b 「植草一秀の『知られざる真実』」
2017/02/23
アベ友国有地払い下げ事案突破口は善管義務違反
第1675号
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国有地が森友学園に激安価格で払い下げられた
「アベ友事案」
が
「アベ友事件」
に発展する日は遠くないと思われる。
事実関係の片鱗でも知る関係者が、真相を告発することが真相解明には近道である。
2016年6月20日に、不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地が
地下埋設物撤去及び処理費用が8億1974万円と算定され、この金額を控除した1億3400万円で森友学園に払い下げられた。
しかも、その支払いは、1億3400万円の一括払いではなく、2164万円の頭金と2017年5月から2026年5月までの10回にわたる、毎年1120万円(概数)の分割払いとされた。
2015年5月29日に締結された森友学園と近畿財務局との間の
「土地の買受け特約を付した有償貸付契約」
での月額賃料は227万5000円だった。年額は2730万円である。
森友学園が10年後に売買予約完結権を行使する場合、森友学園の支払額は賃料総額2億7300万円プラス土地代金(更地として評価額)ということになる。
それが、2164万円の頭金と1年あたり1120万円の分割払い10年で土地を取得できることになる。
これだけではない。
2015年7月29日から12月15日までに実施されたとされる、土壌改良、埋設物撤去工事代金として、国は2016年4月6日に1億3176万円を森友学園に支払っている。
国と森友学園の収支は、国の収入が1億3400万円、森友学園の収入が1億3176万円で、差し引くと、国は評価額9億5600万円の国有地を森友学園に譲渡したのに、224万円しか受け取っていない。
しかも、譲渡価格1億3400万円のうち、すでに受領しているのは2164万円だけである。
現金収支では、評価額9億5600万円の土地を森友学園に渡した上、現金1億1012万円を渡していることになる。
問題になるのは、
国が9億5600万円の評価額の国有地を1億3400万円で譲渡したこと
である。
国は、地下埋設物撤去及び処理費用を8億1974万円と算定し、この金額を控除して譲渡価格を1億3400万円としたとしているが、常識的に考えて控除費用が過大である。
8億1974万円の埋設物処理費用の算定は国交省大阪航空局が行ったとされている。
算定根拠は、
校舎が建つ場所を中心に敷地の約6割にあたる5190平方メートルを対象とし、
杭を打つ場所は深さ9・9メートルまで、
その他は深さ3・8メートルまでにあるごみを1万9500トンと推計し、
すべて撤去・処理する費用を8億1900万円としたとのことである。
小学校建設工事着工予定日は2015年12月14日だったとされる。
そして、2016年3月11日に小学校建設工事現場の地中深くから新たに廃材やプラスチック、家庭ごみなどが見つかったと学園が近畿財務局に連絡したとされる。
そして、3月14日には近畿財務局、大阪航空局、現地関係者が現場を視察したと伝えられている。これが事実だとすれば、驚くほど迅速な対応である。
そして、3月24日、埋設物対策・早期開校のため、学園が近畿財務局へ土地を買い取りたい旨を申し出たという。
このことについて、森友学園の籠池泰典総裁は、2月20日のTBSラジオ番組に出演して、借地から土地購入へと切り替えた理由について、
「地下からゴミ(廃棄物)がでてきたため、「第六感」が働き、「賃借料が安くなるだろう」
「それなら購入金額も安くなるのでは」
と思ったと述べた。
また、地下埋設物の撤去について籠池氏は、
「建物のところに関しては、ほとんど完了している」
と説明した。
「建物のところに関してはほとんど完了」
と述べているが、これが、2015年に実施した土壌汚染対策を指すのか、2016年の小学校建設工事期間に実施したとされる埋設物撤去工事を指すのかは定かでない。
このようなプロセスが法的に何の問題もないということになると、国有地を活用した
「濡れ手で粟公金詐取」
が一斉に広がることになるだろう。
地下に埋設物がある国有地を物色する。
そこに学校建設等の事業を申請し、国と不動産定借契約を締結する。
開校期日を定めて、時間が切迫するなかで地下埋設物を発見する。
これを盾に国有地購入を申し出て、埋設物撤去費用を控除した激安価格で国有地を取得する。
全国のいたる所で、国有地取得による億万長者が続出することになるだろう。
重要なことは、国有財産を管理する国の管理責任者が、国有地を売却する際に国に損失を与えないための、
善良な管理者の注意義務=善管義務
を負っているということだ。
地下埋設物処理費用を過大に見積もり、国有地を不当に低い価格で売り渡すことは、国、すなわち国民に損害を与える行為になる。
これを回避する責任を国の管理責任者が負っているのである。
一連の経過を見ると、すべてが巧妙に仕組まれた国有地激安取得のストーリーに沿って動いた疑いが浮上する。
いま何よりも必要なことは、
2015年に地下埋設物の撤去を行った事実の有無の確認および施工業者および施工金額の確認。
2016年に地下埋設物の撤去を行った事実の確認および施工業者および施工金額の確認。
2016年に当該国有地を売却するに際して、売り渡し価格から控除する地下埋設物撤去費用算出に際しての具体的プロセスおよび検討を行った関係書類等の確認
である。
国が地下埋設物撤去費用を控除して国有地を売り渡したのなら、取得者はその地下埋設物を撤去する責任がある。
しかも、この国有地の利用使途は小学校である。
小学校を開校するにあたり、撤去する必要のない埋設物であるなら、その撤去費用を売り渡し価格から控除する必要性はなくなる。
撤去する必要のある埋設物の撤去費用を売り渡し価格から控除したのなら、取得者はその埋設物を撤去する責任を負う。
国有地の売却事例は無数にあるだろう。
その国有地が学校用地として売り渡された事例も多くあるはずだ。
さらに、地下埋設物が存在する土地、土壌汚染がある土地の売り渡し事例もあるはずである。
これらの事例を検証する必要がある。
学校設置認可の基本は自己保有地における学校設置であり、定借地での学校設置を認可すること自体が異例である。
2014年12月18日の大阪府私学審議会定例会においては、
瑞穂の國記念小學院の設置につき、
「申請内容等において確認すべき点があるため、継続案件とする。臨時の審議会で審議する」
こととされた。
そして、2015年1月27日の大阪府私学審議会臨時会において、
瑞穂の國記念小學院の設置につき、
・申請者には財務・会計状況やカリキュラム、また校舎建設など小学校設置までのプロセスをさらに明らかにしていただくとともに、今後の本審議会において、その内容を事務局から必ず報告をいただくこと。
・カリキュラムについては小学生の学びが充実されるようさらに内容を詰めていただきたい。
・私立学校には特色のある教育が求められる側面があるが、懸念のある点については本審議会が今後も確認を進めるべき。
との議事概要を伴い、
条件付き答申
という扱いが決定された。
この私学審議会を受けるかたちで、2015年2月10日に
第123回国有財産近畿地方審議会
http://kinki.mof.go.jp/content/000115032.pdf
が開催された。
審議会では、学校法人法が基本的に土地を所有することになっていることとの認識が提示され、定借での学校設置自体が「非常に異例な形」であるとの見解が表出される。
また、学校法人の純資産が4億2000万円しかなく、基本財産が小さく、私立の小学校経営の環境が改善しないことも危惧されている。
森友学園の事例は極めて
「非常に異例な形」
であり、
小学校建設の途上で、地下から埋設物が発見されたということで、それを根拠に9億600万円の評価額の土地が1億3400万円になり、さらにその支払いが10年の分割払いというのは、
どう考えても不自然である。
少なくとも、
地下埋設物撤去費用として国から森友学園に支払われた1億3176万円の資金についての資金使途および内容
2016年6月の国有地売り渡しに際しての地下埋設物撤去費用の算定経緯と、その金額相当の工事実態の事実確認が必要不可欠である。
これとは別に、この学校法人の教育内容について、これが憲法や教育基本法等の法令に抵触する部分がないのかどうか、徹底した事実確認が必要である。
小学校の設置認可はまだ出されていない。
「認可しないこともある」とされているのは当然のことだ。
今回の国有地売り渡しが国民に損害を与えている可能性を払拭できるまでは、当然のことながら、学校設置の認可は見送られなければならない。
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