実質ゼロ円に近い価格で払い下げを求めた。
そのための方法として、「地下に埋設物があることにして、この撤去費用を差
し引く」方式が考案された。
「地下深いところからゴミが出た」との事実を「作り」、これを根拠に価格交
渉が行なわれ、実質ゼロになる数値を確認したうえで、賃貸から購入への変更
が申し入れされた。
埋設物撤去費用は、払い下げ価格が実質ゼロになるような数値であり、埋設物
の量は、ここから逆算して算出されたものなのである。
埋設物は、地中深くに広範には存在しない。
しかし、埋設物=ゴミがあることにして値引き額が決定されたのだ。
この推論が益々有力になっており、これが事実であるなら、この国有地払い下
げは明確に不正払下げということになる。
昨年3月6日の参院予算委員会で、安倍首相は西田昌司議員と組んで、国有地
の評価額からゴミ撤去費用を差し引いた適正な価格で払い下げが行われたとの
説明をアピールし、「ゴミがあるから安い価格で払い下げるのは当然」と断言
したが、その根拠が完全にゆらぎ、「適正な払い下げ」と言えなくなってい
る。
「不正払下げ」の疑いは濃厚になっており、この事案に安倍昭恵氏が関わった
ことが明らかになっている。
事実が明確になれば、安倍首相は首相と議員を辞めなければならなくなる。そ
の瞬間が刻々と近付いている。
オールジャパン平和と共生は、4月19日(木)の午後5時30分から、衆議院
第二議員会館多目的会議室において、オールジャパン学習会第2弾を開催す
る。
市民が変える日本の政治
オールジャパン学習会
「さようなら!アベノミクス」
-「むしり取る経済政策」から「分かち合う経済政策」へ-
-亡国のTPP11と種子法廃止-
日 時 2018年4月19日(木)
午後5時30分~午後7時30分
場 所 衆議院第二議員会館多目的会議室
参加費 無料
プログラム(予定)
開会挨拶
オールジャパン平和と共生 最高顧問
前日本医師会会長 原中 勝征
第1部 「むしり取る経済政策」から「分かち合う経済政策」への転換
オールジャパン平和と共生 運営委員 植草 一秀
「働かせ方改悪法案」について 国会議員
第2部 亡国のTPP11&種子法廃止
オールジャパン平和と共生 顧問・運営委員
元農林水産大臣 山田 正彦
第3部 自由討議 全参加者講演
https://www.alljapan25.com/2018/04/11/2140/
一人でも多くの主権者に参加いただきたく思う。
昨年3月6日の参議院予算委員会で安倍首相は次のように答弁している。
「その土地は言わばごみが入っているから言わばそういう価格になったという
ことでありまして、至極、至極当然のことであって、ごみがあるからディスカ
ウントしたわけで、」
「言わばごみがあるから一億数千億円にこれディスカウントしていたわけで
あって、それを、ごみを取っていたら、ごみを取っていたら価格は上がるわけ
でありますから、」
「なぜこれが一番問題になっているかということは、もう今日午前中の西田昌
司委員のこれは答弁で明らかになっているんだろうと思いますが、それは言わ
ば、なぜ九億円が一億円になったかということであります。」
「一体どれぐらいの、どれぐらいのこれは産業廃棄物がパーセンテージで入っ
ているかと。その立米にそれを掛けて、更にそれを単価を掛ければ出てくるわ
けであります。さらには、それを運ぶ、運ぶお金が掛かってくるわけでありま
すから、それを足せばこうなるかということが先ほど証明されたわけですね。
つまり、ちゃんと法令にのっとって手続をし、その価格が合理的であればこれ
は問題ないということではないかと、こう思うわけでありまして」
ここに出てくる、午前中の西田昌司委員の答弁というのは次のものだ。
政府参考人の佐藤善信氏が次のように答弁している。
「本件撤去処理費用につきましては、公共事業一般に使用されている工事積算
基準に基づき、必要となる廃材等の埋設物処理量に単価を掛け合わせて積算を
したものであり、こうした方法は公共事業で一般的、標準的に使用される方法
です。埋設物処理量については学校の建設工事を前提とした廃材等の処分量を
積算し、作業単価は民間機関の公表資料等を使用、産業廃棄物処理単価は複数
事業者の価格を比較して設定をしております。
二枚目のパネルについて申し上げますと、まず、埋設物処分量については、く
い部分、建物部分、それ以外の土地部分のそれぞれにつきまして面積、深さ、
混入率を乗じて、学校の建設工事を前提として必要な廃材等の処分量を算出し
ております。
次に、単価につきましては、掘削等の各作業工程ごとに公共工事で一般に使用
されている単価を適用しています。見積総額の八・二億円という数字は、この
ような一般的な方法により合理的に算出された金額であります。
新たに発見された埋設物については、土地所有者である国の責任で対応する必
要がありましたが、このように合理的な処理費用を不動産鑑定価格から減額す
ることにより、本件土地の売買契約においては将来にわたる一切の瑕疵につい
て国の責任を免除する特約が付されております。」
この答弁を根拠に、値引きは適正に行われたと政府は答弁してきたのだ。
「瑕疵担保特約」は地下から埋設物が発見された際に、その撤去費用などにつ
いて国が責任を負うもので、この責任を負わない契約にするために埋設物撤去
費用を十分に設定したとしているが、だからといって、存在の合理性を示すこ
とのできない埋設物撤去費用を計上するのは違法である。
安倍首相は上記説明を根拠に「ディスカウントは至極至極当然のことだ」と答
弁してきたが、その主張を示すことができなくなった。
昨年3月の答弁を維持するのか問われて安倍首相は「維持する」と答弁できな
かった。
つまり、埋設物撤去費用の積算が過大なのである。
埋設物が地中のどの位置に、どの程度存在しているのかについての根拠が希薄
なのである。
この埋設物の存在状況の認定によって、値引き額は無限に変化し得る。
最終的には、森友学園の実質支払額が200万円になるように撤去費用が決定
された。
これは偶然200万円になったのではなく、200万円になるように埋設物の
撤去費用を「決定」したのである。
そう推察するのが合理的である。
この点を明らかにするためには、もう一度、当該国有地の埋設物に関するすべ
ての資料、データを洗い直すことが有効である。
これらのプロセスに、多数の「作為」が含まれている。
すでに、埋設物の処理、発見に関与した関係者が死去している。
「自殺」で処理されているが、「自殺」に偽装した「他殺」の可能性も十分に
ある。
森友学園への国有地払い下げが「不正」であったと認定されると、これは直ち
に財政法第9条違反事案ということになり、国に損害を与えた行為は刑法の
「背任罪」に該当する惧れが高くなり、「背任罪事件」として立件する必要が
出てくる。
そうなると、この不正事案に安倍昭恵氏が「かかわった」ことに関する問題に
飛び火し、そのために、大量の決裁公文書が改ざんされた、虚偽公文書作成事
件に影響を与えることになる。
国会は虚偽の公文書提出により、業務を著しく妨害された。
偽計業務妨害罪事件の立件も必要になってくる。
加計学園事案では、安倍首相が加計学園による今治市での獣医学部新設の意向
を初めて知ったのが2017年1月であるとしてきたが、2015年4月時点
で事実を知っていたとなると、国会での虚偽答弁の疑いだけでなく、国家戦略
特区諮問会議を舞台にした便宜供与、利益供与の疑いも浮上することになる。
まずは、2015年4月2日に、柳瀬唯夫首相秘書官が今治市および愛媛県職
員と面会した事実が、本当になかったのかどうかを明らかにする必要がある。
面会の事実が明らかになると、安倍首相は文字通り絶体絶命の状況に追い込ま
れることになる。
事態は破滅に向かって、着実に時を刻んでいる。
クリックお願いします。(*_*)??Σ(・□・;)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます